【前編】第1話 リアルはモブ、異世界ではオープンワールドのように
「貴様は召喚英雄パーティーには不要だな、職業適性もない無職レベル1の中年よ」
厳かな王の声が召喚の間に響く。
顔に深いしわが刻まれ、左目は上から下に向かて深い傷が刻まれていて、昔は相当な武人だったのだろう。
「しかも【召喚英雄スキル】すら持ち得ぬとはな――なるほど、だから、大人になっても何と鍛錬が足らぬ表情と体躯か――」
深いため息をつく。
一緒に召喚された高校生の四人組は、優秀な【召喚英雄スキル】と適正職業がステータスに表示された為、【召喚英雄専用武器】を手渡されていた。
「これでは魔力を独占しよとする魔族たちへ、太刀打ちは出来んな」
王は嘲笑うように……言った。
高校生四人組も、俺をチラ見してはひそひそと苦笑している。
召喚を執り行った魔法使いたちは、各々俺のステータスに畏怖を覚えている。
『すべてステータス1なんて存在するのか――?』
『今までどうやって生きてきたんだ』
『ひい、無職のオッサンが召喚されてしまったわ!』
『近寄ってはならぬ、奴は運命から見放された者じゃ……』
「――騎士団長、副騎士団長」
「はい」
豪華な鎧に身を包んだ偉そうな騎士達が、次の王の言葉を待ち、背筋を伸ばす。
王は静かに息を吸い、空間を揺らす低音で叫んだ。
「その者――ユウギ デンジを追放せよ!!」
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