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【一話】 死刑執行!

いままで書いたシリーズすべて中途半端なまま新しいやつです!

このシリーズはネタ切れしないように極力毎日出していきたいです!

 「最後の食事だ。しっかりと食え」


 警察官は淡々とした声で言う。

 俺は机の上に置いてあったお菓子を手でつかみ食べ始める。


 「今から始めるんですか」


 「殺しなんてしなきゃよかったのにな」

 

 警察官は言う。

 

 「それなりに人とは違う楽しみ方で人生を生きたので俺はもうこれで十分です!」

 

 顔には笑みを浮かべながら警察官に目を合わせる。

 神崎かんざき 界人かいと35歳。連続殺人犯。

 今から界人は処刑されようとしている。

 18歳の時に初めて人を殺し、28歳で逮捕されるまで子供から大人まで50人以上の人間を殺してきた。殺した後は死体で遊び、飽きたら遺棄していた。

 しかし、28歳の時に少しヘマしてしまい犯人が界人だということが分かり逮捕された。

 母親は麻薬の密売で捕まり、父親は銀行強盗で捕まった。

 母にも父にももう10年は会っていない。今どうしているのだろうか。あまり気にしてもいなかった。多分有罪判決を受け刑務所に収監されているのだろう。

 こんな家庭に生まれたから、界人もこうなってしまったのかもしれない。

 一度人を殺したらその感覚に興奮を覚えてしまい自分を止めれなくなってしまっていた。

 ストレスが溜まったら、人を殺す。界人のストレス発散方法だった。

 夜中一人で歩いている女を見つけては拉致監禁強姦殺人。

 逮捕されたことが発覚し、ニュースになった時には日本中がざわめいた。

 毎日のようにテレビをつけると界人についてのニュースをやっていた。界人の幼少期時代についてや通っていた学校での担任の先生へのインタビュー、親族関係にまで取材が行った。

 発覚しているだけで50人以上の人を殺していたのだから。

 警察には言っていないが界人にとっては50という数字は少ないほうだと思っていた。

 バレていないだけで100人は殺していると自覚していたのだから。

 初公判の時にはたくさんの人が裁判所の前に並んでいた。

 結局界人は死刑判決を受け服役していた。

 死刑という紙を持った人が裁判後、テレビカメラの前に出てきたときは速報として全テレビ局の画面上に映し出された。

 逮捕から7年。ようやく死ねるんだ。そう思いながら界人は笑っていた。

 毎日狭い牢屋の中で過ごした日々。ようやくそのつらい日常から解放されるのだ。


 「早くやっちゃってくださいよ。俺は早く死にたいんです」


 「そういわずともとっととやってやる」


 警官はあきれた声で言ってきた。

 

 「ははは楽しみだなー」


 ほかの人にはできないようなことをやってきたという満足感だけで界人にとって十分な人生だった。

 思い残すことはない。

 両親との思い出も自分にとっての楽しみも界人には何もなかった。

 子供のころに親は捕まり、独り身になっていた。

 そんな独りぼっちだった界人を受け入れてくれた親せきを最初に殺したのが界人の殺人犯人生としての始まりだった。


「せっかくなら来世でも人殺したいな」


 界人は笑いながら警察に向かって言った。

 普通の人から見たら絶対にやばい奴だ。


 「ということで食べ終わりました。おいしかったです」


 「そろそろ死刑執行の予定時間だ」


 「ついに死ねるのか」


 「では罪状を読み上げます」


 警察官が罪状を読み始める。

 読み終わり、警察官が界人に目隠しをつける。


 「やっと死ねるんですね!」


 緊張感が漂う空気の中、界人はまるではしゃいでいる子供のような声で言った。

 後ろにいた警官が首に縄をかけようとした。


 「死ぬ前に最後に一言叫ばせてください」


 首に縄をかける手が止まった。


 「もし来世があったら来世でも人を殺すぞおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」


 普通の死刑囚ならここで泣き叫ぶところだ。

 死にたくないだのまだ生かせてくださいだの・・・だが界人は違う。

 死ぬのが楽しみなのだ。


 スゥゥゥゥゥゥハァァァァ


 界人は深呼吸をした。


 「では死刑しちゃっていいですよ」


 「・・・」


 警官は無言だった。

 存分にこの世界は楽しんできた。

 今は死後というのに興味を持っていた。

 警官が首に縄をかけ終わる。


 「では死刑を執行します」


警官が言った。


スゥゥゥゥゥゥゥゥハァァァァァアアア


 界人は最後に大きな深呼吸をした。

 三つのボタンの前には三人の警官が立っている。

 三人の警官がボタンに手を置く。

 ボタンを押す警官の心の中にも様々な複雑な思いがあるのだろう。

 この三つのボタンを同時に押すとどれか一個が本物のボタンで死刑囚の足元の床が抜けることになっている。


 ポチッ


 すると三人同時にボタンを押した。


 バタン


 ボタンを押した瞬間大きな音が鳴り、今までそこにあった床が落ちて行った。


 すると界人は首を吊ったまんま宙に浮いた状態になる。


 「うっ・・うっぷ・・・うっ・・・うっ・・・」


 界人は少し微笑を浮かべながらも酸素がどんどんなくなっていきどんどん顔が赤くなっていく。


 「うぷっ・・・うっ・・・うっ・・・・・・」


 さすがに苦しいのか界人は眼を見開いた。

 頭の中ではアドレナリンがどんどんでてきて興奮状態になっている。


 (首絞めプレイってこういうものなのかな・・・)


 死ぬ間際界人は頭の中でそう思っていた。

 

 「うっ・・・」


 ここまで息ができない感覚を体験したのは生まれて初めてだった。

 界人の視界は真っ暗になり意識が遠のいていく。


 ピー


 警官たちの前に置いてあった生体情報モニターに映し出されている脈拍の折れ線グラフが直線になった。

 

 【神崎 界人(35)死亡】

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