隠れ勇者
少女と勇者を読んでいただき、ありがとうございます
今回は短編です。
全17部で終了しますので、最後までお読みいただけると幸いです。
さて、今日の仕事は……。
俺、ティオレ・フェリオは冒険者ギルドの掲示板を見る。
討伐依頼は……。
魔物討伐依頼
フィオレス王国周辺地域の近くにある森に魔族の軍団の目撃情報。
これを速やかに討伐をしたい為、三日間調査任務兼討伐をお願いしたい。
報酬…調査6万ルー、討伐30万ルー。
意外と高いな……。
普通、この手の報酬はこれの3分の1だ。
ということは、国家が注目視している案件だ。
今月ピンチだし、どうしよう……。
正直、俺はあまり目立ちたいタイプではない。
なんで俺が勇者なんだろう……。
なんの取り柄もない冒険者の俺がある日、夢の中で女神という少女に出会った。
「アンタ、勇者になる気はない?」
「勇者?」
「えぇ、魔王に対抗する抑止力よ」
この世界における魔王と勇者は世界の抑止力として魔王は魔族、人間は人族を統治…もしくは戦争が起こった際の抑止力になるのだ。
だから普通名のある冒険者や、それに相応しい者が選ばれるのだが、どう考えても俺に合っていないことだった。
「世界を秩序を守れって? 生憎、俺はそういうのはしない事にしてるんだ…第一怪しすぎる、信用できん」
「………そう……」
優しい瞳で女神と名乗った少女は俺を見る。
可愛いと思ってしまった。
整った顔立ちの少女に思わず心を奪われた。
「まぁ、いいわ……アンタがやる気になるか見届けてあげる」
空から何か降りてくる……剣だ……なんの変哲もない古びた剣だった。
「これは貸しといてあげる、必要になれば抜けるから」
そうして今まで抜ける事なく、今を過ごしている。
まぁ、平和ということはいい事だけどな……。
「これを受けたい……」
手に取った受注書を渡すと受付のネイは苦笑いをする。
「流石にこれはティオさんでも厳しいと思うんですけど……」
「そこを何とか……」
「いい加減パーティー組んでみては?」
「いいや、もうパーティーは懲り懲りだ……」
呆れたようにいう彼女にそっけなく言い放つ。
「気持ちはわかりますが、あれは仕方の無かったことですし……」
「いいんだ、それにこれってレイドだよな?」
レイドは複数のパーティーで構成された軍隊だ。
いつもならパーティーに入ってないと受注できませんだが、レイドの場合単独でも受けられるのだ。
「えぇ、ですが魔物が一体とは限らないですし」
「なら、偵察部隊として先陣で行かせてくれ」
「正気ですか?」
ネイが驚くのも無理はない、偵察部隊はレイドの中でも一番危険な任務だからだ。
それに加えて、一人で行くということはよっぽどの死にたがりか、頭のネジが複数飛んでるくらいの奴しか志願しないのだ。
「俺は大丈夫だよ」
「でも……」
「いいから、受注頼むよ……」
「………わかりました、ではこちら三時間後に開始とします」
「はいよ〜」
そう言って家に帰り、身支度を済ませたのだった。
今回のお話はいかがでしたでしょうか?
面白かったと思っていただけると幸いです。
よろしければ、評価していただけると嬉しいです。
どうかこの作品が多くの人に見ていただけますように。
それでは、また次回よろしくお願いします。