表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
余の名は課金王  作者: 劇鼠らてこ
課金王と仲間達
23/56

槍使いと忍者の仲間達の戦闘

ネタ武器って……いいよね

「いやいやいやいや、なにこれきっつー! 削れ方おかしいって! 『ライフポーション』!」

 

 システムの面で言えば、実はポーション系のアイテムは取り出さなくても効果を発揮する。 サイバー太郎が今行ったように、声に出せばいいのだ。 一部の極め人は脳内指示でできるようだが、少なくともサイバー太郎には出来なかった。


「わー、いつの間にか減ってるってくらいの、おっと『ロックスクード』! 最大値だった耐久値が目に見えて……すごー!」

「ライポもガーポも足んねーぞ! チッ! 出血大サービスだ、やばくなったらワイドエリクシールを使う!」

「暗黒さん太っ腹ァ! 『クラッカーアロー』!」


 当たり前の事だが、課金王でなくともエリクシールは使える。 本当に当たり前の事だが。 †暗黒のガチタンク†だけでなく、社会人組は緊急用として1つくらいはエリクシール類を持っていたりする。 課金王の様な、湯水の如き使い方はできないが。

 山川斎藤重兵衛の『ロックスクード』は先に説明した通り、地形に応じて盾を造るスキルだ。 山川斎藤重兵衛はそれを研究し、盾の角度を変えることで攻撃にも転じている。 

 サイバー太郎はその小さな盾の陰から、片手に持ったクロスボウでサンディーヴァの鳥達を攻撃している。 だが、ただの矢程度に当たるサンディーヴァの鳥達でもない。 サイバー太郎もそれがわかっているのか、放たれた後一定時間が経った後に効果を発揮するタイプのクロスボウスキルを使っている様だった。 『クラッカーアロー』は、謂わばボルトで行う炸裂弾だ。


 エイレンのカウントが終わってから1分。 既に幾匹かのサンディーヴァの鳥達を逃してしまっているものの、その大半を足止め出来ているあたりは流石の盾持ちといえるだろう。







「アイス系は意味ないみたいだな。 『ウィンドウィップ』」

【ウィッパー:氷結系の攻撃は一瞬の足止めにしかならないみたいだ。 各自、ソレを踏まえて戦ってくれ】

【ホワイトマジシャンボーイ:なに、氷魔法には他にもやり方があるから大丈夫でぃ】

【ryouhei831:打ち間違ってんぞwwww】


 盾持ちの間をすり抜けてきたサンディーヴァの鳥達を避けつつ一撃を入れ、即座に耐性属性を見抜いたウィッパーが連絡を入れる。 サンディーヴァの鳥達に『アイスウィップ』が触れた瞬間、ジュッという蒸発音がしたのを聞き逃さなかったのだ。


「よくそんなの聞こえますね。 『ファイアー・リング』『ファイアー・シャワー』」

「慣れてるからな。 だが、不味いな。 俺たちじゃ火力が足りないらしい。 あの速さの敵を1撃で仕留められないとなると……おっと!」

「『ライフポーション』! ジリ貧ですね。 私は紙装甲なんで、あれで刺されたら一撃でお陀仏です」

「できるだけ盾持ちの陰になる位置取りをするしかないさ。 いざとなればエリクシールを使う。 ワイドじゃないのが申し訳ないけどな」


 もっつぁららは次々とスキルを発動させていく。 『ファイアー・リング』は燃え盛るフラフープ大のリングを投げるスキル。 『ファイアー・シャワー』は中空に放り投げた火種から細かい炎の粒を放射するスキルだ。 しかし、ジャグリングと同様に一撃性に欠ける。

 

 もっつぁららもウィッパーも、回避率の高まる装備故にかすり傷程度で済んでいるものの、逐一ライフポーションで回復しないといけない程度にはダメージを負っていた。





「笑えないなー。 草も生えん。 オラァ!」

 

 ryouhei831は両手剣使いだ。 課金王の職業である大剣使いとの違いは、重心がどこにあるか。 両手剣使いは両手剣に重心を置き、プレイヤーはあくまで両手剣の補助でしかないような動きをする。 反対に、大剣使いはプレイヤーが中心だ。 プレイヤーが動き、プレイヤーの周囲を攻撃する。 

 両手剣の方が行動範囲が広く、大剣の方が手堅いという区別が為される。

 ryouhei831はその手に持った両手剣『ビル・タワー』を構える。 その名の通りビルの形をした両手剣で、持ち手の部分が塔になっているネタ武器だ。 全両手剣の中で最も幅が広く、長いので、多対一の戦闘時には中々重宝される。 

 もっとも、その存在を知らないプレイヤーが多いのも事実である。

 

「ネタ武器がどれだけ強いか……思い知らせてやるよ」


 Ryouhei831はスキルを使わずに両手剣を振り回し始める。 その重心はブレブレで、複雑な軌道を描いてサンディーヴァの鳥達を妨害する。 







「……両手剣、豪快だ、なっ!」

「『フレイムエンチャント』『ウィンドエンチャント』! 見てないで手を動かせ伊藤!」

「動かしてるよ! マッカーサーも逃がしまくってるぜ!」

「めんどくさいから間違えるなって、クッ! 『ライフポーション』!」


 Ryouhei831の後ろで忙しなくサンディーヴァの鳥達を処理しているのはクレバー伊藤とマッカダナーの双剣コンビ。 しかし、もっつぁららとウィッパーのペアと同じく火力に欠け、手傷を負わせることはできるもののその大半の鳥達を逃がしてしまっていた。

