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第23話 真夜中のミルクボーイ

処分は無期停学だった


指示があるまで自宅待機

とんだドジだ

煙草ごときで無期停とは


処分を受けたのは僕だけではなかった


2人は同時に解放された

「やられたのう」


「お前ゆーたんか?」

「言うたぞ、君が白状したんだろー?」


「わいはゆーてないぞ」

「なんもか?」


「わいには、高杉は白状したゆーとったぞ」


「チキショー、ハメやがって」


「汚いことするのう」

「煙草のことだけか、聞かれたんは?」


「他には誰が吸うとんじゃとか、やっとるんは煙草だけかとか」


「まるで刑事だな、他には?」

「ゆーとらん、高杉は?」


「言ってないよ、たぶん他のことは知らんのだよ」

「参ったのう…」


久坂はひどく消沈していた


彼は

僕ほど悪いことはしていないはずだ


落ち込んだ久坂を見ていると

気の毒に思えた


「しょーがないだろ、そげに落ち込むな」


「………」



親父になんと説明したものか‥


久坂の親父さんは厳格な人だ

自分の親父なら僕には

説き伏せる自信がある


久坂にはその芯の強さがない分

叱責をまともに受けるだろう


どうにかしてやりたいが

どうにもならない


謹慎中に電話するからと言うと

それは禁止になっとるからたぶん親が許してくれん


「無理じゃ」

久坂はうなだれた


ならば基本的に連絡は取り合わない

お互い頑張ろうと力無く笑って

僕たちは別れた



そのまま帰るのもなんとなく億劫で

ひとりM港へ向かった


桟橋は静かだった


通勤通学のラッシュアワーは終わったのだ


僕は埠頭に足を向け

冷たい海風に身をさらした



何人かの港湾労働者とすれ違った


彼らは僕のことなど目に入らない様子で

煙草を吸ったり

遠くの誰かに大声で合図したりしながら

足早に通り過ぎて行くのであった



そうして波止場をさ迷っているうちに

一段と潮の香りが強くなった


岸壁の周りには海鳥たちがうようよいて

僕はヒッチコックの映画を思い出した


カモメなのか

ウミネコなのか

僕には区別がつかなかった



腐敗した魚の匂いに誘われた鳥たちは

上手に翼を使って宙に浮かんでいた


いったい何をしきりに叫んでいるのか


騒ぎ立てる鳥たちの側に腰を下ろし

僕は煙草を吸った


ポケットを探ると古いガムが出てきた


張り付いた銀紙をむしって口に含むと


歯磨きの味がした



謹慎期間は9日間だったと思う

無期は1週間だと聞いたことがあるような気がして

7日めになっても連絡がないから不安になったのを覚えている



親父は一言

「少し反省しろ」

と冷たい調子だった


僕が何か話そうとすると

受話器の向こうでそれをさえぎった


「お前は久坂君も巻き添えにしたんじゃろ、後で謝っとけ」



言い訳は空しい


いくら誤解を解こうとしても

相手に聞く耳がなければ時間の無駄である



そっちがその気なら

僕は一向にかまわない


ここ数ヶ月で親父との距離はさらに広がっていたのだ


広島と京都


空いた距離は

新幹線なんかではもう埋まらなくなっていた



意外と辛かったのは

美和さんの微妙な態度だった


彼女はくどくどしいことは何も言わなかった


いや

口をきいてくれなかったという方が正しい



僕も敢えて何も話さなかった


日中はずっと

サージェント・ペパーズを聴いて過ごした


夜はテレビも見ず

ストレンジャーを聴き続けた



たくさんの詩を書いた


そして破り棄てた


どんなに書いても

自分の気持ちを表すことが出来なかったのだ



僕は世界に

たった1人の自分を見つけた




謹慎が終わった時は

さすがに嬉しかった


学校へ行くと

いろんな奴が来て話しを聞きたがった


でも話すことなんて

実際はそれほどないのだ


僕は適当に面白おかしく脚色して話した



始業のチャイム


「すまんかったの」

