【十話】 ドロンダー渓谷へ出発しよう! 界人君初めて村の外に出る。
10話目でございます。
そろそろ毎日はきつそうです。。。
「ドロンダー渓谷ってどんなところにあるんだ?」
界人はこの世界に来てまだ一度もこの村の外に出たことがなかった。
「では、もしよければいらっしゃいませんか?」
ブルファードが提案したのは自分の村への招待だった。
「おおー!行きたい行きたい!」
界人は乗り気だった。
「アカリウス様・・・ですが虎族の村は・・・」
ハウレスが何か言いたさそうにしていた。
「今回のこの件はもう解決したことだし行くのは自由だろ?」
「ですが・・・」
「よーし、決まったことだし早速出発だ!」
何か言いたさそうにしているハウレスの話は聞かず、界人は虎族の村に行くことを決めた。
「では行きましょうか」
「それにしても楽しみだなぁ・・・この世界について何もまだ知らないから何か新しいこと知りたい・・・」
界人は話し合いをしていた場所の外にでると一つ疑問に思った。
それは、移動手段だ。この世界には乗り物はあるのだろうか・・・。
「ところでどうやってドロンダー渓谷まで行くんだ?車とか?」
「クルマ・・・?とは」
ブルファードが不思議そうに聞いてきた。
「いやっなんでもない・・・」
やはりこの世界には車はないらしい。
当たり前と言ったら当たり前なのだろうか・・・。
「飛龍に乗って行きます」
龍族の中の種なのだろうか・・・?
「飛龍とは空を飛ぶことのできる龍のことでございます」
「えっそんな龍どこにいるんだ?」
周りを見渡してもそれらしいのはいなかった。
「あれでございます」
「えっあれ!?」
村の門の外には龍がいた。
人間の形をした龍族などではなく本物の龍の形をしたこれぞ龍っていう感じの龍だった。
「あれに乗っていくのか?」
「はい」
「でけぇ・・・」
だいたいコンテナ車並みの大きさがあるだろうか・・・。
村の外には飛龍が十体ほど並べられていた。
「じゃあもう行けるのか?」
「そうですね。早く着くためにも早めに出発したほうが良いでしょう」
「お前らは一緒に行くのか?」
界人は後ろに立っている聖龍のほうを振り返った。
「ご一緒したいのはやまやまなのですがこの村周辺の監視など仕事がございまして・・・
ハウレスが言った。
「じゃあ俺が一緒に言ってもいいか?」
ラトロスが言ってきた。
「おおっ一緒に行こうぜ。せっかく行くなら多いいほうが楽しいし」
ラトロスと一緒に行くことになった。
「では、出発しましょうか。アカリウス様はあの飛龍に乗ってください」
ブルファードが指さした先にはひときわ目立つ黒色の飛竜がいた。ほかの飛竜より大きかった。
「おぉこれか・・・めちゃでかいな・・・」
(うっ・・・怖い・・・)
界人は動物全般的に苦手だ。
「では、ここに足をかけて乗ってください」
(お・・おう・・・)
ブルファードが指示した龍の体の横には足をかけることのできる足場があった。
ガルゥガルルルルル
「わっ!?」
「上手く乗らないといけなくて・・・飛龍の扱いは難しいのです」
「それを最初に行ってくれよ・・・」
「すみません。言い忘れていました・・・あと飛龍は怒るとその相手の腕にかみつくことがあるのでご注意を」
どうやら飛龍というのは凶暴らしい。
「かまれるとどうなる?」
「んーとりあえずあの鋭い歯で腕を噛みちぎられる感じですね」
「いや、怖いなおい・・・」
「よーしよし、いい子だいい子だ」
ブルファードが飛龍の背中をさすると足をかけやすいように飛龍のほうから体を傾けてくれた。
「お前すげえな!」
「慣れらば意外と簡単に飛龍を操ることが可能になりますよ。アカリウス様もやってみますか?」
「腕なくなるのは嫌だからいい・・・」
「では乗ってくださいー」
「う・・・うぅ・・・」
また吠えられるのではないかと心配しつつ界人は足をかけ、飛竜に乗った。
「よいしょっと」
横からラトロスも乗ってきた。
「では早速出発しましょうか」
ブルファードはそう言うと飛龍に鞭を打った。
バサッ
すると飛龍は思いっきり羽を伸ばした。
「アカリウス様行ってらっしゃいませ!」
「お気をつけてー!」
周りには龍族の龍達が界人の見送りのためにたくさん集まっていた。
「私ども聖龍が村の安全は守りますので安心していってらっしゃいませ!」
ハウレスは笑顔でそう言った。
「頼んだぞ」
「出発ー!」
パチンッパチンッ
バサッバサッ
ブルファードがもう一度鞭を打つと飛龍は羽を羽ばたかせ少しずつ浮いて行った。
「うおー飛んだー!」
先頭にいる界人の乗っている飛龍が飛ぶと後ろにいたほかの飛龍も一気に飛び出した。
飛龍はどんどん高度を上げていき下で手を振っている龍族がだんだん小さくなっていった。
「やっぱり飛龍からの眺めはいいなあ!アカリウスもそう思うだろ?」
「なぁ・・・高すぎんか・・・?」
「あれっもしかして高いところ苦手なのか?」
界人は高いところも苦手だ。
しかも今は飛龍の背中に乗っていてシートベルトがあるわけではないのでバランスをくずすと下に落ちて行ってしまう。
この高さから落ちたら苦しまずに死ねるだろう・・・。
「せめて(空の旅を快適にお過ごしくださいませ)とか言ってくれる可愛いCAの人でもいればいいのに・・・」
そう界人は思った。だんだんと飛龍のスピードが上がっていった。