 しかしそれは、後ろに構えるグッニャグニャを信頼しての事だ。






「アハハハハハハ! 潰し放題じゃない! いいわよ、良いわよ来なさい! 全部叩きとめてあげるから! ヒヒヒヒハハハハハハハハ!」


 口角をこれでもかと吊り上げ、犬歯を剥き出しにし、グッニャグニャは声高らかに嗤う。

 『古城の砲門』のサブマスター、グッニャグニャ。 メンバーの中で最も好戦的で、最大の火力を持つハンマー使いである。 瞬間火力ならば、課金パワーポーションで強化した課金王をも越すだろう。

 彼女はその身丈――167㎝――という小柄さを武器に、洞窟のほぼすべてを埋める攻撃範囲を以て鳥達を叩き潰している。

 3分経った今でさえ、後ろに一匹も逃していないというのがその実力の表れだ。


 しかし――。


【グッニャグニャ:ライポきれちゃったー☆】

【†暗黒のガチタンク†:大丈夫か? こっちも余裕ないけど】

【ホワイトマジシャンボーイ:ライフポーション投げましょうか?】

【グッニャグニャ:おねが……あっ】


 大振りで火力の高い攻撃の弱点は、その中心にいるグッニャグニャ自身だ。

 攻撃が最大の防御とばかりに全力でハンマーを振っていた彼女は、誰よりも早くライフポーションを切らしてしまった。

 そしてそれは、周りがフォローする間もなく悪夢となる。


【グッニャグニャ:くやしいなぁ】


 そのパーティチャットを最後に、グッニャグニャの身体が地に伏せた。

 グッニャグニャに巻き込まれまいと他の段より離れていたのが仇になったのだ。 ホワイトマジシャンボーイが駆けつけようとライフポーションを取り出した時を同じくして、グッニャグニャの身にサンディーヴァの鳥達が突き刺さっていた。


【セイン:南無】

【クレバー伊藤:姉さん乙】

【ホワイトマジシャンボーイ:間に合わなかった……すまない】

【サイバー太郎:実力不足なだけだから気にしないでいいぜ。 それより、魔法の準備は?】

【ヘルウインド:万全】

【ホワイトマジシャンボーイ:勿論、出来ている】


 『古城の砲門』メンバーはあまり気にしない。 精鋭の集まり故の冷たさともとれるが、グッニャグニャへの信頼でもあった。






「来たよ、ヘル! 『グラース・カノン』!」

「わかってる。 『ストーム・ストーム』」


 ウィッパーの助言を聞いてもなおホワイトマジシャンボーイは『グラース・カノン』を選んだ。 氷魔法は彼の最大にして最強の魔法だ。 というかそれ以外がとても弱い。 

 ホワイトマジシャンボーイの杖先から放たれたバスケットボール大の氷結弾は、サンディーヴァの鳥達の先頭の直前で破裂。 洞窟に氷の壁を創り上げる。


「ヘル! 溶かされる前に砕いて!」

「言われずとも」


 その氷壁にサンディーヴァの鳥達が囚われた一瞬を狙い、ヘルウインドが竜巻で以て氷ごと鳥達を砕いた。 それはもう粉々に。 ホワイトマジシャンボーイもヘルウインドもR18のセーフティにより、グロテスクな表示は見えない。 シュリのようなR15のセーフティだとアニメ調になるとか。



【†暗黒のガチタンク†:ワイドエリクシールを使う暇がねぇ!】

【サイバー太郎:ボルト切れた! 盾だけになる!】 

【もっつぁらら:ごめんなさい、ここまでだわ】

【ウィッパー:すまん、手一杯で守れなかった!】



「ジリ貧、だな。 ヘル、次は?」

「一か八か、ガチタンを援助にいってワイド使わせる?」

「現実的じゃないね。 ソラーレ系は使えないし……『フラッド・カノーネ』でいくかな」

「じゃあ『ジン・ヴァッセ』と『ジン・フォール』を使う。 巻き込まないで」

「こっちのセリフなんだけど……」



 最前線がどんどん削れていく。 両手で武器を扱う故にチャットする余裕の無い者も多数いるようで、被害は表面よりかなりでているのかもしれない。


【セイン:迷った】

【サイバー太郎:死刑】

【ウィッパー:最悪シュリちゃんが生き残ればいいんだろ? だったら引き返して通路守ればいいんじゃないか?】

【セイン:ないすあいであ】


 依頼者であり、メインの1人であるはずのセインが突然の迷った宣言。 サイバー太郎が即座に反応したが、『古城の砲門』メンバーはみんな同じことを思っている。

 一部、『ラジャネーレダロー』の面々も殺意を覚えたとか。


「『フラッド・カノーネ』!」

「『ジン・ヴァッセ』、『ジン・フォール』。 『マナポーション』」


 『フラッド・カノーネ』は『グラース・カノン』の威力を低下させてクールタイムを5分の1にしたスキルだ。 

 『ジン・フォール』は風の刃を降らせるスキル。 使い勝手はいいのだが、閉所で使うと思わぬ方向に風の刃が飛ぶことが或る。

 『マナポーション』は生産スキルで作ることができるMP回復のポーションだ。 課金アイテムには何故か『マナポーション』や『ライフポーション』に該当する物が無かったりする。 ひっくるめればエリクシールだが。



「確実に仕留めるぞ、ヘル」

「ここが最終ライン。 わかりきっている事」



 杖を握りしめて、2人は洞窟の奥を見据えた。


仲間達編はもうすぐ終わりです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