それまで黙っていた甲斐が声をかけてきた


「何が」

「わしのことは黙っといてくれたんじゃろが」


「聞かれなかったし」

「ほうか」


「久坂は大丈夫だったんかな」


「さあの〜、それより映画行かんか」

「いいよ、いつ?」


「昼から、どうじゃ?」


僕は何処からか

冷ややかな視線を感じて

ちょうど不愉快になりつつあるところだった


「あんまり金がない」


美和さんから小遣いをストップされていた

「お父さんがね、しばらくお金を持たさないでくれって…」


「わしがおごったるわ」

「ホンマか、じゃあ行くわ」


クラスメートの目は好奇心だけではなかった


中には教師達の目つきに近いものがあった


考え過ぎだろうか

ともかく

落ち着かない気分だったのだ



僕たちは午後の授業を抜け出して

尾道へ向かった


列車の中で煙草をくゆらせる


制服で吸うのも

すっかり慣れっこだ


ひじ掛けに肘をついてショッポを吹かす甲斐が

ニヤニヤ笑う


「なに?」


「高杉が無期停とはのう〜」


「甲斐もくらってるだろ」


「おう、2回の〜、わしはリーチかかっとるけんな」


「気にしとらんじゃろが」


「わしは就職じゃけん、あいつらもわしらには甘いんよ」

「ふうーん」


「高杉、わし、お前は真面目な奴じゃ思とったわ」


「真面目だよ」


「どこが真面目なら?」


「すべて」


「違おうが」


「甲斐」

「お?」


「不真面目ゆーのは、自分を偽ってる奴らのことだよ」


「なんじゃそら?」


「甲斐は真面目に生きてると思う」


「はははっ!わしはなんも考えとらん」



「それならそれでいいんだ、真面目だとか不真面目だとかってゆーのは無責任な連中の評価だよ、間違っていようと正しかろうと、たいした問題じゃない」


甲斐はポカンとして

銀色の櫛でモシャモシャの頭を引っ掻いた



「さっぱりわからんわ」



列車は山を抜け

川を渡り

田園を越えて尾道へ近付いた


駅が迫ると

線路沿いに映画の看板が立っていた


ホモの強盗が銀行に立てこもり

銃を構えた警官隊に囲まれていた


“狼たちの午後”だ 


本当はこっちが良かったが

おごってもらう手前

我が儘も言えない


僕たちはジェームズ・ディーンの3本立てを見ることにした


週替わりでピンク映画もやる

アンモニア臭い映画館だった


誰かがドアを開ける度に

厭な匂いが鼻を突く



甲斐はコーラとポップコーンを両手に

ご機嫌だった


前の座席に脚をかけ

ふんぞり返って煙草を吹かした


「なんも飲まんのか」


「トイレに行きたくなるのヤだからさ」



最初のは

“理由なき反抗”だった


甲斐は途中で何回か涙を拭いた


どこで泣こうが自由だが

どこが泣けるのか不思議だった



反抗もチキンランも

まったく理解不能


ジェイミーさえカッコ良ければ

理由はいらないのだ



次のは

“エデンの東”


モチーフは旧約聖書だ


キャルという男は

つくづくタイミングの悪い奴で

やることなすこと裏目に出る


感情の起伏が烈しく

結果を急ぐあまり

周囲からひんしゅくをかう


簡単に言ってしまうと

愛情不足故の情緒不安定


再会した母への愛情表現も屈折している



ラストはキャルが

父親の愛情を取り戻すが

確執の末踏んだり蹴ったりの実直な兄は放置


兄の元カノもあっさりキャルに乗り換える


これが神の教えなら

グリム童話より残酷だ



3本めの“ジャイアンツ”は見ずに出た


僕たちは

石油王になるジェームズ・ディーンに

興味はなかった


でも僕たちは満足だった


アル・パチーノもドロンもいいけど

やっぱりジェイミーだ



映画館を出る頃には

2人ともすっかりジェームズ・ディーンになりきっていた


行き交う人々が

甲斐を大きく除けて通る


甲斐、それじゃあ

“仁義なき戦い”だ‥


「なんかゆーたか、高杉い〜?」


川谷拓三みたい‥



家に帰ると

(最近では京都の家を実家と呼ぶようになった)


