表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
余の名は課金王  作者: 劇鼠らてこ
課金王の考察
40/56

課金王と部隊長の募集

部隊長の人材発掘


「ギルマス、金の準備は出来てんだろうなぁ……げっへっへ」

「えぇ。 蒼錬鉱と1Mですね。 お願いします」

「……そこはさ、娘だけは! とか無いワケ?」


 ネクサリアの街の東に位置する洋風・2階建ての一軒家。 そこそこの広さがあり、庭付き・かまど付き・炉付きと生産職には嬉しい様相となっている。

 ここはギルド『課金王近衛部隊』のギルドハウス、その名も『近衛部隊詰所』である。


 詰所と言うには、普通に2世帯の家族でも住んでいそうなデザインなのだが。


「? すみません」

「くじら、ギルマスにそういうの通じないってば。 それより、陛下との攻略はどうなったのー?」

「一度中断して帰ってきました。 陛下の耐久ポーションによって今は全快していますが、途中で中断したにも関わらず耐久減少半減の付いた耐久値220の鎧の耐久が20になってましたよ」

「うへぇ……。 盾使いには鬼門すぎるー」 


 一般的にリビングと呼ばれるその場所で、しかしファンタジーなレザーメイルや布の服などを身にまとった男たちが話している。 ロングポニーな長身の男、部隊長。 ガタイの良い短髪緑髪の少年、山川斎藤重兵衛。 そして痩せ型で腰の曲がった50くらいの中年、くじら。 

 部隊長以外見た目特徴があっていないが、3人とも慣れた事なので特に気にしていない。


「そういえば2人とも、後藤というプレイヤーについて何か知りませんか?」


 思い出したというように左掌を右拳でポンと打ち、2人に問いかける部隊長。


「後藤? あぁ、NEETSHINの事?」

「にーとしん……?」

「うん。 『職業を選んでください。』を選択した奴の中でも、最前線で戦うバカの事」

「あぁーそれが後藤って名前なのかー」

「……? すみません、記憶にないですね」

「ギルマスは陛下の周りの人間以外覚えてないじゃんかー。 NEETSHINはねー、格闘家よりも酷い環境……つまり、武器もスキルも無しで戦う最強の無職なんだよー。 防具の装備もネタ武器しか無理っていう縛りプレイー。 ほら、これこれー」


 ピロリン♪ という古風な音がした。 部隊長のメール着信音だ。 山川斎藤重兵衛が送ったらしいソレには、技術の発達した今でも使われているURLの文字列。 ページを開くと、公式掲示板だった。

 スレッドタイトルは『NEETSHINを崇めるスレ』。 どこか既視感を覚える部隊長。


「これは……?」

「検証だよ。 無職でどれだけの事が、そして何ができるかって奴。 完全攻略したらNEETSHINがスクリーンショットを上げるスレで、他の奴らも基本無職らしい」

「火力無いのに根気強くボスを倒しきるから結構人気なんだよー。 ただし一撃でも喰らったら蒸発必至だけどねー」


 スレッドにはいくつかのSSや動画があげられており、特に動画は長時間の物が多かった。 試しに部隊長がミュート状態で再生してみれば、ボス戦からクリアまでを恐らくカメラマン役の者が1時間2時間にわたって後藤の戦いっぷりを収め続けるというもの。


