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最初の  作者: リナット
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第3章:ヴェシュニツの袋小路

グレブ彼は息を整え、勢いよく立ち上がり、手の甲で涙を拭った。

— まあ、たぶん全部本当じゃない。熱に浮かされてるみたいなもんだ、 — 彼は鼻をすすりながら囁いた。

橋の上に見えていた城は、今では遠くに退いていた — 真紅の空を背景にした暗いシルエット、霧の切れ間からかろうじて見えるだけだ。

— ずいぶん遠くまで来ちまった… — グレブは血まみれの刃物を強く握りしめた。 — でも、あそこに答えがある気がする。

彼は前へ進んだ。警戒しながら周囲を見回す。手は震えていた — 寒さではなく、まだ心を締め付けている恐怖の残響のせいだ。

廃屋が道の両側に並び、見張りの亡霊のように立っていた。壁は苔に覆われ、屋根は崩れ落ち、窓は黒い穴のように口を開けている — まるで空洞の眼窩が、彼の一歩一歩を見つめているかのようだった。霧は濃くなって通りを完全に覆い、また薄れると、歪んだ柵や瓦礫の山を露わにした。

— 低地だな、 — グレブは息を吐いた。 — 空気が重い…

彼の視線が看板に引っかかった — 黒ずみ、欠けた縁を持つそれ。そこには奇妙な記号が刻まれていた — 根が絡み合ったような、あるいは蜘蛛の脚のような形。グレブが集中した瞬間、それらは動き、組み替わり、意味のある言葉へと変わった:

放棄された礼拝の庭」

中庭は突然彼の前に現れた — 家々に押し込められた狭く圧迫された空間、まるで罠のように。中央には石の祭壇がそびえ、ひび割れと褐色の染みに覆われていた。その周囲には半円形に低い長椅子が並び、刻まれた祈祷文で埋め尽くされている。あるものは黒く塗り潰され、あるものは爪で引っ掻かれたように削られていた。

空気は乳香と甘ったるい腐敗の匂いで満たされていた。石の隙間からは、淡く、ほとんど透明な花が顔を出し、その花弁は風もないのに震えていた。

小屋の壁の一つには鏡が掛かっていた。彫刻された枠の中のそれは濁り、蜘蛛の巣に覆われている。そこに映るのはグレブではなく、長い衣をまとったぼんやりとした影たち — 彼らは祭壇に身をかがめ、囁き、手を絡め合っていた…

— 何だこれ、魔法か!? — グレブは身を引き、刃を握りしめた。

魔法…」 — 彼は手のひらを見下ろした。そこにはまだ、赤い残光が揺れている。

血の匂いに引き寄せられ、小さな虫が顔に群がった。彼は激しく手を振り払い、指の下で虫が潰れるのを感じた。

前方、霧の中に暗い塊が現れた — 礼拝堂のようなもの。

その建物は家々の影に寄り添うように建っていた — 低く、割れた殻のようなドームを持つ。灰色の石壁には模様が刻まれている:絡み合い、意味もなく蠢く蛇のような形。扉はわずかに開き、その隙間から脈打つ光が漏れていた — 中で誰かが見えないリズムに合わせて、ろうそくを点けたり消したりしているかのように。

入口の上には木製の仮面が吊るされていた — 目を閉じ、口を無言の叫びに歪ませた顔。その眼窩の中では影が蠢き、まるで虫が這っているかのようだった。屋根の上にはカラスが止まり、くちばしを揺らしている。

内部から囁き声が聞こえた — 数十の声が一斉に呟く。言葉は聞き取れないが、そのリズムに歯が軋み、こめかみが痛む。

グレブは凍りついた。手のひらは汗ばみ、刃は指から滑り落ちそうだった。

入るな…」 — 内なる声が囁いた。

彼は一歩後退した。さらに一歩。霧が背後から閉じ、退路を断つ。

黒い鳥の群れが空へと舞い上がり、まるで布を引き裂くような羽音を立てた。霧の中からそれらが現れた — 老婆たち。先ほど地下で殺したものと同じ姿。背を丸め、ぼろぼろの法衣をまとい、霧の中を滑るように進む。その目は冷たく、人ならざる光を放っていた。

