花との出会い
久しぶりにBラブでないお話です♪書ききれるか不安ですが、良かったら楽しんでいただけるとうれしいです♪
夢を見ていた。
あたしは小さな星にいて、そこはあたしの星で、小さなかわいい花を育てていた。
アントワーヌ・ド・サン=テクジュペリの星の王子様がいるみたいな小さな星。
その星にはあたしとその小さな花があるだけでなにもなかった。
だからかもわからないけど、その小さな花がとても愛しくて、あたしは一生懸命育てていた。
風が吹いたら自分の身体でかばい、大雨が降れば傘を差し、何時間でも花と一緒にいた。
そしてやっと花が開く瞬間、じりりりりっと朝の目覚ましに無理矢理起こされた。
「もう、もうちょっとでどんな花か見れたのに。また続きみれるかな?どんな花だったんだろう。」
あたしは小さく呟きながら制服に着替える。
父と母はもう仕事に出掛けたらしく、下へ降りても誰もいなかった。
コーヒーメーカーには良い香りのコーヒーが一人分だけ残されていた。
それを自分のカップに注ぎパンを焼く。
その間にハムと目玉焼きを焼いてバターを塗ったトーストの上にのせると、あたしのいつもの朝食のできあがり。
その上からマヨネーズをかけて、うま♪
ゆっくりと朝食を食べ、これまたゆっくりと登校する。
うちの中学は山の中腹みたいなとこにあるから、上り坂が続く。
よく男子とか遅刻寸前でこの坂道をかけ上ってるとこみるけど、よく走れるよなぁっと思いながら、毎朝ふぅふぅと息を切らしながら登っていく。
舗装されてるだけましっちゃましか…
「おはよ、結衣」
「おはよ、亜豆記」
おっと、自己紹介遅れました。
あたしは中学2年 幸坂結衣、彼女は親友の伴野亜豆記。
「おはようございます。」
足早に追い越していく、憧れの先輩。
大里健吾さん。中学に入ったときからの憧れの先輩。
スマートでカッコ良くてみてるだけでどきどきする。
先輩の親友だろうか、いつもとなりにいる羨ましい人、下柳悟先輩は剣道部の主将。
ちょっとマッチョでカッコいいけど大里先輩には負ける。
声をかけてほしい人はいっぱいいすぎて競争率たかすぎ。
だから、この朝の挨拶だけであたしは満足。
「そんなのダメだよ。もうすぐ卒業だっていうのに、卒業されたら忘れられちゃうよ?良いの?」
「よく…ない」
「卒業までに告白しないとそれっきりだよ?後悔しない?」
「でもなぁ…」
「とりあえず、卒業記念ってことで花でもわたす?で、その勢いで告白だ!」
「ん~」
しぶるあたしをときふせて、次の日曜に花を買いに行くことになってしまった。
なんか最近花づいてる?
その夜、同じ夢をみた。
しかし、少し時間が違うのか小さな星であたしが泣いていた。
みると、花が散っていた。
なぜ?あんなに大事にしてたのに。なんで散っちゃったの?
