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かみさまのしるし~めくるめく御朱印巡り旅~  作者: 灯色ひろ
✿ 第四印 神朱印 ✿  

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第33話 天耳通

 あれから数日後。


「ただいまー。お、サクラは今日も月姉の手伝いか」

「あ、ナギおかえりなさーいっ!」

「凪ちゃんおかえりなさい。ごはん、もう少し待っててね~!」


 帰宅した凪を出迎えたのは、キッチンで共に夕食作りをしていたサクラと月音。凪は学校の図書室で神社や御朱印のことを調べていたため、少々遅くなってしまった。


「今日のお米はサクラが炊きます! 楽しみにしててねナギ!」

「おお~すごいなサクラ。そんなこともできるようになったのか。楽しみだよ」

「えっへへへ! ツキネに教えてもらって、いろいろ覚えたのです!」

「そのおかげでお料理の時間も倍になっちゃいましたよ~! ほらサクラ様、こっちでお野菜洗ってください! お父さんたちのお仕事も終わっちゃいますよ!」

「はぁーい!」


 月音の指示を素直に聞いて、懸命に台所仕事に取り組むサクラ。月音のお下がりエプロンを着た姿はあまり神様らしくはないが、大変微笑ましいものである。


しかし、凪にはちょっと気になるところもあった。そのため月音をちょいちょいと手招きして、二人でひそひそと話をする。


「月姉。サクラの調子はどう?」

「見ての通りだよ~。イコナ様のところから戻って以来、前にも増して元気いっぱいで、あれもこれもお手伝いしたいってすごいんだよ。おかげでサクラ様が空回りすることも多いから、お姉ちゃん手一杯です!」

「ははは。さすがの月姉もサクラの積極さには敵わないか」

「〝凪ちゃんのためにお手伝いしたい〟って言うから断れないんだよ~! たぶん、イコナ様に触発されたんだと思うけど、本当はお姉ちゃんだけの愛情がこもったお料理を凪ちゃんに食べてほしいんだよっ。もー!」

「サクラと一緒に作っても月姉の愛情の量は変わらないだろ。俺はサクラの面倒見ながらでも毎日美味しいごはん作ってくれる月姉を尊敬してるよ」

「えっ……凪ちゃんそこまでお姉ちゃんのこと……? うふふっ、そうだよねお姉ちゃんの愛は無限大! いつにも増して愛情込めちゃうよ~!」


 月音もまたやる気マシマシでキッチンへ戻っていき、サクラと共に作業を続ける。凪は、そんな二人をしばらくその場で見守っていた。



 それからサクラの炊いた米を美味しくいただいて夕食を済ませた後、凪が自室の布団の上で満腹になったお腹を休めていると、突然胸元が淡く光った。


「ん? これ、神通力の光か?」


 そう思ったとき、頭の中で小さく誰かの声が響いた。


『――くん、ナギくん。聞こえる?』


「おわっ! この声……ひょっとしてイコナかっ?」


 身を起こして辺りを確認するが彼女の姿はない。しかし、確かに聞こえた。


『よかった、ちゃんと通じてたわね。突然ごめん。神朱印帳を開いてくれる?』

「やっぱりイコナか! そっか、確か離れてても話が出来るんだよな。わかった」


 凪は言われたとおりに拍手を打ち、神通力で作った凪専用の『神朱印帳』を開く。その二ページ目のイコナの朱印がわずかに光を放っていた。


「おお、なんか光ってるぞ。でも、どうしてイコナの朱印は二ページ目に押されたんだろうな。最初のページがまだ空い……ってぇ!?」


 その光が大きくなると、そこから温かな風がふわりと吹いて――



「うおっ!?」「きゃっ!?」



 以前お風呂の中でサクラが現れたように、光の中から突然イコナが出現。そのまま凪の上に落下してきて、思いきり潰されてしまった。

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