そのうちの一人が、金切り声とともに彼に襲いかかった。その爪のような指が目を狙って伸びる — 長く、黄色く、鉤のように曲がっている。グレブは身を引き、刃を振るった — 空気を裂く鋭い音。しかし老婆は異様な身のこなしでそれを避け、壁の中の鼠のように笑った。

— そいつを捕まえろ! — 彼女がしゅうと鳴くと、さらに三人が霧の中から現れた。

グレブは後退し、背中に礼拝堂の冷たい石壁を感じた。槍や斧を手にした魔女たちが半円を描いて迫る。彼女たちの口は歯のない笑みで裂け、目は飢えた、非人間的な炎で輝いていた — まるで炉の中の炭のように。

そのうちの一人が両手を掲げ、曲がった指を広げた。グレブの周囲の空気が濃くなり、樹脂のように粘りつき、動きを縛る。彼は歯を食いしばった — 胸の中で熱が弾け、全身に陶酔するような震えが広がる。まるで血が溶けた金属に変わったかのようだった。

怖がるな。今じゃない」 — 彼は心の中で繰り返し、拳を握った。

集中し、両手を前に突き出す。手のひらから炎が放たれた — 筋ではなく、純粋な白い炎の爆発。最も近くにいた二人の老婆が悲鳴を上げる — 短く、甲高く、まるで屠られる豚のように。衣服が破裂音とともに燃え上がり、皮膚は黒く焦げ、ひび割れて、褐色の筋肉が露わになる。彼女たちは地面に倒れ、痙攣し、焼けた肉と毛の臭いを放った。

あと二人!」 — 思考がよぎったが、勝利の予感は鋭い痛みによって断ち切られた。

炎は消えた。胸の熱は消え、残ったのはかすかに光る炭のような感覚だけ。彼は刃を握り直した — 柄は血に濡れ、滑りやすい。今は鋼だけだ。

老婆たちは予想よりも早く立ち直った。一人が横から飛びかかり、斧が肩に深く食い込む。鈍く湿った音。痛みが神経を炎の鞭のように駆け抜ける。グレブは唸り、振り返り、反撃の一撃を放つ — 刃が喉に突き刺さり、軟骨が砕ける音。老婆は倒れ、黒い、タールのような血を吐きながら崩れた。

しかし息をつく間もなく — 鋭い衝撃。槍が胸に突き刺さり、肋骨を貫く。グレブは叫びに溺れ、膝をつき、そのまま背中から倒れた。苦痛に身をよじりながら、背中に広がる温かさを感じる — 血、濃く粘つくもの。呼吸は遅く、浅く、途切れ途切れになる。耳には槌が金床を打つような音。視界の端が暗くなり、ろうそくが一つずつ消されるように世界が沈んでいく…

そしてその闇の中で — 笑い声。静かに、ささやくように、勝ち誇るように。

彼は車椅子に座り、拳を握りしめていた。風が銀色の髪を揺らし、視線は湖に釘付けになっていた――底知れぬ傷のように、巨大で、黒い湖に。それは彼を誘い、ささやき、呼びかけていた…。

— そっちを見るな。 — 母は彼の肩に手を置いた。 — 地元の人たちは、あそこは悪魔の場所だと言っている。穢れているのよ。

だが彼は母の声を聞いていなかった。湖の奥で何かがちらついている――蜃気楼、亡霊、禁じられた、そして強大な何かの約束。目の前に像が浮かび上がる:笑いながら手を伸ばす娘、ベッドから起き上がり微笑む父、悔恨に凍りついた元妻…。

