プロローグ1 訓練生時代と開戦時
異世界系の軍事小説を書きたくなったので書いて見ました。
誤字脱字があったら報告お願いします。
突然ですが転生しました。
魔法が存在する世界にです。
しかも貴族の息子としてです!
クライン・フォン・ノイマンという名前を授かりました。
クラインが名前、ノイマンが苗字です。
ちなみにフォンと間についていますがこれは貴族の指標だそうです。
貴族に転生するのはやっぱり憧れがありますよね!
この世界において、魔法を扱うことができるのは”限られた者“のみで、その中でも貴族は基本的には魔法を扱うことのできる方が多いらしいです。
実際のところ自分も5歳になった時に魔法の才能があるのか検査させられました。
結果は“才能はある”そうです。
はい、”才能だけ“はあるそうです。
わからない人向けに説明すると魔法は扱えるけど、そのために必要な魔力保有量が少ないそうです。
どのぐらいの魔力量かと言うと初級魔法、例えば手のひらから火を出す魔法だと3、4回ぐらいは発動すると魔力が枯渇するぐらいです。
それを知った自分の家族は、私に対する扱いが酷くなりました。
まあ悲劇系小説みたいに酷いものではなく、貴族ではなく庶民のような扱いを受けました。
まあ、まだマシだったのではないでしょうか。
両親からは軽蔑したような目で見られましたがね、
しかし、自分への親の対応はいず知らず、自分の兄にあたる長男のヨハネス、妹に当たる長女のエミリアは違いました。
自分への親の対応を見たのかその2人は自分のことを屋敷で見つけると、よくからかったり、たまに暴力を受けたりしました。
まあ暴力に関してはヨハネスだけでしたからまだ良かったですが、自分の親は見て見ぬふりをしていました。
一度自分が反撃をしたことがありましたが、その時は自分が悪いことにされ、自分だけが怒られました。
将来の当主に何をするんだ。 と、
そういえば自分の転生した先の家族についてお話ししていませんでしたね。
自分の家はノイマン家と呼ばれる地方貴族で、父はルイス、母はクララです。
お互いに貴族の家の生まれで戦略結婚させられたのだとか、
ちなみに2人とも厳格で厳しいですが、まあ優しいところもあります。
次に兄弟についてですが、長男のヨハネス、次男のフィリックス、三男の自分クライン、そして長女のエミリアの4人兄妹です。
長男と長女は先ほど話した通りのような人物ですが、次男のフィリックスだけは自分に兄弟のように優しき接してくれました。
根っからの優しい少年で、成人してからもその性格は変わることはありませんでした。
話が少し変わりますが、この世界の貴族では基本的に長男が次期当主として育てられます。
残った次男以下の男子は基本士官として軍隊に入るか家の経理などの裏方で活躍することになるそうな。
ちなみに女子は基本政略結婚のための駒として社交性と女らしさを重点的に教育させられていくそうです。
また、もしかしたらこの家だけかもしれませんが、家庭教師による初等教育が6歳から12歳までの6年間受けさせられました。
基本的には庶民も各学校で初等教育を受けるのだとか。
ちなみに貴族専用の学校と庶民用の学校に基本的には分けられています。まあ自分は家庭教師がついていたので学校には行きませんでしたがね、、
そしてこの家での家庭教師の授業は基本知識を扱う初等教育だけでなく社交性や魔法についても教えられました。
先ほど述べた通り、自分は庶民のような扱いを受けましたが教育だけは同じように受けさせられました。
ちなみに自分だけ社交性については教えられませんでした。
自分にはいらないそうで、、
