プロローグ②
「ここがガーデンベルか」
「来るのは初めてじゃないけどやっぱ人が多いな。」
カイトは周りを見渡しながらそう言った。
「あんまりキョロキョロしないでよっ。田舎者みたいで恥ずかしいじゃない!」
「実際田舎者だろ」
ガーデンベル島内には魔法学院や騎士養成所、ハンタースクールなど様々な学園及びその寮があり、各々が適正のある学園へと入学する。
故に住民には学生がかなり多く、
常に賑わっている。
「俺とリファはサントリナ学院か。受かるといいな。」
「心配しなくても普通にしてりゃ受かるわよ。」
サントリナ学院は古くから続く由緒ある学院であり、専門的ではないものの、剣術や魔法など幅広く学べる。
「適正検査の時点で入学先はほぼ決まってるわ。」
「わかってるけどさー。なんか緊張するじゃん?」
この世界では16歳になる年にそれぞれ適正検査を受ける義務があり、それにより進学先やさらにその先の将来まで大まかに決定する。
「でもなんかつまんないな。」
カイト達が話しながら歩いていると、何やら喧騒が聞こえてきた。
「やめて下さいっ!」
「あぁ!?おめーが突っ掛かってきやがったんだろ!」
「どうした?得意の魔法でも出してみろよ」
「痛いですっ!やめて下さい。。」
何やら大男と少女が揉めているようだ。
というよりこれは…
「嘘つきには罰を与えねーとなぁ〜」
「嘘じゃありません!離して下さいっ!」
「おいっ!やめろよ!」
カイトは大男の前に飛び出した。
「誰だおめー、関係ないやつはすっこんでろ!」
大男は腕を大きく振りかぶり殴りかかる。
ーーその刹那
紫電の如く雷鳴が轟き大男は白目を剥いて倒れた。
「まったく。あんたねぇ、弱いくせに毎度毎度無謀に突っ込むのやめなさいよね。」
「今のは一体…?」
少女はキョトンとした目でリファを見つめている。
「紫電一閃流。リファの剣術だよ。」
「でも今のは剣を使ってないから無刀流かな?とにかく助かったよ、リファ。」
カイトが微笑みながら説明する。
「わ、私も助かりました!本当にありがとうございます。」
少女は慌ててカイトとリファに頭を下げる。
「別に構わないわよ。それより何でこんな事になったの?」
リファは訝しげに少女を見つめる。
「私、魔法使いなんです。それを嘘だと言われてつい…」
「それだけ?まさか神選級じゃあるまいし、こんな事になる?」
この世界では魔法使い「自体は」そこまで珍しいものではない。
但し昔に比べ魔法は衰退しており、手から水を出すとか、指から少し火が出せるといった所謂生活魔法使いが99.9%であり、リファの紫電一閃流も剣術に雷属性の生活魔法を組み合わせている。
…では残り0.1%の魔法使いとは?
神に選ばれし魔術士。その魔法は天理を歪め世界の均衡を崩す程だと噂される。
故に中枢島が管理し、滅多に人前に現れる事はない。
「私、神選級なんです。」
少女はリファの目を真っ直ぐ見つめ、
そう告げた。