どうでもいい人物設定及び用語解説
読まなくても問題ありません。
本編に書いたことの補足、書ききれなかった細かな設定など、徒然書き綴っています。外伝までのネタバレを含みます。
人物設定
【ベアトリーチェ・デルリア・ラス・モラトリアス】
ラスウィーク・モラトリアスの体現者。忠誠心が服を着て歩いている。幼少期はラスウィークのような、はたまた父親のような騎士になることを目標としていた。色んなことを諦めてきた人。頭はいいが、やや脳筋。思い立ったら突っ走る猪突猛進型。もちろん報連相とか頭にない。
本作の主人公ですが、主人公の心情は一切書かないという課題を自分に課しました。主人公はどの相手に対しても一貫した態度を取ることもなければ、本音を隠したり見栄を張ったりもします。様々な人の主観からベアトリーチェという人を少しでも感じ取っていただけたら嬉しいです。
【アンネ・ローゼ】
ごく一般的な貴族令嬢の価値観を持っている人。もの静かで控えめ。本の虫。好きな物や人のためには少々大胆になれる。ベアトリーチェは一番大事な親友。後に夫となったベルヒテス子爵との関係はそれなりに良好だった。晩年は修道院で静かに暮らす。
【エイブラム・ヴァルター・ラス・モラトリアス】
典型的な昭和型ダメ親父。仕事命。愛していた妻を亡くし、残された子どもたちとの接し方がわからなくなった。筋肉と筋肉のぶつかり合いでしか会話できない。完全に脳筋。騎士としては有能で高潔。部下に慕われている。
忠誠心が服を着て歩いている人Part2。アエリウスに忠誠を誓ったが、ベアトリーチェの諸々で殺意を抱いてしまった(ラスウィークの誇りを失った)ので役職を辞して引退した。
晩年はカルカスで美味しい酒造りに情熱を燃やす。新しい銘柄のお酒を作ったとか作らなかったとか。結構長生きした。
【エリオス・サー・アレサンドロ】
夢追い人。理想論を語りたがる。現実から目を逸らしがちだが権力者なのでなんとかなる(周りがなんとかしてくれる)。
人から尊重されることに慣れているので、他者の心の機敏を推し量ることができない。でも人誑しでもあるので結局なんとかなる。
ベアトリーチェは初恋の人。でもベアトリーチェがいつでも臣下の鏡という態度だったので、愛は育ちようもなかった。
ヘレナ視点で影は薄いが、ちゃんと王妃を愛しているし家族は大事にする。
【エリオス・サー・アエリウス】
復讐者。お兄様ガチ勢(過激派)。息子に兄の名前をつける極度のブラコン。平民寄りの政策をとっていたが、貴族の力を削ぐ目的でやっていたので特に高潔な思想は持っていない。
元々本人に為政者になる気はなかったので、王としては不資格と思っている。国民からの人気はそれなりにある。
【ラスウィーク・モラトリアス】
カンタレツィア王国建国の始祖の一人。アレサンドロ王とその他の賢臣、勇将たちと共にオースレシアからの独立をもぎ取った。
騎士を目指す貴族の男子たちに絶大な人気。
【アレサンドロ王】
カンタレツィア王国初代の王。元々はオースレシアに侵略される前にあった国の王族の系譜。ラスウィークら臣下と共に独立をもぎ取った。
数々の死線をくぐり抜けてきたので、アレサンドロ王自身もかなり雄々しい。
【レナート・プルッカ】
外伝、とある兵士の〜の語り手。流されるように生きている若者。誰かに影響を受けがち。出会う人によって人生を大きく変えられる。無事に平民出身騎士の先駆者となる。
ちなみに夜間に牢番をしない理由は、夜間はアエリウスの息のかかった兵士が担当しているから。その間にベアトリーチェの要望を聞いたりと、自身の復讐の犠牲としてしまった罪滅ぼしに最大限の配慮をしている。
昼間の牢番を雑兵に任せたのはなにか問題が起こればすぐに消せるから。…先輩、生きてるといいね。
【ヘレナ・シス・スペラーレ】
外伝、とある王妃の〜の語り手。自尊心の低い人。他者に従順になりがちなのは、生まれた境遇により培ったもの。心の声に蓋をして生きてきた。
他者の顔色を窺ったり、ベアトリーチェに罪悪感を感じたりで心が悲鳴を上げていた。
自身の目的が定まってからは強くなる。後世に語り継がれる王妃となった。
シスは王妃に付けられる名前。スペラーレは父方の伯爵家の姓。
【コルラード・ヴェリタ・ラス・ラスウィーク(旧モラトリアス)】
モラトリアス家にあって唯一ラスウィークの魂を受け継いでいない人。盲目的な忠誠は気持ち悪いと思っている。モラトリアスの中では異端者。
剣術の才能はなく、また好きでもない。ただモラトリアスの嫡男としての責務を果たすために、血の滲むような努力をして父の跡を継いだ。
妻帯者であり、ベアトリーチェが起こした諸々の事件によって一時期離婚危機に陥っていた経緯がある。ある意味、悪女の一番の被害者かも。
コルラード視点の外伝もいつか書けたらいいな。
用語解説
【宗教について】
ほとんどの国がサーニアス信仰をしています。