美和さんが

「孝チャン、私ほんっとにガッカリしたんやからね」

僕を見て言った


美和さんが話しかけてくれたのは

久しぶりのことだった



「すいませんでした」


「いいのよ、あなたのことなんだから」

「はい」


「私、あなたのお母さんじゃないんだから」


わかりきったことを言うのは

それが本心じゃない証拠だ



「心配かけてすいません」


「ホントよ!もう」


「久坂は元気ですか」


学校では会わなかった


「だいぶしょげてるわよ、当然でしょ?」


「なんか言ってました?」


「相当反省してるみたいよ、あなたとは違ってね」



美和さんは

美和さんなりに僕を気遣ってくれていたのに

僕は彼女を裏切ってしまったのか


僕が謹慎になってからは

急によそよそしく他人行儀になった


僕は少し

いや、だいぶがっかりした

それが本来の

僕と美和さんの距離であったにしてもだ


おじさんに何か言われたのかも知れない


けれど今の僕にとっては

その距離はありがたいとも言えた


相反する気持ち


それはこの頃

僕の中で頻繁に渦巻いていたのだった



その夜

僕は坂下家を脱走した


なんの断りもなく

深夜0時過ぎに

自室の窓からこっそり出かければ

立派な脱走だと思う


僕は転がる石だった

誰にもそれは止められなかったのである

僕自身にでさえ



車庫から自転車を出すのに手間取った


大きくて真ん丸な月の

クレーターを目で追いながら

僕は広美の家へ急いだ



広美の部屋には明かりが点いていた


足元の小石を窓に向けて放り投げる


カン!

