新型機動兵器
今回は新型機が登場します(^o^)/
一応、この小説の主役機となりますが、ちょっとネーミングセンスが…(-_-;)
地球に降りてから、色んな軍を転々とした。
最初は宇宙軍、次は陸軍、海軍、そして空軍の順である。
二年で4つの軍隊、半年で一回の割合で軍席が変わっていった。何故、こうなったかはライラ・バズに興味は無かった。
ただ、頭には来ていた。二年前は12名いたはずの月面宇宙軍第18機動中隊なのだが、今はたったの3人になってしまっている。
理由は言いたく無いのだが、全員戦死してしまったのだ。
この二年間、部隊変えは目まぐるしく行われたが、常に激戦区のど真中に立たされていた事に変わり無かった。
SPAパイロットであるにも関わらず、ライフルを抱えて戦地を這いずり回った事も、一度や二度では無い。
軍を抜ける暇さえ与えられず、昼夜問わず銃弾にさらされ、死んでいった。
元々はしたっぱだったライラが、今小隊長をしているのも、上に立つ者が戦死していったからだ。
「最初は宙軍、次は陸軍、昨日は海軍、今日は空軍、明日は宙軍。今度は陸軍なのかな〜?」
荷物を詰め込んだリュックを担いだアドバンス・レイヤードが、鼻歌でも歌うかのように問い掛けてきた。
ライラは「転属スパイラルは嫌だな」と、苦笑混じりに答えた。
「いい加減、落ち着きたいものだ」
「だな。にしてもお前、凄い荷物だな?土産でも買ったのか?」
アドバンスは手近にあった、ライラのバッグを開けた。中身を見た刹那、彼の顔が真面目なものになり、直ぐにフッと優しい笑みを浮かべた。
「お前らしい土産だな。辛いぜ、この役割は…」
「あぁ、わかってるさ。だが、やらない訳にはいかないからな」
ライラは自分の荷物をまとめると、アドバンスから荷物を受け取ろうと片手を差し出す。
しかし彼は、「持つよ」とそれを肩へ担いだ。
「俺も手伝うぜ。ついでにエミリアも誘ってやろう。あいつも喜んで手伝うだろうからさ」
「あぁ、ありがとう」
ライラは自分の荷物と、肩掛けのバッグを担ぐと、アドバンスと共に部屋を後にした。
部屋を出ると、「遅かったじゃん」とエミリア・ダヴィンがリュックを背負って立っていた。
二日酔いはすっかりマシになったのか、いつも通りの晴れ晴れとした顔をしている。
アドバンスは「こいつのせいだ」とライラを指差す。
「お前も何か手こずってただろ?何が入ってんだ?」
「それはヒミツです」
「全く、男のクセにレディを待たすなんて、マナーがなってないわよ」
エミリアがおどけた調子そう言うと、ライラとアドバンスは「レディなのか?」「ずいぶん色気の無いレディだな?」と笑い合う。
次の刹那、二人の後頭部に痛みが走った。エミリアが平手で叩いたのだ。
「ほら行くぞ!」
「「へい…」」
二人は怒りながら先導するエミリアの後ろを、頭をさすりながらついて行く。
宇宙へ上がるのだから、てっきりシャトルかと思いきや、何故か輸送用のHLVに積み込まれるはめになった。
何でも、ライラ達の乗艦する艦への補給物資と共に、打ち上げるそうだ。その補給物資とは、どうやら人型機動兵器のようだ。
「見たこと無い機体だ…。SPA…いや、SPCか…」
ライラはひとりで、輸送用のワイヤーに固定された機体を眺めていた。
今までに見たことの無い機体であり、セダム、ジャデンなどのいずれの特徴も見受けられない。
頭部は前部が突出するように湾曲し、後部が丸くなっていて、炎のように波打った角が耳裏から延び 、一文字のカメラアイの奥に赤い目をした複眼型セ ンサーが備えつけてある。
胸部には、コンバットモ ード時に機首となるであろう、突出した装甲がある。可変機構はジャデンのそれと同じなのだろう。
両肩には全長の2/3程の大きさはあるバインダーがあり、それがビームキャノンであるとわかるのに、それほど時間はかからなかった。
右腰にはサブマシンガン、左腰には精密スコープ付きビームライフルがある。
これがこの機体の標準装備なのだろうか。
機体色はダークグレー、全体的な体躯は日本の忍者のようで、ブロ ック型のほっそりとした装甲である事から、日本製なのかも知れない。
それにしても、装甲のあちこちが欠け、中のフレームが剥き出しになっているのは何故だろう。
こう見ると、シアン色のフレームが曇天から覗く青空を彷彿させる。
「全く新しい規格の機体…。米軍も金掛けてんな…」
「米軍ではありませんよ」
不意に、後ろから声が聞こえた。
振り向くと、金髪をオールバックにし何本かの前髪がすだれのように垂れ下がった頭髪に、彫りの深い顔立ち。月面宇宙軍独特の白地に左胸に紺の十字ラインが入った軍服を着た青年が立っていた。
「ライラ・バズ特務大尉ですね?自分は、第502技術試験隊所属のタイラー・ミッシェン技術中尉であります」
タイラー・ミッシェンと名乗った青年は、きちっと踵を揃え敬礼する。
ライラは「自分は中尉だぞ?」と言いながら、こちらはフランクに敬礼する。
「おや?通知にありませんでしたか?本日付で特務大尉に任命する、と」
「さぁ?聞いてないがな…。まぁいい、そのうち分かるだろう。ところで、この機体はもしかして月面軍の機体か?」
踵を返し、ライラは機体を見上げる。ミッシェン技術中尉は、「流石、よくお分かりで」と賞賛し、ライラと肩を並べた。
軍服を見れば、それくらいの推測は子供でもできる、と言ってやりたかったが、ここは押し黙った。
「XX-0X-3 空牙。我が月面宇宙軍と、世界屈指の軍事会社ツクヨミ社が誇る次世代型SPCです」
「XX-0X-3 空牙…」
ライラは機体名を復唱し、もう一度機体を下から上へと見上げる。
ダークグレーの装甲を身にまとい、シアン色のフレームをしたその機体は、こちらを睨み付けているように思えた。