サーニアス信仰とは、最高神であるサーニアスとその対となるアガイシスの、二神を信仰する思想です。サーニアスとアガイシスは夫婦神となります。
●サーニアスとは
創造の神。
生命、受容、権力を司る
象徴は太陽と王笏
白金の長い髪の男性として描かれることが多い
世界を創造した神。全ての命はサーニアスの意思によって生まれてくる。全ての生命の営みを慈しみ、受容する。信心深い者には力を与えることもある。または力そのものの象徴。
破壊の神であるアガイシスを愛したことによって、サーニアスが創造した世界に夜と死が訪れるようになる。
●アガイシスとは
破壊の神。
死、裁き、安寧を司る
象徴は月と天秤
長い黒髪の女性として描かれることが多い。
全ての者に死と安寧を与える神。創造の神サーニアスを愛したことにより、夜と朝は循環し、死した生命は新たな再生を迎えることになる。世界に人が増えてくると、世界の秩序を保つために死者の裁きを行う役目も担うようになった。
(注釈)全ての生命は死を迎えるとアガイシスの御許に行き、等しく裁きを受けます。罪の軽いものはそのまま輪廻の輪に行くことができ、転生を迎えます。罪の大きいものはその罪の重さだけ罰を受けます。全ての罰を受け終えたら輪廻の輪に戻れます。閻魔様とほぼ同じ役割ですね。
ちなみにベアトリーチェが処刑される日に『アガイシスが真上に昇る』とありますが、これは冬に空に昇る星のことを表しています。冬は裁きの季節、アガイシスの季節なのです。それでは惑星の反対側では夏にアガイシスが昇るのかという問題に直面しますが…多分その場合、冬に空にある別の星がアガイシスの星とよばれているのでしょうね。それかサーニアス信仰自体していないか…。
数年に一度金環日食が訪れますが、その日はサーニアスとアガイシスが蜜月中であると言われています。
【名前について】
登場人物が皆長い名前の人ばかりですが、ファーストネーム・洗礼名・好きな名前(先祖の名が多い)・ファミリーネームの配置です。本名が長いので、ファーストネームとファミリーネームだけを略称することも多いです。
洗礼名で一般的なのは聖者の名前です。聖者はサーニアス信仰に貢献してきた聖職者や、歴代の教皇などです。ちなみに物語中の時代背景で洗礼名がついているのは貴族と聖職者のみです。末文の時代では平民でもちらほら洗礼名を持つ人がいますが、お金持ちがほとんどです。
洗礼名をもらうにはお金が沢山いるのです。
サーニアス信仰において男性王族または聖職者のトップにのみ、『サー』の洗礼名をつけられます。サーとはサーニアスのこと。女性王族には『シス』とつけます。これはアガイシスを示します。神様の名前なので、直接サーニアスやアガイシスとはつけません。必ず略称します。
洗礼名の後に付ける名前ですが、これはなくても問題ありません。つけたい人がつけます。モラトリアス家はもれなく『ラス』とつけます。これは言わずもがなラスウィーク・モラトリアスから取った名前です。ラスウィークの忠誠心を忘れないようにとの戒めでもあります。
名前が長いので、公的な場以外では略称して呼びます。
ベアトリーチェ・デルリア・ラス・モラトリアス→ベアトリーチェ・モラトリアス
親しい間柄では更に略します。
ベアトリーチェ→ベア
【カンタレツィア王国について】
カンタレツィアは元々、無数にある小さな国家のひとつでした。そこへ、勢力を拡大していたオースレシアに取り込まれ、属州のひとつとなってしまいました。オースレシアに反乱し独立を勝ち取ったアレサンドロ王も、元々は小国の王族の系譜です。
ラスウィーク・モラトリアスは洗礼名がないことからも分かるように平民出身です。ですが、オースレシアに取り込まれた時に小国の王族は『サー』の称号をはく奪され一貴族として扱われており、小国の貴族だった人々も平民に堕とされ洗礼名をはく奪されました。なのでラスウィークも元々はかの小国の貴族家の系譜だったかもしれません。
【オースレシアとリーズィライヒについて】
戦争によって領土を拡大し続けていたオースレシアですが、度重なる戦争の疲弊と、増えすぎた領土や属州への差別意識が重なって、ついには国の管理体制が瓦解し始めました。そこへ反乱をしかけたカンタレツィアを皮切りに各地で様々な反乱が起こり、国としての機能を失ってしまいます。
カンタレツィアのように独立した国もいくつかありますが、バラバラになったオースレシアをまとめ上げまた一から作りあげた国がリーズィライヒです。リーズィライヒは独立した国々に対して元々は自国の領土だったという意識があり、表立って戦争は起こしていませんが未だに緊張状態は続いています。ただ、カンタレツィアは肥沃な土地ではないため今のところは積極的に侵略行動を起こしてはおらず、表向きには静観しています。