カラカラカラー


瓦を伝って小石が転がった


ガラ…


「どーしたん?」

「やあ」


「ちょっと待っとって」


小屋からクロが出てきて尻尾を振った


「やあ」


「静かにして」

「うん」


ミシミシ…


ギシ…


広美の部屋に入った

「喋っていい?」

「ええよ」


テーブルの上には

教科書や問題集が所せましと置かれていた


「約束したろ、勉強しに来た」


広美は大きなため息をついた


「今日お?」

「善は急げだ」


「まあええけど、ホンマ勉強してよ?」


僕は麻のバッグからテキストとレポート用紙を出した


「何からやる?」


こうして僕は

テストまでの数日間

広美の部屋に通った


クロは吠えなかったし

美和さんに見咎められることもなかった


夜中に広美のお母さんが入って来ることも

もちろんなかった



僕たちは黙々と勉強し

2時になると広美が紅茶を煎れてくれた


そこではじめて煙草を吸い頭を休ませた



最後の日

つまり2学期中間試験初日の前夜…


「ぜんぜんワカラン」

「何が?」


「数学」

「どこがあ」


「全部」

「どれどれ」


すぱあ〜


「なんでこーゆ〜式がいきなり出てくるわけ?」


「公式でしょ」


すぱあ〜〜


「だからサ、どの公式で解くのか、サッパリわかんない」


「うーん」(´_`;)y-~~



すぱあ〜〜ふい〜


「じゃあサ、これとこれだけ覚えなさいよ」


「はい」



「紅茶煎れるわ」

「うん」


カチャカチャ…


コポポ…


「アッチ!」

「はははっ」


レモン


「あ、ちょっと待って」



角砂糖


「うふふ」


「何それ」

「ブランディー」


「もうやらないの?今日」

「もう同じだわ」

「余裕あるね」


ティースプン



「なになに?」


ブランディーをちょっぴりかけた砂糖に

火をともした


ポッ



「待って」


ガサガサ…


ろうそく



パチ


電気を消す


「もう1度よ」

「うん」



角砂糖がスプーンの上で妖しく燃えた


ポウ〜



蒼くて頼りない炎だ


「きゃあー、素敵いー」


「綺麗だね」


「1度やってみたかったのよおー!」



「砂糖、コゲない?」



チュン


「はい、どーぞ」


「どれどれ」



「どお?」


「別に」


「うっそ!ヤダ!」


カチャ


「おいしいイイー!」


「そう?」


「もお!」


フッ…

ろうそくが消えて一筋の煙りになった



パチン


明かり


「食べる?」


ガサガサ…



「何?」

「チョコレート」


「あ、ウィスキーボンボン!」


「ふふふ」

「酔うぞ?」


「アタシ寝る人お〜、ふふ」 


「ホントに寝んの?」

「うん!」


「寝る前に少し教えてよ」


「ええよ」

クチャクチャ…


「これ」

クチャクチャ…


【次の空欄を埋めよ】


実数x,y,zが関係式x+y+z=0.2x−y−2x−3.xy−yz+zx=11を満たしているとき


(x,y,z)=〔 〕,〔 〕である



「貸して」

「はい」


クチャクチャ…



「連立方程式ね〜、これはあ〜」


(1) x+y+z=0

(2) 2x−y−2z=3

(3) xy−yz+zx=11


「としてー」



まず(1)+(2)より、3x−z=3


∴ (4) z=3x−3


(4)と(1)、あるいは2×(1)+(2)によってzを消去すると4x+y=3


∴ (5) y=3−4x



「いい?」

「よくない」


「(1)(2)(3)のうち、(1)(2)は1次式、(3)は2次式、だから(1)(2)を中心に進めるの」


「は?」


「文字がxyzの3つ、式が2つってことはどれか1つの文字で他の2つが表せそうじゃない?」


「それ日本語?」


「だから(3)を文字1つの方程式にできるはずでしょ」


(4)と(5)を(3)に代入して

y,zを消去すると



x(3−4x)−(3−4x)(3x−3)+(3x−3)x=11


∴ 11x2−21x−2=0

∴ (x−2)(11x+1)=0


       1

∴ x=2,−――

      11



「ね?起きてる?」


「起きてますよ!」



「わかってる?」

「まあーなんとなく」


ウソつけ‥


「なんか簡単そーだったんだけどなあ〜」

「何それ」


「いいよ、もう寝て」

「高杉君は?」


「もう少しやってみる」

「範囲が広いからね〜」


「集合とか確率は出ないのかなあー」


「得意なん?」

「簡単そうじゃん?」


「アタシ寝るよおー」


ジーンズとネルシャツを着たまま

広美はベッドに入った


冷たいなあ‥

ま、いっか


さてと‥


2つの不等式


|x−a|≦2a+3

|x−2a|>4a−4

について考える



1,不等式(1)を満たす実数xが存在するような定数aの値の範囲を求めよ


2,‥…

不等式(1)と‥(2)を

同時に満たす実数xがあ〜


存在するよーなー

停学‥いや定数aの値の範囲を求めよ


か、

ふーむ‥‥



問題自体がワカラナイ



答え見ちゃお‥


ナニナニ‥


パラゾール入り1次不等式いい?


あ、パラメータか



パラメータあー?


ま、いーや‥


絶対値‥



絶対値‥



座頭市‥


ふああ〜〜



の意味から

|A|≦B……(((1)))

が成り立つのはあ〜


ああ〜〜



つまんない‥


シュパ!


ふううー


休憩だ


ホントに寝たんだ‥



そのよーに解けてしまったら、それは解が1通りに決まってしまったとゆーことだから…


そもそも無数の解があるとゆー前提から


前提??


パラパラ…



あ、違うとこ見てた‥


「ふうー」


ゴソゴソ…

「高杉くん」


「え、何い?」


「諦めて寝たら?」


「そっしよっかなあ〜」

「頭入らんじゃろに」


「うーん」


げっ!3時か‥

3時の〜あなた〜


「横で寝ていい?」

はははっ

いいわけな‥


「ええよ」


イッ‥


が成り立つのはB≧0……((2)の時に時に時に時に…


「こっち寄るけん、はい」


えーとえーと

不等式(1)を満たす実数xが存在存在存在存在存在…

どーしよどーしよどーしよ‥


(≧□≦)ノシ☆



よっしゃあー!

俺は男だ!


じり…じり…



「寒いけん、はよ入って」


「あ、はーい」(^O^)/



が成り立つ

また|A|≧……(3)はB<0ならば無条件で無条件で無条件で‥

成・立・す・る!


