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約束の夢  作者: 橘榛
3/8

三話

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 教室に戻り、一息つく。

 女子は自分たちの試合に出ている。つかの間の休息(ほんとの意味で)だ。

 一回目の戦いで食らったサンダーブラストのダメージはもう残ってはいない。だがノーガードで受けたのだ。何か後遺症があってもおかしくはない。


(次もこれくらいしんどいのか……持つのかよ、俺の体……)


 勝利はしたものの、次からの試合が不安になる初戦だった。

 しかし、予選リーグの第二試合、第三試合は初戦ほどしんどい戦闘もなく、能力を使わずに勝利を収めた。どうやら比較的楽なグループに入っていたらしい。あまり名前を聞かない人たちだからそこまで苦労はしないだろうと思っていたが、まさか能力を使わなくてもいいとは……。

 ちなみに一戦目の相手であった上野(試合の後名前を聞いた)は二連勝していた。相手との距離を一瞬で詰める、という目立つ能力のため、あまり使いたくなかったらしい。俺が最後に相手にかけた『時間減速』には気付いていなかった。気付かれなくて助かった、というべきか。

 時間操作の能力者はあまり多くない。理由は『発展』の能力者で時間操作を身につけたものはいないからである。要するに、時間操作の能力者は『原点』しかいないというわけだ。

 時間操作の能力者、『原点』の能力者は差別を受ける。『原点』はどうしても浮いてしまい、差別を受けるからだ。出る杭は打たれる、ということだろう。目立つ存在なので差別を受ける、苛められるということだ。

 俺は自分の応力を『移動速度の加速』と偽り、今日まで自身に対しての『時間加速』のみを使ってきた。本当の能力を知っているのは学園長と、一部の先生だけだ。

 これ以上にレアなのが、先ほど使用した能力の同時使用。本来、対象を選択して能力を使用する場合は、一度に一人までしか選択できない。ほとんどの能力者は体の中の力を使いこなせていない。それをほぼ完全にコントロール(九割以上の力の能力のコントロール。ちなみに一般的には七割が限界)ができると、対象の同時選択ができるようになるといわれている。対象を同時に選べれば発動も可能になるのだが、これまで成功した人は過去に三人のみ。その誰しもが歴史に名を残すほどの能力者だ。おそらく、四人目が俺。しかもこれまでの能力者は全員『開発』である。『原点』で同時使用を成功したのは俺が初めてだ。『原点』の方が能力値は高いため、世間では事実上不可能と言われている。まあ俺がひっくり返したが。同時発動は学園長しか知らない。隠れて練習していたところを見つかってしまったのだ。

 ちなみにレアな能力ほど『代償』が払うのをためらうほどのものになっていく。俺の代償は記憶をなくすこと。基本的に記憶の中でも思い出として扱われるものを『代償』として払っているので、日常生活には支障は出ない。周りから少し物覚えが悪いといわれるが、ごまかせる範囲だ。


 第一次予選、予選リーグが終わったところで一日目の午前が終わった。現在は十二時四十五分で昼メシの時間である。天気もいいし教室まで戻ると後々面倒なので、今日は中庭で食べている。

 この後午後一時半より第二予選の予選トーナメント開始予定だ。その時間までに出場が決まっている選手は会場に入らなければいけない。

「さすが倉敷君だよ~!」

「ほんとだよ。あ、そうだ! このまま優勝しちゃおうよ。倉敷君なら余裕だよね~」

 これはなぜか俺の周りから離れないクラスの大半の女子だ。

 まさかメシまで同じとは……。正直嫌になる。

 しかし口に出す勇気もなく、先ほど購買で買ってきたカツサンドを自分と女子へのイライラと共にほおばる。

 ずっと下を向いていたので首が痛くなったため、顔を上げる。すると、知ってる顔がこちらに向かってきていた。

「お、優。ま~た女子連れてんのか? さすがだな~」

「政輝! ちょうどよかった、話があったんだ!」

 そう言って女子たちから逃げるように俺は目の前の男子、尾上オガミ 政輝マサキを連れてその場から離れた。

「で、話って? あの中の誰を紹介してくれるんだ?」

「誰でもいいよ。好きなやつ連れてけ。つーか俺が本気で話あるからって離れたと思うか? 自分で言うのもなんだが、逃げる口実だぞ?」

「知ってるよ、それくらい。何年お前の友達やってると思ってんだ。しかしまあ、今日は多いな」

 中庭の隅、先ほど座っていたベンチから離れた場所。政輝と二人で駄弁っていた。

 政輝は学年のトップクラスが集まるクラスの一人で、その中でもかなり強い。学年五位には常に入っている。実力はあるし顔も悪くないのだが、なぜかモテない。おそらく本人が、女子ならだれでもオッケーって言う空気を出しているからだろうな。軽い人に見えるのだろう。ほんとはめちゃくちゃいいやつだけど。

「で、どうだった予選リーグは? 勝てたか?」

「三連勝でトーナメント確定。政輝は?」

「もちろん全部勝ち。はー、一安心したぜ、教え子が勝ち残ってくれて」

「さすがに予選リーグでは負けねえよ。本番はこれからだけどな。政輝はどこのグループだ?」

「A、優はDだっけ?」

 顔を縦に振って返す。

 よかった、政輝とはグループが違う。これなら決勝トーナメントまで当たらない。

 ちなみに教え子というのは俺ことで、剣術を教えてもらっている。勝てたのは政輝のおかげと言っても過言ではない。

 女子からいつまでも逃げているわけにもいかず、諦めて戻ることにする。政輝と別れ、ベンチに戻ろうと思ったがそろそろ試合時間だ。さっさと移動……女子から逃げてしまうことにする。

中間テストに入るので、次の投稿も未定です

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