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いやいやいや。
本当に意味が分からない。
一度関わったからって、もうずっと関わったことになんてならなくない?
ならないよね?
接点が途切れば、それで終わりでしょ?
平和が訪れるわけよね?
なのに、
『俺が関わりたいから仕方ないよね?』
なんて言って私の言い分は無視で、話しかけてくるのは、本気で迷惑としか言いようがない。
あの日から、私はヒロインのごとくフェリックに、追い回されて本当に困っている。
どこに行ったって、全くの無駄。
そりゃ、そう。
探知魔法使えるんだもん。
私の魔力も知られちゃっているし、私には魔力を探知されないように誤魔化す技術はないから、逃げようがない。
どうせ飽きるだろう、ふと我に返るだろうと思っているのだけど……。
そんなに監視したいのか。
私が一体、何をしたと言うのか。
一週間。
一向に、フェリックは飽きてくれません。
私の方が諦めて、逃げるのを止めて普通に接して危険がないことを分かってもらおうなんて、作戦に出てる始末です。
しかしながらですね。
特に意味が無いですね。
逆にあれですよ。
うっかりキュンとか、意外と良い奴?とか、タラシ怖ッ!と思うことの方が多くてですね。
そうですね。
典型的なやつです。
……恐ろしいですね。
分かっていたけど、私の免疫不足が如実に現れているのです。
絶対、ダメなやつ!
……と、強い気持ちを持って挑んでいるので、大変疲れるのです。
やつにとっては、遊びなのです。
今までに関わりのなかったタイプだから、どんな感じなんだろうなーって、単純に“観察”のつもりなのでしょう。
最初に言った通り。
騙すつもりも無いのだろうと思う。
……全くもって迷惑な話だ。
本当に。
*****
「……さすがにその格好はどうかと思うぞ」
上から降ってきた言葉を恨めしく思いながら、身体を起こす。
確かに、淑女としてあるまじき姿だった。
両手を投げ出し机に突っ伏すなんて。
でも、だって。
疲れたのよ。
それに、机に突っ伏すくらいいいじゃない。
日常茶飯事だったと思う。
それなのに、肘も立てずに過ごしてるなんて、私偉くない??
「ジャックの力でどうにかなんないの??知り合いなんじゃないの??」
ダメ元で訴えるが、ジャックは何のことだと問うことはせず、苦笑した。
「知り合いっちゃぁ、知り合いだけどねー。俺にはどうすることも出来ないかなぁ?それに、あんな楽しそうなとこ、滅多に見ないし……。もしかしたら、もしかするかも知れないから、頑張れとしか……」
ジャックの言葉に私は顔を顰める。
とうとう、知り合いと認めた!
だけど、続く言葉は、変わらない。
『俺にはどうすることも出来ない』
クラスメイトが困っていると言うのに、冷たい。
それに何だ。
もしかしたら、もしかするかも知れないって。
どういうことだ。
何があると言うの。
「私、貴方はもう少し良識ある紳士だと思っていたわ」
遊び人に友人を売るような真似はしないって思っていたのに。
「いや、俺は割と紳士だよ??ミアが思っているより」
その紳士を発揮されたことがほぼないのですが?と思いながらじとーっとした視線を送る。
「紳士なら遊び人から助けてくれても良くない?」
「はは。遊び人、ね。まーねぇ。確かに、友人には紹介しない男だよね。でもなぁ。俺が紹介したわけじゃなくて、ミア自分で引っ掛けてきたわけだろ?どうしようもなくない?」
引っ掛けてきたなんて、人聞きの悪い!
私がナンパしたみたいな言い方しないでよ!
「引っ掛けてない!って言うか、何で私みたいなのに引っかかるのよ!有り得ないでしょ?!」
「……意外と単純だったってことじゃない?今まで関わったことないタイプだからグッとくるみたいな」
ジャックの言い分は、私がいつも考えているそれだったので、驚きもしない。
そう、たぶん、フェリックは私が今までにいなかったタイプだから気にしてるだけ。
つまり、別に私じゃなくていいのだ。
私みたいなタイプはごろごろいるので、それに気付けばこの面倒も終わると思っているのだけど。
「美しいフルーツに飽きて、じゃがいもが気になるなんて可哀想」
綺麗なものばっかり見ておかしくなったのね。
見つけたのが、ダイヤの原石だったら良かったのに。
「はは、上手いこと言うな」
ジャックが笑うが、普通に腹立つ!
自分で言うのは良いけど、納得されると腹立つわ!
私が思いっきり睨んでやれば、顔を引き攣らせて笑うのを止めた。それで宜しい。
「でもさぁ。本当、俺にはどうすること出来ないぞ?そんな権利無いし」
……確かに。
気を取り直して話を戻したジャックは、大真面目な顔でまともなことを言う。
そう。
私には文句を言う権利のある人がいないのだ。
この場合、文句の言う権利のある人はつまり、婚約者か恋人何だけど……。
ふりを頼めるような相手もいないし、ふりでそんな面倒なことは頼めない。
現に、ジャックは断固拒否オーラを放っている。マジ冷たい。もっと人情味溢れるやつだと思っていたよ。
『カフェのケーキの奢りで許してやる!』
なんて、都合の良いやつはいない。
あれは、あれだ。少女漫画のヒロインにだけ訪れる素敵なマボロシだ。
あぁ、マボロシ。
この状況も、わりと少女漫画何だけど、マボロシじゃないのかな。
なんて、何度思っただろう。
残念、現実でーす!と、現実は非情だ。
イケメンを間近で見れるなんて幸せ♡みたいに、思えたらラク何だけどなー。
疲れるだけだ。
近すぎてドキドキするし。ムダに。
そう、ただの観察なのだから割り切って構えていればいいのに、私ったらアホなので、どうしても反応してしまうのだ。
普通に緊張するし、ドキドキもするし、キュンともする。分かってるのに。
思っていた通り、私はチョロいのだ。
ヒロインのように、迷惑です!なんて、無反応にしてられない。
あれ、何なんだろ。
凄くない?
興味ないからって、普通にしてられるの。
どうしたらそんな強い精神が宿るの。
“関わらない”
と逃げる私には無理な話だ。
閲覧ありがとうございます。




