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11話:ラランチアのパンツ

「君!このハンガアの権利を売ってくれないか!?」

「ハンガーの権利?」


 著作権?いや特許権みたいなもんか?別に俺が発明したものでもないし、特許の相場もよくわからない。俺の月給が銀貨10枚だからそれくらいかな?


 魔使「いやいやいや!4ヶ月分はいけるだろう!?ふっかければいいじゃないか」

 天使「そんな無理を言ってはいけません!バカなんですか?せいぜい2か月分くらいでしょう?」


 迷ってんのにさらに迷うことを言うなよ!二人の意見をまとめてくれ!!


 魔使:天使「「それじゃ間を取って3ヶ月で」」


 お前ら実は仲いいだろっ!!3ヶ月分とゆーと銀貨30枚か・・・いけるのかよ・・・


「えっと、それじゃ・・・30枚で・・・」

「なんじゃとっ!!」


 あああああっ!高すぎたか!?そうだよな、給料3ヶ月分って婚約指輪の相場じゃないか!


「そんな安くていいのか!?国に戻って売り出せばもっと儲かるぞ!?」


 魔使「ほらみろ。安いって言ってるじゃないか。もっと吹っ掛ければよかったのに」

 天使「あぶく銭は持つべきではありません。まして自ら発明した物でもないのです。3ヶ月分も頂ければ十分ではありませんか、この銭ゲバが!」


 まあゴブリンさんの国で売れば売れるかもしれないけど、そんな販路も伝手もないしな。銀貨30枚を気持ちよく払ってくれるならそれでいいさ。


「今は手持ちが足りなくてな。とりあえず手付の()()20枚だ。あとの10枚は次に国に仕入れに行ったときに持ってくる。それでどうかの?」


 金貨でしたああああああっ!!


 魔使:天使「「金貨だああああああっ!!」」


 目の前に金色に輝く金貨(金なんだから当たり前だろっ!)が積まれる。ちょっと待て!確か銅貨100枚で銀貨1枚だろ?俺のバイト代が銀貨10枚ならおおよそ銀貨1枚で1万円くらいの価値か・・・金貨って銀貨何枚分だ!?


「ラ、ラランチア・・・金貨って銀貨何枚分?・・・」


 ラランチアは頬に汗を流しながらゆっくりと俺と視線を合わせる。


「銀貨・・・100枚分です・・・」


 金貨1枚で100まんえんっ!!それが30枚で・・・3000万円!?・・・え?桁がおかしくない?300万円でも高いよ?・・・あれ?俺が変なの?


 天使「金貨30枚あったらエミリーちゃんとアンナちゃんとヴィオラちゃんの誕生日プレゼントにネックレスを買って上げて・・・」


 なんかゲスイ事言ってるぞ天使!お前の金じゃないからなっ!!てかお前の声、女じゃないのか!?レ〇か!?


「やはり安かったかの?何ならこの店にある服で好きな物を持って行ってもいいぞ?」


 さらに報酬が増えたあああっ!!


 魔使「お、おい・・・ちょっともらいすぎなんじゃ?・・・」


 悪魔までちょっと気が引けてるぞ!?やっぱり貰いすぎだろ!?


「あの、いくら何でもおおす・・・」

「信夫様!この服なんていかがですか?きっとお似合いですよ!」


 ラランチアは貰う気満々でした!・・・お金にはちょっと引き気味だったのに服は別腹なんですね。すでに3000万円も貰うんだし服なんてはした金なのかもしれない。どうせならラランチア用のエロい・・・うぅんっ!かわいい服を探してみるかな。店内をぶらぶら見て歩くとワゴンに入れられたトランクスのような布を見つけた。


「そういえば替えのパンツがないんだよなぁ。これもいくつかもらおうかな?」


 俺が白いトランクスのような布を数枚手に取ると、ラランチアが真っ赤な顔をして俺の手を止めた。


「の、信夫様!そ、それは女性用の下着ですよ!」

「え!?・・・」


 コレガジョセイノぱんつ?・・・なんだこれはぁっ!!こんな色気もそっけもない、トランクスの親戚が女性用のパンツだって!?