カンタレツィアは周辺の小国、特にオースレシアから独立した国々と同盟関係にありますが、リーズィライヒが本気で国を取りにくればまず勝ち目はありません。なので早急に各地の強国への影響力を強める必要があります。その策の一つが酒産業です。おいしいお酒は世界を繋ぎます。戦争でカンタレツィアが焦土になればおいしいお酒が飲めなくなりますから。ちなみにリーズィライヒの皇帝もカンタレツィア産のお酒のファンです。
【結婚観について】
サーニアスは未来永劫アガイシスのみを愛するという逸話があり、サーニアス信仰をしている者は浮気、不倫などは以ての外です。ちなみに聖職者も結婚できます。
しかし、暗黙の了解というか世界の闇というか、権力者ほど秘密裏に妾を抱えています。ですが、妾がもし子を身ごもったとしても、決して自分の子であると認めることはないでしょう。サーニアス信仰の戒律を破ることになりますから。
その場合、取られる手段は二通り。子どもだけを引き取り、自分と妻との間の子として育てる。これは妻の了承を得なければならないため、かなり稀な事例です。もう一つは母子ともに切り捨てることです。サーニアス信仰が強い国での妾の立場は酷いものなので、夫と死別した場合を除き女性一人で子どもを育てていくのはほぼ不可能です。多くの場合、子どもは孤児院に預けられることになります。王都の孤児院にはそういった境遇の子も珍しくありません。
カンタレツィアでは孤児院の多くが神殿と併設されています。そのため、自分の子を孤児院に預けた経験のある貴族は神への罪悪からその孤児院への寄付を惜しみません。それが孤児院の大事な収入源のひとつにもなっています。世界の闇ですね。
女性が愛人を持つことも不可能ではありませんが、かなりリスクが高いです。もし発覚した場合に母子ともに追い出される可能性を考慮して慎重に行わなければなりません。非常に男性優位の世界観です。時代と共に改善されるといいな。
浮気、不倫は決して許されませんが、離婚、再婚は認められています。しかし、生涯ただ一人を愛するという戒律のため、前の結婚自体が無かったことになります。その場合、前妻との間に設けられた子どもは再婚相手との子として登録されます。ベアトリーチェの父、エイブラムが頑なに再婚しなかった理由にはこういった背景が隠されています。
【騎士と兵士について】
原則、騎士は貴族家出身者です。主に王城や王都の警備を担当しています。騎士というだけで様々な特権があり優遇されます。中でも近衛騎士は騎士の中でも一握りしかなれない花形職業です。以前までは完全に身分や家柄のみを基準として選ばれていましたが、アエリウスの改革によってあらゆる面を総合的に判断して選定されるようになりました。
ベアトリーチェパパがトップだった時期は完全に実力主義でしたが、トップの人間の意向によってある程度評価基準が変わってしまうようです。大変です
貴族以外の身分からなるのは全て兵士です。兵士の中にも細かな身分制度があり、上層にいるのが貴族の縁戚者や出身家が裕福な者です。城内に勤める者はほぼこれにあたります。
最も低い身分のものは雑兵で、あらゆる雑務をこなします。厳格な身分制度において雑兵は永久に雑兵のままでしたが、アエリウスやエリオス(二世)の改革によって実力次第である程度は出世できるシステムに変わっています。
兵士にも様々な部署があり、それらを統括するのは全て騎士の役目です。
外伝のレナートが平民出身者初の騎士ですが、今後平民出身の実力者が台頭していくにつれて騎士という身分自体が意味を為さなくなっていきます。序文、末文の時代では騎士という職業はなく、その役割は軍や警察などといった組織に変わっています。ただ、大きな功績を残したものに名誉ある称号として騎士の身分が与えられていたりします。
【禁忌の子、許されざる子について】
サーニアス教は神の前で生涯の愛を誓ったのに不倫なんて言語道断! という教えなので、婚外子の存在など到底許されません。
長らく婚外子は神の教えに背いた結果、神の許しを得ずに生まれた許されざる子、禁忌の子という解釈をされてきました。親の罪は子の罪か問題ですね。
外伝で司教長が禁忌の子について言及したのは、様々な策略と大いなる力(お金)によるものです。
政教分離して久しい時代設計ですが、民心を得るためや大義を得るため、王家は教会側に寄付を惜しみません。
禁忌の子が表立って迫害されることはなくなりましたが、人々から完全に差別意識がなくなったわけではありません。意識改革した人が一人でも多くなるように、ヘレナ王妃の戦いはこれからも続きます。
また、サーニアス教の総本山はリーズィライヒにあり、そこに教皇がいます。司教は一国のトップの称号です。
ですがサーニアス教会の意識が国をまたいで完全に統一されているわけではなく、教理などある程度の自治権が認められています。今回の件はリーズィライヒも黙認しているけれど(多分根回し済み)、あんまり行き過ぎると聖戦とか起こるかも。




