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6話:ラランチアとペオーニア

今日の仕事が終わって後片付けも終わった。


「それじゃマスター、上がらせてもらいます」

「おう!おつかれ!」


マスターに挨拶した後ペオーニアさんに駆け寄って声をかける。


「ペオーニアさん、お願いがあるんですが」

「え?わたし?」


なんだろう?ペオーニアさんの腰が引けているような?


「ラランチアのことなんですけど・・・一晩ペオーニアさんの部屋に泊めてもらえませんか?」

「えええ!?」


ラランチアには色々聞きたいこともあるけど、あんな狭い納屋に一緒にいたら俺の理性が持たない・・・


「信夫様・・・」


ラランチアがなぜか悲しそうな顔をするけど、今夜も一緒だと絶対本能が勝っちゃうから!!


「・・・別に、いいけど・・・」

「本当に!?ありがとう助かるよ」


ペオーニアさんが了解してくれたのでラランチアを預けることにする。


「ラランチア、ペオーニアさんに迷惑をかけないようにな」

「は・・・はい」


明日までにラランチアの寝床を確保しないとな。3畳しかない納屋だけど、廃材を貰ってきて仕切りを作るか・・・





「どうぞ、入って」

「お邪魔いたします・・・」


どうしてわたしがラランチアさんの面倒を見なきゃなんないのよ!

そう思っても八方美人のわたしは断れないんだけど・・・


「湯あみの用意をするからその辺にでも座ってて」

「あの!お手伝いします!」


いい子ではあるんだけど・・・信夫さんに裸で抱きついてた姿を見ちゃうと、なんだかもやもやするのよね・・・


「いいわよ。お湯を持ってくるだけだし」



厨房のかまどでお湯を沸かしながら座り込んでため息を吐く。

はぁ・・・何話したらいいんだろう・・・信夫さんのことは話したくないし、聞きたくもない。・・・どうしたらそんな大きな胸になるんですか?・・・死んでも聞けないわね・・・

火を消し鍋のお湯を桶に移して部屋に持っていく。


「おまたせ。背中を拭いてあげるから服を脱いで」

「そんな!ペオーニア様に迷惑をかけるわけには・・・」

「そう思うなら早くしてね。せっかく沸かしたお湯が冷めちゃうわ」

「は・・・はい」


ラランチアさんは立ち上がって麻のワンピースを脱い・・・


「なんで下着をつけてないのよ!?」


ワンピースだけでした。パンツを履いてないだなんて・・・!!

この短いワンピースでパンツも履かないで仕事してたの!?あんなに動きまくって・・・


「あの・・・ご主人・・・信夫様にはコレしか頂いてないので・・・」


信夫さん!サイテーッ!!下着も付けさせずこんな恰好でいさせるなんて!!


「と、とりあえず湯あみを済ませましょう!後ろ向いて」

「はい」



タオルをお湯に浸して軽く絞り背中を拭いていく。ラランチアさんの背中は真っ白で傷一つなく、まるで赤ちゃんの肌のように滑らかで美しい。もう悔しいという思いすらなくなった。


「髪どかしてね」

「はい」


胸を隠していた両手のうち右手を上げて髪を横にずらす。香油でも使ってるのかしら?お花のいい香りがするわね。首筋を拭いていると耳の上に葉っぱがついているのに気づきました。首筋に赤いうっ血もあるし、茂みの中でも通ったのかしら?


「ラランチアさん、耳の上に葉っぱがついてるわよ?」


手を伸ばして取ろうとすると、ラランチアさんが素早く葉っぱを手で隠しました。


「こ、これは!あの・・・髪飾りですので・・・」

「髪飾り?」


ただの葉っぱじゃない?まさか、町の方ではこんなのが流行ってるのかしら?どうせならお花でも飾ればいいのに。


その後は特に会話もなく湯あみを済ませると、衣装箪笥から下着を2枚取り出してラランチアさんに渡します。


「お古で悪いけど履いてないよりましでしょ?」

「ありがとうございます・・・」

「明日お父さんに言って日払いにしてもらうから、そのお金で服を買いにいきましょう。よく見たらそれってワンピースじゃなくて男物の服じゃない?・・・」


そういえば、『信夫様にはコレしか頂いてないので・・・』そう言ってたわね・・・

ここまで来る時に着ていた服はどうしたのかしら?・・・

信夫さんにコレだけ着てるように言われたってこと!?どんなプレイなの!!