魔法に関しては教えていただいたので、きちんと学んだのですが、家庭教師から兄弟の中で一番褒められました。
家庭教師曰く筋がいいとの事。
ただ、魔力が少ないので、その家庭教師は勿体無いなと嘆いていました。
ちなみにフィリックスは自分が褒められることに喜んでくれましたが、残りの2人は嫉妬していたのかあまりいい目で見てくれませんでした。
そうして6年間、家庭教師からの教育を受けて自分は基本魔法である「風、火、土、雷、水」の初級魔法を覚えました。
同じくフィリックスも自分と同じ系統の魔法を中級まで覚えたそうです。
これこそまさに才能ですね、、
ちなみにヨハネスは風と雷の中級、水の初級を覚え、エミリアはそもそも魔法の才能がほとんどないため覚えられませんでした。
2人とも自分のことに腹が立ったらしく、6歳から14歳ごろまで叩いてきたり殴ってきたりしていましたが、まあ最終的に慣れましたね。よくないことだとは思いますが、、
その後の各自の進路はこんな感じでした。
まず真っ先に卒業した長男のヨハネスは親の仕事を手伝いながらの将来の当主になる準備をしていました。
ちなみに親の仕事を手伝うにつれて性格が少しずつ改善していきました。
次に次男のフィリックスですが、魔法の才能があったのと将来当主にならないことがあったためが、首都のベルン上等軍学校に入学後、士官として軍に入りました。
長女のエミリアについては無邪気な明るい女の子?になり、今では貴族に集まる社交会にヨハネスと一緒に毎晩参加していました。
そのせいか少し太ったような、、
そして最後自分ですが、魔法の才能があると言われたからにはその才能を伸ばしてやろうと卒業前から14歳になるまでひたすら鍛錬と魔法について述べられた書物を読みあさっていました。
しかし、
「残念だけど、魔力量、増えてないねぇ。」
「そうですか、、」
かかりつけの病院で何度検査してもらっても、魔力量はほとんど増えませんでした。
一応中級魔法まではできるようになりましたが、それでも1日一回が限度でした。
そうして14歳になったフィリックスだけが手紙を贈ってくれただけの特に祝われなかった誕生日の日、自分は両親に呼ばれました。
「父上様。母上様。お呼びいただきありがとうございます。ところで要件とはなんでしょうか。」
「クライン。軍隊に入る気はあるか?」
「軍隊、ですか、、」
両親が勧めてきたのは国内にある中等軍学校への推薦状でした。
話を聞いていくと、どうやら軍隊には3つの入隊方法があり、一つは徴募もしくは志願者によって約3ヶ月訓練を受けて配属させられる新兵制。
もう一つがフィリックスが入学したベルン上等軍学校に入学し、3年間教育、訓練を受けて士官として配属させられる士官制。
そして自分がすすめれられている国内に3つある中級軍学校に入隊して1年間教育、訓練を受けたのちに下士官として配属させられる下士官制。
自分が勧められたのは、この家から一番近くにあるオークス中等軍学校でした。
軍ならこの家にいるよりも出世できる。
最近は戦争もないから大丈夫。
そして何より魔法について学べる学科があるとの事。
戦争については全く参加したくなかったので断ろうと思いましたが、魔法について学べるという甘い蜜に乗せられて、自分に戦争なんて起きるわけがないと自分自身に暗示をかけて、自分は入学することを決めました。
かくして自分はオークス中等軍学校に夏に入学したのですが、ぶっちゃけ言います。
クソです。
実戦をしっかり想定しているようで、入学初日から外周させられました。
