増税メガネが「実質賃金23か月連続マイナス」の処方箋を行わない理由
筆者:
本日はこのエッセイを選んでいただき誠に光栄です。
今日は日本の一般国民の苦境を如実に示している「23か月連続実質賃金下落」について個人的な意見を述べていこうと思います。
質問者:
なんと、リーマンショックの時と同じ長さのようですね……。
◇リーマンショックを振り返る
筆者:
リーマンショックはもう15年以上も前の出来事ですので今の学生さんは小さすぎて覚えていない。若しくは生まれていらっしゃらないかもしれないので、振り返ろうと思います。
リーマンショックとは2008年9月15日に起きた米投資銀行リーマン・ブラザーズの経営破綻を機に、世界的な金融危機と不況に発展した現象のことですね。
リーマン・ブラザーズに対して出資していた巨大金融機関への救済措置がとられなかったことでアメリカ金融界に信用不安が広がり、一気に資金回収やリスク低減措置を相次いでとったために、企業にお金が出回らなくなる信用収縮が深刻化しました。
しかし、アメリカ初の出来事でありながらリーマンショックの後、
日本における外需の減少、結果としてGDPの減少が主要先進国中で最大となりました。
これは、輸出相手国の内需の落ち込み、輸出に占めるウエイトの高い自動車やIT製品への影響の集中、円高などが重なりました。
08年の上場企業倒産はバブル崩壊を上回る戦後最多の33件を数え、08年の年間全国倒産は1万5,646件(前年比11.0%増)となりました。
関連する社会現象としては景気の調整弁として派遣切りや雇い止めが発生し、年末年始に「年越し派遣村」が開催されたりもしました。
質問者:
これと同等のことが起きているって凄いですね……。
筆者:
ただ、08年当時との最大の違いについて触れていこうと思うのですが、
あの当時物価は横ばいかむしろ下がるデフレ状況で、不幸にも倒産してしまった企業に所属した方々は「非常に苦しい」感じ。
しかし、それ以外に関しては「平常」とも言って良い状況だったと認識しています。
それに対して今の状況は輸入原価をきっかけにしたティマインドプル・インフレの状況で、給料はほとんど上がらず2008年当時と比べて「広く浅く苦しい」といった状況です。
23年の倒産件数は22年から2000件以上の増加となる8497件であるものの、08年と比べると半分ですし、上場企業倒産も1つのみでした。
08年の派遣切りどころか今は人手不足の業界も多いですからね。
質問者:
苦しんでいる人が2008年当時とは違うという事ですかね?
筆者:
簡単に言ってしまえば一番苦しんでいるのは「一般庶民全般」なわけです。
一方で大企業の正社員は2年連続5%上昇とウハウハなわけでして、
それ以外の方が徐々に苦しいと言った状況なのです。
そしてこれに対する増税メガネや政府の施策は「賃上げの音頭」なのですが、これで実質賃金低下は100%止まりません。
なぜなら、賃上げの分かそれ以上の値上げが行われるからです。
名目賃金だけが上がっても、保険料と税金を取られて虚しいだけと言えます。
恐らくは6月からの「所得減税」で一瞬だけ実質賃金がプラスに転じる場面もあるかもしれませんが、基本的には苦しい状況は続くことでしょう。
一月3300円分の給付だなんて1日約100円ですから、おかずの一つも増えませんからね。
質問者:
根本問題が解決するわけでは無いですからね……。
◇処方箋は実に簡単だが……
質問者:
処方箋は無いのでしょうか?
筆者:
これに対する処方箋は非常に簡単です。消費税(特に食料品分)を引き下げることと社会保険料の低所得帯の引き下げです。
この2つは所得に関係なくかかる率が同率(社会保険料は県によって少し異なるが)であることから税金の中で特に逆進性が高いものとして知られています。
これを行わない増税メガネと政府の失政でこの状況が続いていると言っても過言では無いのです。
質問者:
しかしどうしてこの2つを引き下げてくれないんでしょうか?
やることが給付金に似た「所得減税」なのでしょうか?