「父さんがまた歩けるようになればいいのに…」と彼は思った。「娘に、俺が彼女を愛していると分かってほしい。望むのは…」

考え終える前に、車椅子が揺れ、崩れかけた斜面を転がり始めた。ひじ掛けにしがみつき、ブレーキをかけようとしたが、車輪は容赦なく崖の縁へと滑っていく。

— 母さん! — 彼は叫んだ。

そして、落ちた。

水が氷の拳のように彼を包み込む。最後に見たのは、黒い湖面に映る自分の顔。そして、誰かの無音の笑いだった。

朝。救助隊が湖を捜索し、懐中電灯が怯えた蛍のように波間をさまよっていた。岸辺の濡れた石と藻の間に、ひとつの体が横たわっていた。

— 生きてる! — 誰かが叫んだ。

彼は息をしていた――荒く、断続的に。目は開いていたが、その視線は虚ろで、ガラスのようだった。母は泣きながら、彼の手を顔に押し当てていた。

— 目を覚まして!

周囲では医療スタッフ、警察、野次馬が慌ただしく動いていた。

「溺れたのに死んでいない…」と群衆が囁いた。「あの湖は魂を奪う…」

救急車が彼を病院へ運んだ。診断は――昏睡状態。医師たちはただ首を振るしかなかった。

そして彼は落ちていく。

周囲にはただ闇。濃く、触れられるほど重く、胸を圧迫する闇。そして、ランプ。

低く、鍛造された、古いゴシックの物語に出てきそうなランプ。その炎は赤く燃え、まるで生きた心臓のように脈打っていた。

— それを壊せ… — 声が囁いた。低く、多重の声。まるで何百もの口が同時に話しているかのように。 — そうすれば願いを叶えてやる。

— その封印を壊せ… — 声が繰り返し、今度は金属の響きが混ざった。まるで無数の刃が擦れ合うような音。 — …願い。

— 何だよ… — 彼は息を吐いた。その一音さえ苦しかった。 — 何の…?

— ランプに触れろ。

手が震えた。望んではいなかった。それでも手は伸びていく。

指が金属に触れた。

頭の中で爆発が起きた。

無数の声が互いにかき消し合いながら叫ぶ。

— 力!

— 知性!

— 支配!

— 秩序!

シンボルが目の前に現れ、渦を巻き、混ざり合う。彼は叫びながら身を守ろうとしたが、幻影はさらに深く、深く入り込んでくる…。

大事なのは、理性を失わないこと…」

彼は選んだ。

— 理性。

冷たい石が手のひらに触れる。風は草と水の匂いを運んでいた。

彼はゆっくりと頭を上げた。洞窟の入口が目の前に広がっている――金色の長方形の光。向こうには緑の草、鳥たち、石の上を流れる小川。

固まる。

足。

震えながら、彼は立ち上がった。最初は不安定に、やがてしっかりと。一歩、また一歩。

彼は歩けた。

彼は笑い、涙を流した――大声で、必死に、痛みと不信の中で。

しかし笑いは途切れた。

洞窟の奥で何かが蠢いた。闇が濃くなり、その中に巨大で、人間ではない何かの輪郭が浮かび上がった。


彼は息を整え、勢いよく立ち上がり、涙を手の甲で拭った。

— まあ…これ全部、本当なわけないよな。むしろ熱にうなされてるみたいだ、と彼は鼻をすすりながら囁いた。

橋の上に見えていた城は遠く後退し、深紅の空を背景にした黒い影となり、霧の切れ間からかろうじて見えるだけだった。

— 遠くまで来ちまったな…。だが、あそこに答えがある気がする。

彼は前へ進み、周囲を警戒しながら進んだ。手は震えていた――寒さのせいではなく、まだ心を締めつける恐怖の余韻のせいだ。

廃屋が道沿いに並び、見張りの亡霊のように立っていた。壁はカビに覆われ、屋根は崩れ落ち、窓は黒い空洞――まるで彼の一歩一歩を見つめる空虚な眼窩のようだった。霧は濃くなり、道を覆い隠し、やがて消え去って傾いた柵や瓦礫を露わにする。

