レインと七色の樹
楽しんでいただけたら嬉しいです♪
「ねぇ、あたしあなたのことなんて呼べばいいのかな?セバスチャンって感じじゃないよね?」
「セバスチャンでかまわないよ?言いにくい?まぁ本当の名前とかないし。みんなは王子ってよぶだけだから、名前いる?」
「そりゃ、ねぇ。」
「じゃぁ、結衣が好きにつけてくれたらいいよ。」
「ん...レインってどう?」
「なにか意味あるの?」
「本当は7色のレインボーからとったつもりだったんだけど、雨だね。」
「雨、いいじゃないか、花に雨は命の水だ。気に入ったよ。俺は今からレイン。」
「で、レインはあたしをどこへつれていくの?」
「あの七色のまだ上の城までだよ。」
「えらく高いとこまでいくんだね。」
翼竜はぐんぐんスピードをあげ、高く上昇していく。
近くで見ると七色の雲だと思ったものは七色の木の実?
雲を突き抜けるほどの大きな木になる七色の実。
そのまだ上に城があった。
一見雲でできた城にみえたのだけど、降りてみるとそれは石よりも硬そうな堅固なお城だった。
「これなにでできてるの?」
「雲だよ、だからこの城はしょっちゅう形が変わっちゃうんだ。何回来ても城の中で迷子になれるよ。」
そういってレインは笑った。
いやいや、笑いごとじゃないんですけど。
形が変わる城ってありですか?
それは形としてはシンデレラ城のようにとんがり屋根が3つあるおとぎ話によくでてくるような大きなお城だった。お城のすぐ下まで木は茂っていて、七色の実が今また目の前で開いた。
すると一人の女の子がひらりと羽を広げて出てきた。
「花の妖精だよ。」
そして、一瞬にして目の前で消えた。
「今、彼女は君たちの世界で花として生まれたんだ。」
「こっちとあたしたちの世界はつながってるんだ。」
「うん、だから妖精がへっちゃうと君たちの世界で花が咲かなくなっちゃうんだよ。」
「そうなんだ」
「だから、僕たちは妖精がちゃんと生まれるようにこの木を守っていかないといけないんだ。」
「うん、食物連鎖ってやつだよね。花がさかないと緑がなくなって、草を食べる動物がいなくなって、その草食動物を食べる肉食動物が消えてってやつでしょ?」
「そうそう。世の中の仕組みはかえちゃいけない。人の体もそうだけど、自然っていうのはうまくできてるんだ。だから歯車が一つかけてもすべてのバランスがくずれてしまう。でもそのために犠牲になる妖精がいることもたしか、僕は彼女をたすけだしたいんだ。助け出して、そのあとこの世界や君たちの世界がどうなるのかはわからないけど。犠牲の上につくっちゃいけない気がする。」
そういって木のてっぺんのあたりを指さした。
そこにはとらわれの乙女が貼り付けにされるようにして鎖でつながれていた。
「なにあれ。ひどい。」
「映画みただろ?この木のエナジーを彼女が賄っているんだ。」
「あれって誰でも良いの?」
「いや、彼女は特別エナジーが濃いんだ。この木のエナジーを何年も彼女一人で賄うんだから。彼女のなかには膨大なエナジーがあると思う。だから助け出して彼女が無事にいられるかどうかもわからない。
「あの映画の通りだって言ったよね?だったら彼女だって木に取り込まれることを望んだんじゃなかったっけ?」
「しかたなくだよ。彼女がいなければ木は枯れてしまう。だから、彼女は…」
「それってあんたのただのエゴなんじゃないの?彼女は本当に助け出されることを望んでるの?第一、彼女助けちゃったらあたしたちの世界が死滅しちゃうかもしれないんでしょ?それをあたしに手伝えって。」
「そうだね、でもなにか他に方法だってあるはずなんだ。。それを一緒に考えてほしい。」
「まぁ、たしかにかわいそうだもんね。うん、考えてみよう。」
と安請け合いしちゃったけど、あたしこのシステムもいまいち理解できてないんだけどな。城のなかを歩きながら考えていた。
気がつくとレインがいない。
こんなだだっぴろい城のなかでほおっていかれたらどうしたらいいの。
あたしは慌ててそこら中の扉を開けまくった。
誰かいないかな?
しかし、城のなかはしんっとして誰も通りかかる者さえいない。
どうしよう、いきなり迷子っていくつ目かのドアをあけるとそこは客室のようだった。ふかふかのベッドが目にはいる。
今日はいろんなことがありすぎて疲れちゃったなぁ。
あたしはふらふらと部屋にはいり、ベッドに飛び込んだ。
あまりのふかふかさに気持ちよくそのまま眠ってしまった。
誤字脱字、変換ミス等てんこ盛りかもですが、速やかに訂正していきたいと思っておりますので長い目で見てやってください(-_-)