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24話:狐人族とレッサーヴァンパイア

 ちゅんちゅん


「朝か・・・今日がついに7日目・・・」


 今夜一体何が起こるんだろう?昨日の夜、仕事が終わった帰り道で見たラランチアの頭には、6枚の葉と大きな蕾がついていた。その蕾の先からは水色の花が姿を見せ始めている。今夜あの花が咲くんだろうな。


 コンコン


「おはようございます旦那様。もう起きていらっしゃいますか?」


 アメリーさんの声だ。


「おはようございます!今起きたとこです!どうぞ入ってください」

「失礼いたします」


 アメリーさんは執事組合の既定の制服を着ている。濃紺のロングのワンピースにヒラヒラのついたエプロン姿だ。エプロンドレスって言うのかな?


「朝食の用意が出来ております。お着換えが済みましたら食堂へお越しください」

「ありがとうございます。アメリーさん」

「それと本日は午前中に執事組合から数名の家政婦候補が面接に訪れます」


 そうだった。ラランチアは3人雇うと言っていたな。あと二人か。どんな子がくるんだろうな?


「わかりました。面接時にはアメリーさんも同席してください。正直俺には誰がいいのかわからないので・・・」

「ほっほっほ。旦那様が気に入った方で構わないのですよ。どんなに使える方でも旦那様が気に入らなければ意味がありませんので」


 そうは言っても一緒に働くアメリーさんの負担になっては申し訳ないしな。


「例え使えない子だったとしてもビシバシ鍛えますからご心配なく」


 冗談なんだろうけどアメリーさんはムチを振るような仕草をして微笑んでいる。冗談ですよね?


「わかりました。でも、助言を頂けると助かりますので同席はしてくださいね」

「畏まりました」


 俺はゴブリンさんの輸入服専門店で頂いたちょっといい服に着替えると食堂に向かった。今日は初めてのお休みの日だ。酒場の仕事がないと花が咲く深夜までが長く感じそうだ。扉を開けて食堂に入るとラランチアがすでに座っていた。


「おはようラランチ・・・ア」

「あ、おはようございます・・・信夫様」


 ラランチアは寝巻だった!!しかも寝不足なのか目がトロンとしていて髪が数本跳ねている。薄手の寝巻はボタンで留められているが胸がはち切れそうで隙間から肌が見えている。しかもボタンが一個違いでずれていて、いつもキッチリしているラランチアなのに一体どうしたんだろう!?


「ラ、ラランチアさん?今日はどうしたんですか?・・・」


 なぜか敬語になっていた。いつもと違うラランチアに俺も動揺しているようだ。


「何か変です・・・か?・・・」


 俺の視線に気づいたのかラランチアが自らの双丘に視線を落とす。そして次の瞬間。


「きゃあああああああっ!わ、わわわわたしなんて恰好を!!き、着替えてきますっ!!」


 そう言って食堂を飛び出して行った。寝ぼけてたのかな?





「旦那様、面接希望者がいらっしゃいました」

「ありがとうございますアメリーさん。応接室に案内お願いします。あと、ラランチアにも知らせておいてください」


 自室で新しい商売になりそうな物を書きだしているとアメリーさんが知らせに来てくれた。


「畏まりました」


 ラランチアは朝の醜態が恥ずかしいのか食後は部屋に籠りっきりだ。そんなに気にしなくてもいいのにな。それより側にいて欲しいと思う。俺は立ち上がって深呼吸をすると気合を入れて応接室に向かうのだった。応接室の前にはアメリ―さんが待っていて俺が到着すると扉を開けて先に入室した。


「お待たせいたしました。ご主人様がお見えです」

「遅くなって申し訳ありません。田中信夫です。よろしくお願いしますね」


 俺が入室するとソファーに座っていた2人が勢いよく立ち上がって俺に頭を下げてきた。


「は、初めまして!執事組合から派遣されてきました!本日は面接よろしくお願いします!」

「よろしくお願いしますわね」


 室内には面接希望者の2人だけでラランチアの姿は見えない。


「アメリ―さん、ラランチアは?」

「お声をかけたのですが体調がすぐれない、と」


 朝から変だったけど体調不良のせいだったのかな?面接が終わったらお見舞いにいかないと。2人が立ったまま俺たちの会話を聞いていたので座るように促した。


「ああ、すみません。どうぞ掛けてください」

「は、はい!」

「失礼します」


 ラランチアがいないけど、俺が面接していいのかな?