お仲間って言ってたけど、本当なのかしら・・・怪しいわね・・・


毛布をもう一枚用意してラランチアさんの寝床を作ります。


「ランプ消すわよ」

「はい・・・おやすみなさい」


暗闇の中目を開けて天井を見る。微かな星明りで薄っすらと目が慣れてきた。横を見ると毛布に包まって背中を向けるラランチアさんが見えます。


「ラランチアさん、もう寝た?」

「・・・いえ、起きています」

「信夫さんと仲間ってウソでしょ?・・・」

「・・・」


やっぱりね。信夫さんに弱みを握られてる・・・って感じでもないし、


「どういう関係なのかしら?あ・・・」


思ってることが声に出ていました。


「信夫様は・・・わたしのご主人様です・・・」


あ~なるほどね、彼女は奴隷なんだ・・・この村にはないけど、大きな町には奴隷市場があるって聞いたことがあるわ。

これだけの美人さんだし安くはないんだろうけど、よく信夫さんが買えたわね。

逆か、彼女を買ったから一文無しになったってことね。

お金で女の子を買わなくたって、好きになってくれる子はいるのに・・・


「ほんとバカ・・・」

「ペオーニア様?」


奴隷になったことには同情するけど、信夫さんの側にラランチアさんがいることが悲しくて胸が苦しい。


「もう寝ましょ」

「・・・はい」



翌日の朝食の時にお父さんにお願いして日払い分のお金をラランチアさんに渡してもらいました。月に銀貨10枚で、ひと月の内働く日が25日なので日給で銅貨40枚ね。多くはないけど古着ならワンピースを2枚と肌着くらいは買えるわね。


「信夫さんはまだ起きてないの?」

「信夫なら朝早くに出かけて行ったよ。忙しいやつだな。ラランチアちゃんとどこか行くのか?」

「替えの服を持ってないらしくてね、服を買いに」


出がけにお父さんが聞いてきたのでラランチアさんと出かけることを告げる。


「そうか、それじゃこれは準備金だ、持ってきな」

「え?よろしいのですか?」


ケチなお父さんがラランチアさんにお小遣いを持たせてくれた。まったくかわいい子には優しいんだから。信夫さんには何もないのに。

ラランチアさんと村を歩いて繁華街に向かいます。さすがに信夫さんが着せていた服で外を歩かせるわけにはいかないので、わたしの服を貸してあげた。


「いくらもらったの?」

「えっと、コレを」


手の平には銀貨が1枚握られていました。奮発したわね~お父さんのお小遣いから削っとくかな。

でもこれで銀貨1枚と銅貨40枚ね。そこそこの買い物ができそうでちょっとわくわくするわ。人の買い物だって選ぶのは楽しいのよ。


「ラランチアさんっていくつなの?」

「生後2日です」

「え!?」

「あ、いえ!えっと15歳・・・です」


びっくりした。ラランチアさんって冗談も言う人なのね。15歳か・・・信夫さんと同い年なのね。わたしの一個上か。

どうして奴隷になったの?って、さすがに聞けないわね。親の借金で売られちゃったのかな?・・・もしわたしが奴隷にされたら・・・一日中泣いて過ごしそうだわ。それなのにラランチアさんはあんなに明るく働いて・・・信夫さんに買われたことをどう思ってるのかしら?エッチな命令とかされたのかしら?裸で一緒に寝てたし、無理やり命令されて?それとも・・・同い年の男の子に買われるなんて、想像もできないわ!


「ペオーニア様?どうかなされたのですか?」


わたしが一人で百面相をしていることを訝しんで、ラランチアさんが前かがみになって上目使いで覗き込んで来た。うあっ、胸でっか!


「ううん!何でもないわ!」


よし!一時休戦よ!今日はラランチアさんと買い物を楽しむことにするわ!

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