 動画としてはつまらないものだが、部隊長は後藤の技術に目を付けた。


「これは……素晴らしいですね。 耐久を気にしなくていいネタ武器と素手で、しかししっかりと捌いている……。 今回のダンジョンにはもってこいの人材です」

「え、マジで言ってる? 陛下・ギルマス・NEETSHINのコラボ来ちゃう?」

「あと2人程必要ですが……この方を誘う許可を陛下に頂かなければ。 くじら、蒼錬鉱と1M渡しますので、お願いしますよ」

「おーぅ……。 って、もう行っちまった。 メールすりゃいいのに……」

「ギルマスって偶に猪突猛進だよねー」

「たまにっつーか、いつもじゃね?」


 くじらはトレードしたアイテムを持って、炉へと向かった。















課金王の人材勧誘


「耐久気にしなくていい装備で且つソロ出来る奴……ッスか?」

「うむ。 余の耐久ポーションに頼らずともよくて、ソロでレイドボスと渡り合える者を探しているのだが……ラジャネーレダローにはおらぬか?」

「うーん……。 ちょっちギルチャで聞いてみるッス」

「おぉ、頼むぞシュリ!」


 プライマの街、訓練所ロビー。

 そこで白金色の塊・課金王と、コスプレ忍者娘・シュリが並んで座っていた。

 課金王はフルプレートアーマーも相俟って巨大・長身だ。 その横に小さなシュリが座ると、余計に2人の差が如実になる。


 課金王に頼まれたシュリはギルチャを開いた。


『もっつぁらら:だからブルーチーズはスライスサラミと一緒に食べるのが一番って何度言えば分るの?』

『†暗黒のガチタンク†:コスパ的にカルパスだろ。 美味い安い手軽に買えるの3コンボ。 スライスサラミとか、一々スーパーいかにゃねぇだろ?』

『ryouhei831:まずブルーチーズが嫌いだわwww青かび食って何が美味いんだよwww』

『†暗黒のガチタンク†:いや、それは違うぞりょうへい。 ブルーチーズは塩辛いサラミとかカルパスと一緒に食べる事で、その味は一変する。 これはガチだぞ』

『一円の為に生きる女:ガチタンがガチっていうならガチだねっ!』

『もっつぁらら:一円いたのね。 気付かなかったわ』

『ryouhei831:来たら挨拶くらいしろよwww』

『一円の為に生きる女:一番最初に来てたのに……』

『手裏剣大好き:あのー、ちょっといいッスかー?』

『ryouhei831:影薄いwwwwww』

『†暗黒のガチタンク†:マジか。 気付かなかったわ。 すまん一円』

『一円の為に生きる女:いいですよー……どうせ影薄いですよーだ』


 話聞いちゃくれねぇ。 大人数ギルドの欠点がコレだった。

 ログが早すぎて、大きな流れの中だとすぐに流されてしまうのだ。


 だが、救いの神はどこにでもいるもので。


『ヘルウインド:みんな、シュリが質問あるみたい』

『南北南南:聞いてあげなさいよー。 シュリちゃんがかわいそうでしょー?』

『手裏剣大好き:ヘルちゃん大好きッスー!』


 ヘルウインドが流れを止めてくれた。 というのも、ヘルウインドは『ラジャネーレダロー』のマスコット的存在故に、彼女が発言するだけで全員しっかりとそのチャットを見ると言う統率力を発揮するのだ。


『南北南南:あれぇ? 私はー? 私には無いの、シュリちゃーん!』

『手裏剣大好き:……ネカマの中年 (ロリコン)に向ける言葉は無ぇーッス』

『南北南南:ひどすぎぃ!? ルビ機能無いのにわざわざ括弧つけないでよぉ!』

『もっつぁらら:ごめんなさいね、シュリ。 それで何が聞きたいの?』

『南北南南:スルー!?』


 南北南南。 アバター(の設定)は20歳の女子大生。 しかし、中身は28歳のおっさんという典型的過ぎて逆に珍しいネカマである。 なお、余りの演技力の無さとVRと言うことが相俟って、早々にバレてなお演技を続けるポジティブネカマである。


『手裏剣大好き:あーっとッスね。 耐久減っても構わなくて、且つソロでレイドボス相手にできる人探してるんスけど……』

『†暗黒のガチタンク†:俺は無理だな。 耐久減るのは鬼門だ』

『巻貝の巻:今激熱とテルゾナ攻略してるから2人ともパスでー』

『もっつぁらら:へ? テルゾナ攻略?』

『巻貝の巻:攻略法激熱が見つけたんだYO! 忙しいからそんじゃま!』

『南北南南:気になるじゃなぁい。 サブマス、教えてよぉ』

『手裏剣大好き:いないッスかねぇ……課金王の募集なんスけど……』

『ヘルウインド:行く。 ロリポップなら耐久減らないから、行ける』

『一円の為に生きる女:私も行っていいかなーって……ほら、私耐久関係ないじゃん?』

『手裏剣大好き:ちょっち待つッスー』


 ギルチャから顔を上げるシュリ。


「ネタ武器持った風・火魔法使い1人、弓使い1人行けそうッスけど」

「弓使いか……ソロでいけるのか?」

「あー、こいつちょっと特殊なんスよ。 弓使いなんスけど、矢で戦うんス」

「ほう?」

「矢を持って短剣みたいに使うんで、ソロの実力は高いッスよ。 どうッスか?」

「うむ。 その2人でお願いしよう。 フレ申請をする事を伝えてくれ」

「はいッス」


『手裏剣大好き:課金王がフレ申請したいみたいッスけど、2人とも枠空いてるッスかー?』

『ヘルウインド:空いてる』

『一円の為に生きる女:私元からそんなにフレいないんでー……あはは』


「大丈夫っぽいッスよ」

「すまんな、橋渡しをさせて」

「いえいえー、いつもお世話になってるッスからー。 んじゃ、アタシは昼ごはんに落ちるッすー」

「うむ。 それではな」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