13話:天使と魔使
魔使「僕たちは天界と魔界から来た監視役だよ」
天使「この世界に入って来た汚物、失礼、異物であるあなたが変な事をしないようにと」
天使と魔使、逆じゃないんですかっ!?監視役・・・神様と悪魔が俺を監視するように命じたってことか?俺ってそんなすごい存在に警戒されてるの!?何もできないニートだよ俺!バイトしてるからニートじゃないけど!
「変な事って、俺にそんな力があるのか?何か世界を揺るがす能力があるとか?」
天使「婦女暴行」
「天界どんだけ暇なの!?コレって天界を揺るがす事態なの!?」
魔使「いや、お前がこの世界で初めての異物だから何が起こるか分からないってことさ。できればこのまま大人しく一生を終えて欲しいと。悪魔様にも神にも予想ができないなんて異常事態だからな」
なるほど・・・それで監視なのか。排除じゃなかっただけましなのかな・・・ん?
「ちょっと待ってくれ。それじゃ俺がこの世界で結婚して子供ができたりなんかしたらどうなるんだ?」
天使:魔使「「当然排除」」
なんだってえええええっ!?
天使「これ以上仕事は増やさないでくださいよ。バカなんですか?あなたは地域猫扱いなんですから、子孫は残さず一生を終えてください。いっそ去勢してしまいましょうか?」
えええええええええええええっ!?思わず股間を押さえようとしてラランチアの頭に触れる。ああそうだった!ラランチアをひざ枕してるんだった。
魔使「まあ、去勢はやりすぎにしてもハーフがどんな生物になるかわからないからな。子孫は勘弁してくれ。信夫は言うなれば外来種だ。そのお前がこの世界の人間と交雑すると在来種である人間に何かしら悪影響があるかもしれない。」
な・・・なんてこった・・・俺はラランチアと・・・できないのか・・・
魔使「いや、それは問題ない」
天使「問題ないですね」
「え?本当に?」
ラランチアとあんなことやそんなことをしても大丈夫なのか!?とゆーかさっきからちょくちょく心で話したことに返事してるな。
魔使「まあ・・・アレは人間じゃないしな・・・」
天使「ラランチアさんが〇〇や○○○○をゲスなあなたに許すかどうかは別問題ですけどね。このエロ助がっ」
やっぱりラランチアは人間じゃないのか。まあささいな問題だ!だってこんなにかわいいんだからっ!!起こさないようにしながら再びラランチアの髪を撫でる。心なしか撫でると微笑んでいるように見える。
「それで?」
魔使「それで?とは?」
アレ?心を読めるわけじゃないのか。思ったことがわかるだけなんだな。
「俺はどうしたらいいんだ?何が神様や悪魔の気に障るかわかんないんだけど・・・」
天使「特に、何も」
魔使「僕たちは監視しか命じられていないからな。信夫がやったことを逐一報告するだけだ」
どこにNGワードどころか、サドンデスが潜んでいるのかわかんないのか・・・とゆーか監視役が目の前に現れちゃダメなんじゃないのか?
天使:魔使「「ダメって言われてないし」」
こいつら実は左遷されてきたんじゃないのか?いちいち言われなくてもわかるだろうに・・・
天使「わ、わわわたしのような高貴な天使が!?さ、さささ左遷などありえませんっ!!死になさいゲスが!!」
魔使「まあ、そうかもしれないけどな。珍しい外来種の観察ができるのは悪くない」
その後、罵詈雑言を喚き散らす天使を羽交い絞めにして魔使と天使は消えた。現れるも消えるも自由みたいだな。今もどこかで監視しているんだろうけど気にしても仕方ない。神や悪魔が迷惑な存在の俺を殺したり元の世界に送り返さないということは、出来ないかそうしたくないという事なんだろう。普通に生活してることは問題ないようだ。問題なのは、子孫を残してしまう事。それでもラランチアなら問題ないようだからそれで充分だ!ラランチアに見限られさえしなければ・・・
「うぅ~ん・・・」
背中を向けて寝ていたラランチアが寝返りをうって俺の方を向いた。幸せそうに少し笑みを浮かべて、軽く開いた桜色の唇が少し濡れていて艶めかしい!!俺の右手が勝手にラランチアに伸びていく。
「鎮まれ!俺の右手!」
左手でなんとか右手の暴走を止めるが、起きてたらダメだ!俺も寝てしまおう!夢の世界でなら何をしてもいいはずだっ!
