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42話:神と天使

「まったくどうしてお前はそんなに軽率なのか・・・」


 目の前にそびえる巨大な足、もとい神様が遥か頭上からため息を吐かれました。そして数秒後ものすごい突風が吹きつけてきます。信夫に魔族の王のことを教えた直後に神界に強制送還されました。


「天使よ、お前に命じたのは【監視】だったはずだが?」

「申し訳ありません。あまりにたいくつ・・・いえ、暇だったもので」

「言い直しても同じだ!まったく・・・あんな規格外の異世界人にこの世界をひっかきまわしてほしくはないのだがな・・・」


 規格外?あの信夫が?まあ、異世界人なのですから規格外ってのは確かですけど。たかがニンゲン一人に何が出来るともおもえませんけど。


「神様、信夫はそんな危険な人物には見えませんけど、そんなに脅威なのですか?」

「脅威ではない。脅威ではないがその存在自体が問題なのだ」


 よく分かりませんね。脅威ではないけど存在が問題?以前聞いた混血化が問題なのでしょうか?


「お前に言ってもわからんだろうが、信夫は猛毒である【酸素】を吸って生きている化け物なのだ」


 サンソ?


「この世界を創った時、この世界の生き物は【窒素】を吸って生きる生物にした。酸素に触れれば鉄は錆びて朽ち果て、生き物は酸化し腐り落ちたからだ。しかし植物たちは大気中の二酸化炭素を食料として排泄物の酸素を作り出した。このままではこの世界は猛毒の酸素で満たされてしまう。それを解消するためには酸素を燃やすしかない。効率よく酸素を燃やす為には戦争が一番だ。争いには火が不可欠だからな」


 ふむふむ。確かに昔は色んな種族が争って戦争が絶えなかった。火の魔法が飛び交いいくつもの森が消え、人族と獣人族の間にあった森は今では荒野になってしまっている。


「しかし時間の経過とともに知能が発達した者たちは、諸王国会議というものを作り上げ、話し合いで問題解決するようになった。現在でも争っているのは魔法の使えない人族のみ」

「そしてその人族そっくりなのが異世界からやってきた【酸素】を使う信夫、ですか」

「酸素は猛毒だ。それは間違いないのだが一つ困ったことがあってだな・・・」


 困ったこと?


「酸素は強靭なパワーを生み出す元にもなるのだ」


 は?


「信夫はまだ気づいてないようだが、信夫の腕力は人間を遥かに凌駕する。おそらく獣人族をも上回るだろう」


 はああああっ!?あの信夫が!?


「とは言え、一個人であればそこまでの脅威ではないが、人間と交わり子孫を残されると【酸素】を使える超人が幾人も産まれることになる。そうなればこの世界のバランスは大きく揺らぐことになるだろう」


 信夫の子孫がこの世界を支配してしまうかもしれない、ということですか。


「幸い魔族の王が作り出した女の子孫には信夫の能力が引き継がれない。信夫が彼女たちで満足してくれるのならば問題は解決する。信夫が人間や他の種族の女に手をださなければな!」


 なるほど。


「天使よ。お前はそのための監視なのだ。信夫が魔族の王と接触して女の子たちの正体を知ったら、人間や獣人の女に手をだすかもしれない。そうなったらこの世界は終わりだ。ゆめゆめ忘れるなよ」


 話が長すぎて良くわかりませんけど、要はラランチアちゃんたちと仲良くする手伝いならOKってことですかね?

 信夫の青い春を満たしてあげる手伝いをすればいいのね!


「よくわかりましたわ神様!それでは監視の任務に戻ります!」

「うむ・・・本当に分かっているのか?・・・まあ7人も女がいれば信夫も満足してくれる・・・と思うが」





 デートではありませんでした。お店を始めるための店舗探しだそうです。少し残念ですけど信夫様と二人っきりで出かけられるのですから満足です。


「ラランチア、最近何かあったの?」

「え?」

「いや、なんか元気がないみたいだったから」


 リメッタから教えていただいた、わたしが「魔物」であることで少し悩んでいました。信夫様にこの事を話すべきでしょうが、話した結果嫌われてしまうかもしれないと思うと、怖いのです・・・。


「あの、信夫様?」

「ん?どうしたの?」

「信夫様って・・・魔物とか、好きですか?」

「は?突然どうしたんだ?」


 聞き方がストレート過ぎました。もう少しオブラートに包めば良かったです。


「いえ、何となく聞いてみただけです・・・」

「何となくって・・・。そうだな~魔物って見たことないからなぁ。元の世界の物語では大抵悪者として書かれているから、あまりいいイメージはなかったけど・・・」


 不味いです。信夫様には本当の事は言えません・・・。


「最近の好きなアニメ・・・えっとお話しでは魔物が主人公だったり、仲間が魔物だったりってのも結構増えてるんだ」


 歩きながらお話ししてくれる信夫様の横顔を見つめます。


「ゲーム・・・遊戯には魔物を仲間にするってやつもあって、魔物だって人間と同じようにいいやつも悪いやつもいるんだろうし、いいやつだったら仲間にするのもいいかもな~って思ったり。あ、これじゃ答えになってないかな?」

「いえ!ありがとうございます・・・」


 わたしにはリメッタのように魔物としての記憶がありません。一体どんな姿をしているのか、どのような性格の魔物なのか分かりません。

 わたしの寿命は残り一ヶ月ちょっと。なぜかそれだけは分かります。それが本来の寿命なのか、それとも変質したこの身体のせいなのかも分かりません。自らの事なのに分からない事ばかりですね。


 願わくば、信夫様に嫌われない姿でありますように。


~序章・完~

進みが遅く申し訳ありません。

諸事情でこの先の展開を大きく変更することになった為、ストックができるまでしばらく不定期連載になります。

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