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 もちろん、エリオネル君が断るわけも無く。

 と言うか、フェリックは半分口説きモードに入ってたので、断れるわけが無かった。

 強い。

 その気になれば老若男女問わず、口説けるんじゃない?この人。なんて、思ってしまう。


「魔力量が多い新入生って、君?」


 届いたケーキを口に運びながらフェリックは、エリオネル君を見る。


「……確かに僕は新入生で、魔力量が多いので、ここに通えるようになりましたけど、どの程度多いのかは、よく分かりません」


 エリオネル君は自信なさげに苦笑いする。

 魔力量は、目に見えるものじゃないから、多いと言ってもどれほどなのかは、分からないのだろう。学園の在籍人数を見れば、そうなるのも頷ける。

 魔力量が多いと言っても、これだけの人数がいれば、さらに多い人が居てもおかしくないと思ったのだろう。彼らしいと思う。


「検査装置が壊れるなんて、よっぽどだよ。いくら古くてもね」


 検査装置が壊れる……?

 そんなことあるの?と言う疑問と共に、なんでそんなことを知っているのだろうとも思う。

 エリオネル君は、この学園に通えるなんて思ってもいなかったけど、魔力量が多かったので、“特待生”として通うことになったと言っていたけど、それほどとは。


「……君でしょ?」

「それは、僕ですけど……」


 エリオネル君は、困惑がよく分かる表情と声で答える。

 うん、分かる。

 何で知ってるのって、怖いよね。

 本当に怖いよね、この人。

 と言うか、エリオネル君、そんなに魔力あったのね。モブとは思えないスペックだわ。物語の主人公みたいな背景ね。


「隠しきれないほど魔力が漏れてるね。ある程度抑える魔道具を着けた方が良いよ。このままだと身体に良くない」


「お詳しいんですね、フェリック様も魔力量が多いのですか??」


「いや、俺は全然だよ。普通の半分もない」


 ……え?


「そうなんですか……。でも、魔力が漏れてるとかそういうの言われたこと無かったので、すごいと思います!見えてるってことですよね??」


 フェリックの返答に、エリオネル君は、一瞬、気まずげな表情を浮かべたが、パッと表情を変えると、キラキラとした尊敬の眼差しを送った。

 魔力を見れる人も、その量を視認出来る人も滅多にいない。


 探知魔法が使える上に、魔力量も判別出来るって、どんだけ希少なの。

 凄すぎる。


 ……だから、魔力量が少ないのは意外だ。


 それに、そんなイメージが一つも無い。ゲーム通り女子侍らせまくってるし。

 身分が高ければ高いほど魔力が高い()()にある。それによって、魔力重視な考え方をする人がしばしば居るのだ。魔力が少ない人や魔力ナシを見下したり。

 最近は、平民で魔力持ちも少なくないし、高位貴族で魔力ナシも増えているため、その考え方も古いと、減っているきているが、どうしても魔力が高い人間を魅力的に思う人は多いのだ。

 そして、魔力量もモテ要素の一つでもある。

 なので、普通に多いと思っていた。名門伯爵家だし。魔力に重きを置きがちなお家だった気がするし……。

 それに、フェリックは魔力アリの武術大会に出場していた気がする。

 武術大会は、クラスごとに予選が行われて、上位2、3人が出場出来る大会なので、出られるだけでも十分すごいのに。

 武術大会は、魔力アリと魔力禁止とある。

 フェリックは逆に魔力禁止の大会には出てなかった気がするんだけど……??



「いや、君は魔力量がすごいからある程度の人間は見えると思うよ?だから、気を付けた方が良い」

「……??」

「それだけの魔力量があると、寄ってくる人間は山ほどいる」


 そうね。

 さっきも言った通り、魔力量もモテ要素の一つ。身長みたいな感じって言ったらいいかしらね?低くても良いけど、高い方が魅力的みたいな?いや、好みによるかしら?

 うーん、とにかく、エリオネル君、顔はとっても良いから、その上魔力量も多いってなったら確かに大変ね。

 それに、それ以外にも利用しようと考える人も少なくない。


「古い考えの人間も多い。……まぁ、でも君の場合は、低いよりはマシかな?とりあえず、催眠の魔法と麻痺の魔法を覚えることをオススメするよ」


 わりと真剣な眼差しでエリオネル君にアドバイスをしている姿は、とても意外だ。しかも、こんな会ってすぐの人間に。そんな誰にでも優しいみたいなタイプには、全く見えないのに。

 ……それだけ、エリオネル君が可愛いってこと?

 すごいわ。

 可愛いは正義。

 まさに。


「催眠と麻痺……よく分かりませんが、頑張って取得します!!」


 困惑しつつ素直なエリオネル君は、にこっりと笑顔で頷く。

 うん、これは可愛いわね。

 正義だわ。まさに。

 心配になるわ……。


「うん、いざとなったらそれが一番役立つ。躊躇いなく使え」

「いざ?」

「そ、いざ」


 なんだろう、謎の主従関係が出来上がった気がする。その内エリオネル君がフェリックのこと、“師匠”とか呼んでても驚かないかも知れない。

 それにしても、不穏だ。

 そして、催眠と麻痺は令嬢の護衛魔法の代表だ。

 それこそ、いざと言う時に役に立つ。

 いざ、ね。いざ。


 ……うん。

 心配になるわよね。


 ……むやみに女の子を何処かに誘うなと、言いつけたお姉様の気持ちがよく分かる。

 とても、心配になるわ。



 ……でも、そもそもとして、どうしてエリオネル君はこんなに鈍感に育ってしまったのかしら??



 お姉さんやお兄さんがよっぽど過保護だったのかしら??



閲覧ありがとうございます!

誤字報告も、ありがとうございます。

助かります!!

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