魔使「寝ちゃったか」
天使「夢の中ならじゃましてもいいわよね?」
魔使「やめとけよ。不憫すぎる」
1000年前の天魔戦争の終結時に悪魔様も神も下界に干渉しないと言う、「不干渉条約」を締結した。それから1000年悪魔様は下界に、特に戦争の原因になった人間に手出しはしていない。しかし信夫は違う。厳密にはコイツは人間じゃない。たまたま人間に似ているだけの異世界の生物だ。こいつに干渉するのは条約違反にならない。神も同じ考えだったからこの天使を送り込んで来たのだろう。信夫がどうしてこの世界にやって来たのか。どうやって悪魔様と神が張る結界を通り抜けてこれたのか。別世界の悪魔か神の仕業なのか。なぞは深まるばかりだが信夫を見張っていれば何か分かるかもしれない。僕が左遷だって?馬鹿な。僕は悪魔の中の超エリート!特級悪魔に昇格できる1級悪魔の学校を受験するために専門予備校に通う3級悪魔なのだ!必ずなぞを暴いて見せるよ!
どうしよっかな・・・
そろそろ開店の時間なんだけど信夫さんもラランチアさんも納屋から出てこない。お昼過ぎに帰って来たのを見かけたからいるはずなんだけど、二人っきりで何してるのかしら?もし、また裸で抱き合ってたりしたら・・・納屋の前まで来たけれどわたしは扉をノックすることも出来ない。扉に耳を当ててみたけど物音はしない。ラランチアさんの・・・な声もしない。大丈夫かな?
コンコン
扉をノックして見たけど返事がない。聞こえないのかな?
「はぁ・・・まさか昼間っからなんてことは、ないよね?失礼しまぁす・・・信夫さん、ラランチアさん、そろそろお仕事の時間・・・」
少し開けた扉から見えたのは、服がはだけて大きな胸がこぼれ、信夫さんの股間に顔を埋めているラランチアさんと、気持ちよさそうにのけぞって身動きしない信夫さん!?
「ふ、不潔よっ!!」
バンッ!!
わたしは叩きつけるように扉を閉めて走り去るのでした。
「うぅん・・・なんでしょう今の音は?・・・はっ!?」
わ、わたし!何をしていたんでしょうか!?そ、そうです。確か信夫様にひざ枕をしていただいて寝てしまって・・・
「やだ!服がずれちゃってます。信夫様は?・・・良かった寝てるようですね」
急いで服を直すと信夫さんのズボンの色が変わっているのに気づきました。あ、わたしったらよだれが・・・ハンカチで口元を拭くと信夫様のズボンを凝視します。
「ふ、拭いて差し上げないといけません・・・よね?・・・」
決してやましい気持ちはないのです。わたしはただよだれを拭きとろうと思っているだけなのです。
「の、信夫様・・・失礼いたします・・・」
そーっと手を伸ばしてズボンに触れそうになった時・・・
「ふぁああっ!・・・うぅん・・・あれ、マジで寝ちゃってたか?あ、おはようラランチア。もう起きてたのか?」
「あ、はい!おはようございます信夫様・・・あの」
起きてしまわれました。どうしましょう・・・
「うわ!冷てっ!なっ!?これはまさか・・・いや、違うんだラランチア!こ、これは・・・そ、そう!ちょっと漏らしただけだ!!」
「え?・・・」
信夫様は股間を押さえて納屋を飛び出して行きました。わたしのよだれだったのですが・・・何と勘違いしたのでしょうか?




