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夏生詩集

十月十日(とつきとうか)

作者: 夏生

とうとう

切り離されるのですね

十月十日共にいた

あなたと


どんなお顔なのかしら

ハイテクな覗き穴でも

丸が三つ連なっている

だけで

よくわからなかったから


ああ、動いた

私の中はもう狭いでしょう

伸びもできないでしょう


あなたが来た日が

もう懐かしい


私の中は育むには不向きと

つめたい診断がくだされてから

私はあなたのことを

まだ来ていなかったあなたのことを

思って泣きました


あなたに来てもらいたい

一心で祈りつづけました

祈る声、うるさかったでしょう?



居心地よくするために

私の身体は一生懸命

大掃除して

要らないものは即座に

吐いて捨てました


あなたが居てくれた間

私の中はポカポカして

身体全部が都市のように

活気に満ちていました


切り離しを経験された人たちは

辛さと喜びの両方を語って聞かせて

くれました


あなたが存在するきっかけを

つくった人は

私とあなたを毎日包み込んで

くれました


あなたも私も幸い者です

乞わずとも与えられた

思いを持っているのですから


一日一日を

丁寧に織り上げていくように

過ごしました


もうすぐ

切り離されるのですね

私はあなたに会いたいのに

会うことがおそろしくて

なりません


切り離された私たち


あなたは果敢にも

両目をしっかり開いて

私を見て

私の指をしっかり握ってくれました


再び繋がった私たち

あなたと私がここにいる

もう何もおそろしくありません













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