オークス中等軍学校は近くにほとんど何も無い(若干遠くに小さな村はある)ところのため、敷地は校舎、校庭、挙げ句の果てには行軍訓練用の山や小さな川がついている演習場までついたかなりの広さであり、それを10周分、走らされました。
自分の場合は魔力量を増やす方法がわからなかったので、走り込みなどをしていたおかげかなんとか10周走り切りましたが、走り終わった瞬間、意識を失いました。
そもそもほとんどが素人の人たちだったので余程の体力お化けか入隊のために訓練をしてきていた人ぐらいしかゴールできませんでした。
自分も体力には自信があったのですがね、、
実際自分を含めて10周走れた者は全体の1割以下だったそうです。
10周走れなかった者たちはその後講堂に集められ、全員体罰を受けたそうな、、、
ペチペチ
「起きて下さ〜い、おーい。」
「、、う、うーん、」
講堂で悲惨なことが起きている頃、自分は校内の医務室に寝かせられていました。
そして目を覚ますと、看護師が1人、自分の顔を覗いていた。
「やっと起きましたか。はいはい、早く起きてください。呼ばれていますよ。」
「、、、はあ。」
その看護師に言われ、自分は無理矢理体を起こしました。
走った後なのでクソほど身体が痛いです。それに頭も。
仕方なく気合いで自分は起き上がり、ベットの隣に置かれていた軍服に着替えさせられました。
着替えている時、続々と医務室に人が運び込まれていた。
講堂で体罰を受けた者たちです。
「10周すらも走れんのか!」と怒鳴られた後、体罰を受けて失心してしまった者や骨折してしまった者が運び込まれていたらしい。
まあ後から分かったことですが、
そして軍服を着替えた後、自分を起こした看護師に医務室の扉まで案内させられ、軍人の人にバトンタッチ。
その後、グラウンドに連れて行かれました。
そこで自分の意識がやっとはっきり戻りました。
日がもうすぐで沈むという時にです。
10数名が並んでおり、朝礼台フラットポールには誰かが立っていました。
おそらく偉い人でしょう。
台に立っている人がこちらを睨んでいたので、自分は急いでその列に並びました。
そして自分が列に並んだことを確認した目の前の台の上に立っている初老の男が立っていました。
「よくぞ初日に走り切ったな、若人たちよ。私はオークス中等軍学校校長のハインリヒ准将だ。今年は17人が初日に走り切ることができた。この場にいる君たちは優秀な訓練生だ!」
あ、なんとなく嫌な予感がする。
そう整列している全員から感じました。
「走り切ることができた訓練生諸君はさぞかし体力が有り余っているだろう。そこでだ、こんなにも人数がいるんだ。今から行軍練習を行うことにした!」
「「 は? 」」
自分含め並んでいるほとんどのやつ、さらには校長の隣に並んでいた教育係であろう兵士らも、顔が死んでいました。
かくして、疲れている訓練兵17名とそれに同行する教育係の兵士4名の計21名は日の沈みかけた時間からおよそ4時間。行軍練習をぶっ通しで行うハメとなったのです。
開始から2時間ほどで最初の脱落者が現れまいたが、校長自らの通称“愛のビンタ”が炸裂したうえ、訓練に復帰させられたのを見て、全員が死ぬ気で練習に取り組みました。
誰もあんな体罰なんか受けたく無いですからね、、
結果、訓練が終わったのは夜の12時ごろ。
校長からの終了の合図が出た後、自分も含めた訓練生全員がその場で昏倒してしまいました、、、
翌日5時半
カーン、カーン、カーン
「うぐっ、うっ、はっ!」
敷地内にある鐘が朝を告げていました。
まだ空は少し薄暗いですが、、
そんなことを考えてボーッとしていると、
バンッ!
