第6話 万能武器ラジャータ
夢の中に現れた女神、弁天様によれば、俺に「アクションヒーロー」を授けたのは俺へのご褒美なのだとか。
それが一体何のご褒美なのかと言うと、俺が助けた母子、特に赤ちゃん(女の子)は将来日本が危機に陥った際、日本を救うために重要な役割を果たす事になるのだとか。その女の子を自らの命を犠牲にしてまでも救った事への、という事だった。うん、あの母子が助かったようで本当に良かった。
「なので私があなたが生前好きだったヒーロー達の能力が使える「アクションヒーロー」の能力を授かるようにこの世界の知り合いの神に頼んだのです」
道理でこの世界じゃ誰も知らない、理解出来ない能力を授かった訳か。
「因みにあなたの弟さんと妹さんもあなたが救った女の子と知り合い、彼女を補佐する存在となります。二人ともあなたを誇りに思って、あなたの意思を受け継いだのですね」
そうか、隼人(弟)よ、伊織(妹)よ、兄ちゃんもお前たちを誇りに思うぞ。
「どうですか、「アクションヒーロー」は?気に入りまして?」
「それはもう!感謝いたします」
弁天様は満足気に頷かれた。
「その「アクションヒーロー」はこの世界では極めて特異で強力な能力です。ですから、この世界の神々もあなたに授ける事を憂慮してまして、幾つかの縛りを「アクションヒーロー」に付けざるを得ませんでした」
弁天様のおしっしゃる「アクションヒーロー」の縛りとは、
1 この能力は身を護る、何かを護る場合など正義の為に戦う場合に100%の能力を発揮出来る。
2 邪な欲望を満たすためには発動しない。
3 この世界の神々が俺の存在を危険と判断しているため、この世界の神々から俺に監視役が付けられる。
4 監視役は自身の判断で俺の能力発動を止める事が出来る。
というもの。3番目が地味に面倒くさいな。
「熱い正義の心と強い精神力を持つあなたならきっと大丈夫でしょう。私達からもこの世界の神々へその旨は十分伝えてあります」
「それは何から何まで有難うございます」
弁天様は懐から銀色に輝く一本の棒を取り出した。
「それでは名残惜しくはありますが、これで暫しの別れとなります。以後、私達はこの世界に干渉する事が出来ません。拓人さん、良き人生を送って下さい」
弁天様が懐から取り出した銀色の棒は、弁天様の手元から宙に浮かぶと俺の元へと飛び、手元に落ちた。
「それは私達からの餞別です。ラジャータといって、あなたの好きな5番目の昭和ライダーの武器を模してあります。このラジャータを核にして様々なヒーローの技が再現出来ますよ」
5番目の昭和ライダーの武器って事は、ライドル?
「それでは、いつの日か再び会う事があるかもしれません。それまではこれにてお別れです」
「お待ち下さい。どうか日本の家族に私が異世界で元気になっているとお伝え願えませんでしょうか?」
あのようにして死んだ俺だ。家族とは突然の事故死で別れも告げられなかった。
「そうですか、ですがそれはいずれあなたの能力で、いえ、わかりました。確かに伝えましょう」
弁天様は何か言おうとしていたようだったけど、俺の願いを叶えてくれるようで、懐から携帯電話のような物を取り出し、レンズ部分を俺に向けた。
「ではメッセージをどうぞ?」
ピコン。
ええっ、いきなり動画撮影?
「えっと、父さん、母さん、隼人に伊織、久しぶり。見た目はちょっと変わったけど拓人です。俺は今、異世界に転生しちゃってるんだ。いきなり死んじまって本当にごめん。俺の死はどうも避けられなかったようだから、ちゃんとお別れも出来なかった。俺は死んじまったけど、こうして異世界に転生して元気にやっているから心配しないで欲しい。
父さん、母さん、俺を産み育ててくれて有難う。俺は二人の息子に生まれて本当に良かった。
隼人も伊織もヒーローばかりであまり構ってやれなくてごめんな。俺は二人の事が大好きだぞ。将来、俺が助けた赤ちゃんとお前たちが出会う事があったら助けてやってくれな?
それじゃあ、みんな元気で長生きしてくれよな」
ピコン。
「うん、なかなかいい動画が撮れましたね。この動画、確かに拓人さんのご家族へ伝えますから、ご心配なきよう」
「本当に有難うございます。神様から再び頂いたこの命と能力、大切に使わせて頂きます」
「では、良き人生を」
そう言うと弁天様の姿は白い霧の中へと消えて行った。
〜・〜・〜
チュンチュン。
窓辺の小鳥の囀りで目が覚めた。勿論、俺の傍に全裸の美女とか美少女が寝ているなどという事は無い。だけどシーツに目を落とすと、そこには長さ30cmほどの銀色に輝く棒があった。
(ラジャータ、だっけ?)
そして俺は昨夜の夢を全て思い出した。
俺は弁天様を始めとする日本の天津神国神とこの世界の神々に感謝しつつラジャータを手に取る。
「ラジャータ、ホイップ」
俺の命令を受け、発光して鞭状になったラジャータを見て俺はこう思わずにはいられなかった。
(夢だけど、夢じゃなかった)
と。
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それでは次話もお楽しみに!