「ゴブリンさん!!本当にコレが女性のパンツなのかっ!?こんなのがっ!?」


 ラランチアもこんなのを履いているんだろうか!?いくらラランチアがかわいくてもこのパンツはあんまりだっ!!


「ああ、ゴブリンの国ではそれが普通だな・・・!?もしかして女性用の下着にも何かアイディアがっ!?」


 そうか・・・俺がこの世界に来たのはこの為だったんだな。ズロースからランジェリーへの革命の為かっ!!この世界の男たちはこんな不憫な思いをしていたんだな。待ってろよ!俺が必ずラランチアに似合う下着を作って見せる!!





 それから数時間ゴブリンさんとラランチアに似合う下着の話で議論を交わした。絵に描いて説明し、「ここはもっと食い込ませて!」とか「色はパステルカラーで!」とか。その間ラランチアがずっと顔を真っ赤にして立ち尽くしていたことは申し訳なく思う。しかしその議論は決して無駄ではなかった。ゴブリンさんがアイディア料だ!と言って金貨50枚を出したことがそれを証明している。


「これで契約成立だ!ショーツの権利は金貨50枚でワシの物でいいよな!?」

「ああ、いいものを作ってくれよ」


 試作品が出来たらラランチアが試しに履いてみることまで契約に含まれている。そのことが決まるとさすがに頬を膨らませて抗議してきたが、履き心地を聞くだけで決して見ないことを条件に渋々引き受けてくれた。ゴブリンさんは今月は国に帰る予定はなかったそうだけど、ハンガーだけでなくショーツの試作品と量産計画の為、急遽国に帰ることにしたそうだ。しばらく戻ってこれないと言うので服とズボンを3着づつに下着やタオルなどを数枚、それに二人分の寝巻とラランチア用のワンピースとペオーニアさんにもお土産で服を1着頂くことになった。ちなみに男のパンツはふんどしだった・・・


「それじゃまた来るよ」

「ああ、来月中には戻って来る予定だ。残りの金貨60枚もその時にな」

「お土産までありがとうございました」


 ラランチアがゴブリンさんに頭を下げ、俺たちは店を後にした。まだ昼を少し過ぎた頃で仕事までにはまだ時間があった。一日二食の生活にはまだ馴染めないので昼飯でも食おうかと思ったが、金貨では買い物が出来なかった・・・よく考えれば金貨は100万円くらいの価値がある。どこの飲食店でお釣りに99万円以上を用意している所があるんだ・・・。金貨ってどうやって使ったらいいのやら。


「なあ、ラランチア。金貨って両替とかできないのかな?」

「できますよ。大きな商会に行けば両替も行ってくださいます。手数料は取られますけどね」


 まあ銀行でも預けたお金を引き出すのに手数料を取るくらいだ。両替に手数料を取られるのは仕方ないか。


「近くにそんな商会はあるのかな?」

「すみません。さすがに場所までは・・・」


 それはそうか。この村で産まれはしたけど育ってはないからな。地理までは分からないか。地道に歩いて探すかな。


「それじゃ歩いて探し・・・」

「すみませ~ん!この辺りに大きな商会はありませんか?」


 ラランチアが近くにいた通行人に商会の場所を聞いていた。フットワーク軽いな!


「わかりました。ありがとうございます」


 ペコリと頭を下げたラランチアが胸を揺らしながら走って戻って来た。歩いただけでも揺れてた胸が左右に大きくワンツーパンチを放っている!?その光景に通行人の視線が一斉にラランチアの胸に集中した!!


「信夫様!分かりましたよ商会の場所」


 チッ!チッ!チッ!


 ラランチアが俺に話しかけると男どもが一斉に舌打ちをしてくる。それくらいなら優越感に浸れそうなのだが、殺意のような気配までするので素直に喜べない。危ない目に合う前に再びラランチアの手を引いて、そそくさとその場を離れるのだった。


 結局両替は金貨1枚で銀貨97枚と銅貨20枚になった。手数料は銀貨2枚と銅貨80枚。2万8千円くらいか。100万円を崩すならそんなものなのかな?


 こうしてラランチアとの初めてのデートは8000万円を稼ぐことになったのだった。

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