「起きろ!訓練生ども!」
医務室の扉が勢いよく開き、医務室で寝ていた訓練生たちを起こしました。
ちなみに自分たち17名は医務室の端の床に寝かせられていました。
ナニここ戦場か?と思いつつも、土埃塗れの軍服で自分はグラウンドへ向かわされました。
「よくぞ入学したな、訓練生諸君! ここでは君たちは軍隊と同じように生活してもらう! 覚悟しておけぇ!」
訓練生のほとんどがグラウンドへ並べさせられ、入学式もどきが行われ、正式にオークス中等軍学校に入隊したのです。
およそ1年弱の訓練生時代の始まりでです。
まず最初にクラス分けが行われました。
クラス分けといっても体力作り期間だけの簡易的なグループです。
今年の入学者は120人。
そのため、40人×3クラスに分けられました。
ここで自分はBクラスとなり、過酷な行軍練習などの体力作りの最中でルーカスとパウルという親友を手に入れました。
具体的に軍学校では何をするのだろうかと思うでしょうか。
基本的には走り込みや行軍練習といった体力作りから始まりました。
そしてある程度体力作りができた9月ごろ、今度は全員一旦検査を受けます。
身長や体重、学力、魔力の保有量や素質などの検査です。
自分の場合は体力が他の人よりも多いといったぐらいでした。
また、魔法の素質と魔力量の検査も行われました。
「君、魔法使える?」
「あ、はい。」
「まあ、検査して魔力量少ないけどね。」
「、、、」
「なんかごめんね、」
「いえいえ、こちらこそすみません。」
自分が検査してもらった人は歳がだいたい30歳ぐらいの男の人でした。
やはり素質はあっても魔力量は少ないようでした。
「ところで君、いつも魔力量を増やす練習してるの?」
「ま、まあ、、」
「そうか。んーでもそのまま続けるといいよ。結構増えてきているからね。」
魔力量は増えてきているようでした。
7年ぐらい鍛錬してきていましたが、個人的にはあまり増えた感じがありませんでした。
検査を受けたその時は、この人ヤブ医者か?と思いながら、自分は検査を後にしました。
ヤブ医者かと思いましたが、のちにこの人のおかげで運命が変わるということも、この時の自分はまだ知りません。
自分の検査を担当してくれたこの人の名前を“フィン・ノヴゴロド”といいます。
体力作り、検査などを経て、訓練生たちは配属される兵科が決まります。
自分が配属された兵科は、、、
「歩兵科ですか、、、」
「はい、歩兵科です。」
「歩兵科」
その名の通りです。
現在の戦争は”塹壕“と呼ばれる溝を地面に掘り、その溝で身体を守りながら戦います。
そして歩兵科は敵の塹壕へ突撃して制圧したり、塹壕を使って防衛したりする兵科です。
死亡率は一番高いです。
個人的には「魔導科」という言うなれば人力砲兵みたいな兵士が良かったのですが、魔力が足りないとの理由で残念ながら無理でした。
ちなみにですが次男のフィリックスはこの魔導科の士官候補生とのこと。
なので自分もなりたかった兵科だったのですがね、、
この他にも砲兵科や衛生科、看護科、輜重科などの兵科に分かれて訓練を行うそうです。
一応騎兵科や騎竜科といった兵科もあるそうですが、そちらの場合はオークスではなくベルンの方に移動して訓練を積むのだそう。
ちなみに自分の親友であるルーカスは衛生科、パウルは魔道科と全員兵科がバラバラでした。
一応この学校は生徒全員が寮なので、夜やたまに昼食の食堂などで会うので話したり情報交換なんかをしています。
そして兵科ごとにクラスが分けられたのですが、そこでもまた新しくソフィアという親しい友人を手に入れました。
はい。
名前の通り女性です。
何か期待しているかもしれませんが、残念です。
シンプルに言いましょう。
こいつは女性の皮を被ったゴリラです。
失礼ですが本当にゴリラのような化け物です。
訓練で同じ兵科の喧嘩を売ってきた男子数人を相手にボコボコにし、ついたあだ名が「猛牛」と呼ばれるぐらいです。
それでも身体は小さく、筋肉があまりついていないように見えるので、よく喧嘩を売られていました。
なんでそんな身体で勝てるんだ?