いつまでも肩をおとして泣くあたしをあたしは高いところから眺めていた。
目が覚めてもなんだかひどく悲しくて涙が止まらない。
目覚まし時計のベルがなるまであと40分ほどあった。
あたしはひとしきり泣いて、いつもの朝をすごし、家を出た。
校門近くを先輩が歩いていた。あたしは思いきってそこまで走り、先輩に挨拶をする。
「おはようございます。」
「おはよう、あれ?今日は一人?」
「え、は、はい。友達はたぶん、今日はもうついてるかと、今日は少し出るの遅かったので。」
「そうだね、いつもは俺らが追い越すのに、今日は君が追い付いてきたもんね。」
心臓がどきんと跳ねた。
知っててくれた。
あたしに気づいててくれた。それだけでもう満足するくらいうれしかった。
毎朝挨拶をかかさなかった努力がみのったってとこだろうか。
「お前、あくびでもしすぎたのか?目がうさぎだぞ。」
下柳先輩がクスクス笑いながらハンカチを貸してくれた。
「あ、ありがとうございます。」
あくびのしすぎってどんだけあたしねむたがりなのよ。
と思いながらもハンカチをかり、目元を押さえる。
学校について、トイレの鏡をみると見事なうさぎ目になっていた。
起きてからも泣いてたからなぁ。
近来まれにみる悲しさだったよ…
亜豆記はやはり先に着いていた。
「結衣、その目どうした」
驚く亜豆記に夢の話をした。
「そっか、かわいそうにな。」
よしよしとあたしの頭を撫でてくれた。
日曜日、あたしたちは駅前で待ち合わせ、大きなショッピングモールへ行った。
日曜日は子供連れの家族やカップルがたくさんいて、はぐれてしまいそう。
あたしたちはてを繋ぎ、目的の花屋さんを目指した。
「どんな花にする?」
「あれ、あれかわいい。」
それはプリザーブド・フラワーのコーナーだった。
ガラスの靴をイメージしたのだろう、透明な小さなハイヒール型の入れ物に、かすみ草と白水色、青のミニバラが活けてあった。
「これ、これいくらですか?」
「税別5400円になります。」
「ケースありますか?プレゼントなんですが。」
「はいございます。別途料金が1000円かかりますが。」
それくらいなら予算内。
あたしはそれに決め、あっさりときまってしまった買い物に時間があまったから、取り置きをたのみそのままぶらりをはじめた。時計や宝石など色々みて回り、石屋さんでパワーストーンのレクチャーを受け、本屋で大好きな漫画を買い、エスニックな店で鞄を買い、サブウェイで軽くお昼御飯。
そのあと、ペットショップで子犬を抱かせてもらい、甘味処でちょっと休憩。
大満足して花屋に戻るとさっきの花はきれいなアクリルケースにいれられリボンがかけられすぐにでも渡せる準備OKになっていた。
それを受けとり、店内を見回すと1つの鉢植えが目についた。
なんだか、それだけ浮いているようにみえたのだけど、なんだろう、この違和感。
「あれ?これなんの鉢植えだったかしら?」
店員のお姉さんも首をかしげていた。
あたしはそれがどうしても気になって、思わずいくらですか?と聞いていた。
しかし、店の人誰もそれがなんの鉢だったかわからず、他の回りの鉢が2500円くらいだったので、1000円でいいですとかなりおまけしてくれたので思わず買ってしまった。
亜豆記には重いのにぃといわれたけど、あたしはなんだかわくわくしていた。
きっとこの子はあたしの星で散っちゃったあの花の生まれ代わりなんだよ。
あたしはその鉢を大事に抱き締めた。
ベッド際の窓辺の日当たりの良いとこに鉢を置き、水をやる。
それから1週間毎朝、今日は咲いてるかとどきどきして起きるものの蕾は固く咲く気配すらない。
そして7日目の夜、それは月の光が真昼のように眩しい夜だった。
あたしはぼんやりと花を眺めながらもうすぐ卒業式だなぁっと先輩のことを考えていた。
「花、まだ咲かないけど、このまま枯れちゃわないよね?」
つんつんっとまだ固いつぼみをつついてみる。
すると固いつぼみの先がほんわりと開いた。
「え?」
月の光が照らす中、ほんわりと開いた蕾は一気に花びらを開かせた。
小さなつぼみのどこにこれだけの花びらをかくしていたんだろうというくらい、大きな花だった。
しかも、小人さん付き?
花の中央で眠そうにあくびをする小さな男性がいた。
あたしの視線に気がついたのか、姿勢をただし、うやうやしく礼をする。
「お初にお目にかかります。私、この花の精でセバスチャンと申します。お嬢様。」
まるで執事のように礼をしてにこやかに笑う。
「えっと…セバスチャンさん?背中にネジとかついてたりしません?」
「?しませんが?なにかご不審な点でも?」
ご不審だらけでしょ。
「なんで花から人がでてくるんですか?生きてるんですか?」
「先程ももうしました通り、花の精でございます。花からでてくるのは当たり前なのですが、お気に召しませんか?」
「いえ、お気に召すとか召さないとかじゃなくて。…寝ます、おやすみなさい。」
あたしの頭では事態についていけなくて考えることを拒否してしまった。とりあえず寝てしまおう。わからないことはまた明日かんがえよう。
一晩寝て起きたら夢でしたってオチかもしれないし。
あたしは布団を頭までかぶって丸まった。
誤字脱字、変換ミスてんこ盛りかもですが、速やかに訂正していきたいと思っておりますので、長い目で見てやってください(>_<)