「ねえ、まだやっとん?」


「で、で、電気消す?」


いよいよいよいよい‥

ひ、広美のxyzが‥××…♀‥


「なんで?」


なんでトナ!


4a−4<0すなわちa<1のバヤイバヤイバヤ‥


えーいもう!

キスしちゃえー!


不等式を満たす実数全体………‥



「ムフウ…」


どーだ参ったか!

練習を積んだからな‥



「ホンマ下手くそじゃね?」


とり得る値の範囲を存在条件に帰着して求める典型問題…


「ちょっと寝てみて」


な、ナニを‥


解の存在条件を求めることで関数の値域が求まることになるメカニズムをよく理解しよう…



いや、ヤメテ

そんなごむたいな‥


お願い優しく‥



前半は容易、後半は共通の実数解をαとおきqとαの連立方程式を解く…



ブッチュうううう〜〜


イデデデデ‥…

舌が、舌があああー!


「ひょ、ひょっと待っひぇ〜(ちょっ、ちょっと待ってえー)」


qとα

どちらを消去した方が計算が楽になるかの見通しを立てる…



「うふふ、アタシって何でこんなにキスがうまいんじゃろ」


はあ…はあ…はあ‥


「これがフレンチキスよ」

ベロがもぎ取られるとこだった‥



よおし、わかったぞ!


そりゃああー!


ちううー!

吸引んんんーッ




はふううう〜〜


「大丈夫う?」


「あ、だいじょ…」



ぶ、じゃなあーい!


♂が‥

×××!


「どうしたん?鼻息荒いけど」


ちょっと待てえー!

近づくなあー!


ガルルルウ〜ッ



「ねえ?」


にじり…



ダメええー!

ヤメテえー!


こっち来ないでえ!

ぎゃあー!



がばあー!


「な、どしたん?」




「帰るっ!」


「へ?」


「あ、いやその、やっぱりマズイでしょ、泊まるとゆーのは、あの、着替えもあるしさ」


ゴソ…


動くなああー!


イテテテ‥



「わかったけん、いちいちじたばたせんで?」


なんだ‥

いったいどーしたとゆーんだ


我が♂よ


頼む

静まってくれ‥



「なにしとるん?帰らんでええの?」


「いや〜、名残惜しくてさあー」


「バカみたい、おやすみ!」


くっそおー!o(><)o


オンナにわかるもんか‥


「じゃ、おやすみ〜」



静かに

静かに‥イテテテ‥




チャリンコに乗ってしばらく漕ぐうち


キチキチのジーパンの中で暴れまくっていたXXXが

やっと落ち着きを取り戻した



いったい何が起きたというのか

あんなことは初めてだった


誰とキスをしたって

あんなこと今までなかったのに‥


異常だ

異常体質だ‥


人前であんな風になるなんて

しかも女子の前で


もう少しで

好きな人に人格を疑われる所だった‥


最低だ

何かの呪いだろうか?


あんなのを見られたら

僕の人生は終わりだ


睡眠不足のせいだ

そうに違いない


それにあのウィスキーボンボン

腐っていたのかも知れない‥



それにしても

危うく気付かれるとこだった


彼女があんなキスを‥

あんな舌を思いっきり


あ、あれれ‥

またXXXが



コラ!静まれ

狂ったか!


ペシッ!


うっ…イッテ‥



ガラッ!

「孝チャンッ!」


ひッ‥


「何時だと思ってんのよ、まったく!」


み、美和さん‥



「いい加減にしなさいよ!毎晩、毎晩ほっつき歩いて!」


ひゃあーマズイ‥


「ああもー!オンナ臭い!オンナ臭い!窓閉めないでちょうだい!」



「すいませんでした」


「あなたね、勝手に夜中出かけてチチクリ合うのはイイけど、私はずっと起きてなきゃなんないのよ!」


どーして‥



「鍵もしないで部屋から出て、ドロボーでも入ったらどーすんのよ!お父さんに報告しとくからね!」


「すいません」


「知りません!人をなんだと思ってんのよ?」


バアーン!



はあ〜参った‥

サイテーの次は最悪だ


XXXはすっかり萎縮してしまった



XYZ=am5時‥

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