ちなみにですが歩兵科に女子はコイツしかいません。
なぜなら塹壕戦で女性はよく精神錯乱している男性に襲われやすいからだそうな。
この人の場合は自分から歩兵科に志願したのと、学校側からも「コイツなら大丈夫だろ」と思われているからだそうです。
恐ろしい人ですねぇ。
あと、なんで自分がこの化け物と友達になったかというと、自分から声をかけたのではなく、コイツからがよく自分を連れ回したからです。
なんでも歩兵科の中で一番気が弱そうだったからだそうな。
ひどいですね、、
また、よく自分がコイツに連れまわされまくったせいか、自分とコイツが付き合ってるという噂が立っていたそうですが、まあ、これと付き合うのは無理ですね。
可愛らしいヒロインが欲しいです。
おかげで寮でルーカスとパウルにすら煽られるぐらいでした。
軍学校での話題は少ないので、まあしょうがないとも言えました。
困ったものです。
ちなみにルーカスが衛生科だったので、パウルと一緒に簡単な治癒魔法を教えてもらいました。
毎日あのゴリラに飛ばされて、怪我をする場合があるのでね。最低限は、
まあ、連れ回されまくったせいで訓練の際ペアにさせられたりと、こちらは良い練習にはなったのですが、ほぼ毎日ボコボコにされました。
おかげで毎日医務室がよいになったんですがね、
相手からは「壊れない玩具おもちゃ」と呼ばれるぐらい訓練で遊ばれました。
話は変わりますが、歩兵科の中にも種類が複数あります。
「突撃兵」「装甲兵」「偵察兵」この3種類です。
突撃兵はそのままの意味で、敵陣への切り込み要員。
装甲兵は魔法で透明な防護壁を展開しつつ、味方の盾になる兵士。
偵察兵は部隊が前進する前に付近を偵察する兵士。
この3つだそうで、自分は一番オーソドックな突撃兵に。
ちなみにソフィアも同じです。
そうして歩兵科として訓練をおよそ半年頑張りました。
主に敷地内の山を使った3日3夜行う行軍練習、スコップによる塹壕掘り、模擬演習、その他筋トレなどです。
個人的に1番楽しく、尚且つ大変だったのが実弾演習。
そうです。
本物のライフルに本物の弾丸を使った練習です。
自分たち訓練生に渡されたライフルは「OMI3型連発式小銃」です。
3連発が可能なライフルでわが国の最新型ライフルだそうです。
それを一人一丁渡され、設置させられた標的まとに向かって正確に撃つ練習です。
前世ではFPS。いわゆるシューティングゲームを嗜んでいたので簡単かと思いましたが、、
「うっ、」
馬鹿みたいな反動が銃を撃つたびにストック(肩当て)を通じて伝わってくるので、毎回少しうめき声をあげてしまいました。
ゴリラとの訓練でタックルさせられるよりはマシですがね、
ちなみにソフィアはうめく自分を見て笑っていました。
こっちは真剣にしてるんだけどね、
そうして訓練尽くしの生活を続けて春の季節、兄であるフィリックスからある手紙が届きました。
よく手紙を通じて連絡を取り合っていたのです。
その手紙の内容は、いつものような日常的な内容ではありませんでした。まあ嬉しい話もあったんですがね、
一つは軍学校の早期卒業。
手紙によると、フィリックスの訓練成果がよく、その他優秀な士官候補生数名と共に繰り上げ卒業となったそう。
やっぱり魔法の才能がある人はすごいですね。
自分の兄だと思うと尊敬しかありません。
そして手紙の内容はもう一つありました。
戦争が起きるかもしれないとのことでした。
どういうことかというと、隣国のフラールドが最近、国境部で軍隊を動かしているとのこと。
軍隊が集結してきているのです。
そのため、フィリックスもそれに伴い繰り上げ卒業になったのだとか。
そんなまさかと思いつつ、自分ができることは、戦争が起きないことをひたすら祈っておくことだけでした。
しかし、現実は残酷でした。
春の中頃に差し掛かった5月中頃のとある日、、、
いつも通り訓練をして、ソフィアにボコボコにされて倒れているときのことです。
「うん?」
「なにボーッとしてるの? 早く立ちなさい。まだ練習中よ。」
「あれ、なんだろうか。」
「え?」