◇結局は「お仲間にお金を渡したい」だけ
筆者:
まず「給付金形式」に拘る理由としまして、「GDP」と「中抜きがしやすいから」と言った要素があります。
単なる減税をしてしまいますと、積み上げ形式ですからその分GDPが下がってしまうんですね。
“メンツ“を大事にするという要素から「増税しつつ給付」が「GDPにとって最善」なわけです。「GDP信仰」がいかに下らないかという事は以前も触れましたけどね。
次に所得減税のための予算は5兆円あります。
しかし、4万円分給付される方が約9000万人、非課税世帯の7万円給付されるのが約1500万世帯。この給付金額は合わせると4兆6千500億円ほどになってしまうんです。
差額分の3500億円分は事務手数料の下請けなどで“消滅”してしまうんですね。
ただ単に減税をすればこの分は節約できるわけですが、
「お友達企業」に横流しするための無駄な給付施策をやりたいのでしょう。
質問者:
酷いですね……。
筆者:
次に消費税を引き下げない重大な要素として「大企業輸出補助金」と言う要素があります。
なんと還付金は、消費税還付トップ10社の合計だけで1兆5000億円、トップ20社で1兆9000億円ほどあります。
経団連が「消費税増税」を訴えるのは消費税分売上上昇がノーダメージどころか実質的な「輸出補助金」が貰えてしまうからです。
この実質的な補助金を減らすわけにはいかないので消費減税だけは「禁じ手」となっているのです。
経団連からの寄付献金は莫大で、更に全国規模の組織票もありますからね。
経団連に完全に隷属していると言えます。
質問者:
ひえぇ……これではあんまりですね……。
筆者:
更に経団連などはマスコミも握っていますので、
ひたすらに「増税をすることで将来世代に負担を残さない」「消費増税は社会保障費に充てられる」と言った誤った論調を垂れ流しています。
実情は消費増税分は法人税減税分とほぼ同額でして(お互いに目的税ではないので完全なトレードオフの関係ではないが)、長期的に見れば大企業の思うがままの政策をやり続けているという事です。
質問者:
さらに「財政が破綻する」という論調もありますよね……。
筆者:
こうした理論は国民側に「仕方ない」と思わせる作戦ですね。「財政破綻論」が本当に日本の成長を阻害しています。
日本はEUと違って通貨発行権があり、なおかつ50%以上は日銀自らが持っており、海外に対しての国債は15%弱です。
国内に対する国債の返済はまた国債を発行しなおせば何ら問題はないので、正直なところ蜃気楼を「大火災だ!」と言っているぐらい滑稽な理論を展開していると言えます。
最近では、インフルエンサーなども買収して「言わせる」と言った戦術もあるようですね。
増税メガネや政府などが言う「広く国民が負担」と言うのは「逆進性のある税金」であるという事をとくと頭に入れておく必要があります。
質問者:
マスコミが正しく報じてくれないのが本当に痛いですね……。
筆者:
提示している数値は嘘ではないですし同じものを見ているのですが、分析のやり方が全く異なるという事です。
そうした周辺状況を鑑みると、現在は「岸田渦」、「自民党渦」若しくは「マスコミ渦」と言っても過言ではない状況にあると思いますよ。
正しく報じてくれないことから気づいた側が根気強く主張していくしかないですね。
野党のほとんども「財政破綻論」に洗脳されていますから政権交代してもこの状況からは打開できません。
よって主権者側の日本国民がこの理論が誤っていることに気付き、声を出していくことが一番大事だと思っています。
そのために何度も「この手のエッセイ」をちょっと見る角度を変えながらも定期的に書いていくので僕をフォローしてくださっている方も何とか我慢してくださいね(笑)。
質問者:
この考え方は非常にマイノリティですからね……。
筆者:
それでも減税をするべき税の1位が消費税だと言った論調が出てきたりもしているので、ちょっとずつは変わってきている感覚はあります。
とにかく、根気強くやることが大事だと思いますよ。
という事でここまでご覧いただきありがとうございました。
今回はリーマンショックに並ぶ23か月連続実質賃金低下から打開するためには消費減税と社会保障減額が必要であるものの、「お友達に横流し」したいことからまずやらないだろうということ。
これを打開するためには、マスコミは正しい情報分析を流してくれないので、気づいた人から声を出していくしかないという事をお伝えさせていただきました。
今後もこのような政治・経済、マスコミの問題について個人的な解説を行っていますのでどうぞご覧ください。