— 低地だな、と彼は息を吐いた。— 空気が重い…。

視線が看板に引き寄せられる。黒ずみ、縁が欠けた看板。その表面には奇妙な模様――根が絡み合うような、あるいは蜘蛛の脚のような模様が刻まれていた。彼が集中すると、その模様は動き、再編成され、言葉へと変わる。

放棄された礼拝の庭」

中庭は突然、目の前に現れた――家々に押しつぶされたような、狭い空間。中央にはひび割れ、褐色の染みがついた石の祭壇。その周囲には半円形に低いベンチが並び、祈りの文言が刻まれていた。黒く塗りつぶされたものもあれば、爪で削り取られたような跡もあった。

空気には香と腐敗した甘い匂いが混ざっていた。石の隙間からは、ほとんど透明な淡い花が生え、風もないのに震えている。

一軒の小屋の壁には鏡が掛けられていた。曇り、蜘蛛の巣に覆われたそれには、彼の姿ではなく、長衣をまとった影のような人影が映っていた――彼らは祭壇に身をかがめ、囁きながら手を絡めている…。

— 何の魔法だ!? — 彼は身を引き、テッサクを握りしめた。

魔法…」彼は自分の手のひらを見る。そこにはまだ赤い残光が震えていた。

虫の群れが顔にまとわりつく。血の匂いに引き寄せられている。彼は苛立ちを込めて振り払い、小さな体が指の下で潰れるのを感じた。

霧の中、前方に暗い塊――礼拝堂のようなものが浮かび上がった。

建物は家々の影に寄り添うように建っていた。低く、ひび割れた殻のようなドーム。壁には蛇の模様が刻まれ、意味もなく絡み合っている。扉はわずかに開いており、隙間から脈打つ光が漏れていた――中で誰かが、見えないリズムに合わせて蝋燭を点けたり消したりしているかのように。

入口の上には木の仮面――目を閉じ、口を無言の叫びに歪めた顔。その眼窩には影が蠢いている。ドームの上にはカラスが止まり、嘴を揺らしていた。

中から囁き声――何十もの声が同時に囁く。言葉は判別できないが、そのリズムが歯を痛ませ、こめかみを叩く。

彼は固まった。手のひらは汗で濡れ、テッサクが滑り落ちそうになる。

そこはダメだ…」と内なる声。

彼は一歩下がる。さらにもう一歩。背後で霧が閉じ、退路を断つ。

黒い鳥の群れが空へと舞い上がる。霧の中から再び現れる――老女たち。地下室で彼が殺したのと同じ姿。背を丸め、ぼろぼろの衣をまとい、冷たい異質な光を宿した目。

一人が甲高い叫びとともに襲いかかる。爪のような指が目を狙う。 グレブは後ずさりし、テッサクを振るうが、老女は異様な素早さで避け、壁の中のネズミのように笑った。

— 捕まえろ! — 彼女はシューと声を上げ、霧からさらに三人が現れる。

彼は礼拝堂へと追い詰められる。背中に冷たい石壁の感触。武器を持った魔女たちが半円を描いて迫る。

彼女たちは武器を構え、口元を歪めて笑い、目は飢えた炎のように輝いている。

一人が手をかざす。空気が粘つき、彼の動きを縛る。彼は歯を食いしばる。胸の中の熱が弾け、体に奔る。

「今は恐れるな…」

彼は集中し、手を前に出す。炎が噴き出した――純白の爆発。

近くの二人が悲鳴を上げる。衣が燃え、皮膚が黒く裂け、倒れ込む。

残るは二人。

だが勝利の感情は、鋭い痛みによって途切れた。

炎は消えた。力も尽きた。彼は武器を握り直す――あとは鋼だけだ。

一人が横から襲い、斧が肩に突き刺さる。痛みが走る。彼は叫び、反撃し、喉を切り裂く。

しかし次の瞬間――槍が胸を貫いた。彼は崩れ落ちる。

意識が薄れ、視界が暗くなる。

そしてその闇の中で――笑いが聞こえた。


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