ソフィアに声をかけられたとき、空を飛ぶ複数の黒い物体を見つけた。
「とり、、、ではないわね、」
「アレって、、ワイバーン?」
「ワイバーン」
人間が飼育することができる魔物の一種で、ドラゴンみたいな見た目にコウモリのような翼をつけた生き物で、自分も図鑑でしか見たことがありませんでした。
兵科でいう騎竜科です。
しかし、普通はこんな場所を通るものではありませんでした。
心臓がバクバクなっていた。
めちゃくちゃ嫌な予感がする。
「クライン?」
「ソフィア。こっちだ!」
「え? は?」
「みんな!塹壕に入れ!!」
「「 は? 」」
「いいから早く!」
自分はソフィアの手を繋ぐと急いで近くの訓練用に掘ってあった塹壕の中に入った。
自分とソフィアに続いて何人かの訓練生も訳のわからなそうに塹壕に入った。
「おい!お前ら! 今は格闘訓練の時間だぞ!」
「上官!急いで他のやつにも伝えてください! たぶん敵の騎竜がやってきています!」
「なにを訳のわからんことを。」
周りの訓練生は「アイツ大丈夫か?」という顔をし、自分は上官に見つかり注意されたが、自分はソフィアの手を繋いで塹壕に伏せた。
「おい!早く出てこっ、、、」
ドンドンドンッ、、、
突如として上空を飛んでいたワイバーンたちがこちらに急降下し、いくつかのだいたい拳ぐらいの大きさの金属製のボールを落として行った。
そしてその内の一つが、上官の頭にめり込んで、頭の一部を抉り取っていった。
周りの奴が唖然としている中、
ジュウゥゥ、、、
その黒いボールは奇妙な音を立てていた。
”マズイ“
「みんな伏せろぉ!」
俺がそう言った次の瞬間!
ドンッ!
そのボールは勢いよく、破裂した。
手榴弾だったようでした。
その破片はあたりに金属の嵐を巻き起こし、塹壕の外でその光景を立ち尽くして見ていた訓練生たちはその命を刈り取っていきました。
「ぐわあぁ!」
「目がぁ、目が焼けてるゔぅ」
「あ、足がっっ」
「かっ、かあさーん!」
呻き声に断末魔、それに爆発音や上空からのワイバーンの雄叫びが聞こえました。
まさにカオスです。
幸いにも自分とソフィア、あと塹壕に潜り込んでいた他の訓練生たちは無事でした。
ワイバーンは一度襲いかかってきただけですぐに逃げていってくれたので、被害は最小限だったのでしょう。
それでも歩兵科は訓練生82名の内37名が亡くなりました。負傷者はもっとです。
教育係の兵士や上官も5名の内1名が亡くなり、もう1人が負傷しました。
どうやら他の科でも被害が出たようで、訓練生120人のうち、死者48名。負傷者61名を出しました。(負傷者は重軽傷合わせて)
手紙の通り、どうやらフラールドとの戦争が始まったようでした。
こうして自分の平和な時間は幕を閉じました。
そうして自分たち訓練生は、戦場へと送り込まれていったのです、、、
ー細かな作品情報ー
ソフィアは初日の10周走り切った中の1人です。
ちなみに走り終わった後の行軍練習も比較的ピンピンしていました。(まあ終わった瞬間に昏倒しましたが、)
騎兵科と騎竜科はたいへん数が少ない兵科です。
騎兵科は塹壕戦により昔よりも数が少なくなってきていますが、後方地域や占領地域などにおける機動防御に向いているため現在も残されています。
ちなみに後方勤務が多く、死亡率が低いため、貴族の割合が高いです。
騎竜科はそもそもワイバーンの数が少ないため、数が少ないです。
OMIの正式名称はオーランド・ミリタリー・インダストリーズです。
この会社はベルンのライフル全てに携わっている由緒正しい会社です。
ベルン製ライフルの歴史には主に3種類存在し、うち2種類は現役です。
一つは第三世代のOMI3型連発小銃。
もう一つは第二世代のOMI2型単発小銃。
簡単に言えば3型の単発型です。
これが元で連発型の3型が作られました。
そして予備保管されているOMI1型単発小銃。
こちらはベルン初の後装式(ボルトアクション式)のライフルで、簡単に言うと、ライフリングがない2型です。(1型が2型の元になった。2、3型はライフリングあり。)
マスケット銃とボルトアクション銃の中間のような銃です。