「えっと、まずは自己紹介をお願いできますか?」


 そう言って向かって左の女の子に目線を向ける。頭の上にあるケモミミがめっちゃ気になる!


「は、はい!わたしは狐人族13歳!解放奴隷です!人族好みの料理は苦手ですけど掃除、洗濯はできます!一生懸命に頑張りますのでよろしくお願いします!」


 ケモミミ少女は勢いよく立ち上がると一気にまくし立てた。狐人族?解放奴隷?俺は意味が分からずアメリーさんをチラッと見てみる。


「狐人族は獣人の一種です。人族の国の北に隣接している獣王国の住人ですね。解放奴隷と言うことは幼いころに親に売られたのでしょう。通常は10年働けば自由の身になれるのですが」


 なるほど!意味がわからん!ゴブリンさんたち以外にも言葉を話せる種族がいるのか。獣人、狐人族ね。見た目はすごくかわいい女の子だ。小柄で身長は130cmくらいか?身体の線も細く体重も軽そうだ。少し和服に似てはいるけど所々紐で結んだ変わった服を着ている。なんちゃって巫女服みたいだな。腰に大きな鈴を付けていて身じろぎするたびにカラカラと音を立てている。10年で自由の身になれるという事は3歳から働いているのか!?人間とは成長速度が違うのかなぁ?


「はじめましてご主人様。わたしはレッサーヴァンパイアのバンビーノ・グスタフソン・シュルツ・ニエミネン・ヴァン・ドロレスと申しますわ」


 なげえよ!!バン・・・ドロレスさん・・・どこが苗字でどこが名前なのか・・・


「ロリと呼んでくださいませ」


 まあ短くなって助かるけど、なんでロリなんだ・・・


「えっと・・・ロリさん?失礼ですがお年は?」

「25歳で死んで300年ほど経ったでしょうか?」


 意味がわかんねえ!!そう言えば名前の長さでスルーしちゃってたけど、レッサーヴァンパイアってなんだ!?レッサーパンダの親戚かよ!アメリーさん助けて!!


「珍しいですね。話では聞いたことがありますが、不死族の方のようです。不死族は生きる気力のない働かない種族と聞いていたのですが」


 不死族って!?25歳で死んだって言ってるんですけど!・・・いかん、落ち着け俺。ラランチアがいないんだ。俺がしっかり面接しないと。


「そうだ。ロリさんは何か得意なことはありますか?」

「そうですね~死んで味覚が無くなったので料理は苦手ですし、太陽の光を浴びると灰になってしまうので昼間は日傘がないと働けませんわ。まあ、夜になれば復活しますけどね。なので、屋敷の夜間警備ならお任せくださいませ」


 ・・・困った・・・普通の子がいない・・・これではアメリーさんの負担が増えてしまうんじゃないか?


「これは助かりますね。身のこなしが軽い狐人族に掃除をお任せして、ロリさんに夜のうちに洗濯をしていただければシミも落ちやすいですし午前中には乾くことでしょう」


 そんなものなのかな?アメリーさんの負担にならないなら別に雇ってもいいかな?


「えっと、ロリさんと・・・あれ?そう言えば君の名前はなんだっけ?」


 狐人族の女の子に視線を向けるとビクッと身体を硬直させた。見てて分かるくらいに汗がダラダラと流れ落ちている。


「えっと・・・わたしの・・・名前は・・・」


 スカートの端をギュッとつかんで俯き加減にぼそぼそと何か言っている。そんなに名乗りたくないのかな?獣人の風習で名乗っちゃいけないとか?


「わたしの名前は・・・ゴ・・・ゴンザエモン・・・です・・・」


 わあ、とっても漢らしいお名前・・・まさか・・・?


「お、男・・・です」


 まさかのオトコの娘だった!

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