僕の親友が僕の幼なじみを寝取ったって言ってきた。~本当にありがとう。死ぬかと思ってたよ。~
「信司、実は俺たち、付き合うことになったんだ。桃菜はお前につきまとわれて困ってるんだ。信司には悪いが、桃菜と別れてくれないか?」
昼休みに、僕、信司は小五のクラス替えで仲良くなった充に、屋上に呼び出され、恋人である桃菜を寝取った、という報告を受けた。それに対して僕は・・・・・・。
「ありがとう!充、大親友だって信じてたよ!」
感謝の意を述べた。え?おかしいって?そんなことないよ!!僕の幼なじみ、桃菜はちょっと?訳ありなんだ・・・・・・。
あれは僕が初めて会った、三歳のときの会話。
「はじめまして!もなっていうの!もなといっぱいなかよくしてね!」
「うん!ぼくはしんじっていうんだ!ともだちがきょうだけで10にんもできた!やったぁ!」
「しんじくん!もなとだけなかよくしてっ!」
どう考えてもヤンデレのセリフだよね。それでも、僕はあのころは純情だったし、一目惚れしたから、つい、こう言っちゃったんだよ。
「しかたないなぁ。でも、すこしはほかのともだちとあそばせてね?」
これがいけなかった。もう予想できると思うけど、この後は・・・・・・。
「しんじくん!あそぼ!」
「しんじくん!そのことあそんじゃだめ!」
「しんじくん!もなのいえじゃないとこ、いっちゃだめ!」
このころから怖いよね。でも、やっぱりこのころは惚れ込んでたから、
「しかたないなぁ。」
なんて言ってしまった。次に印象的だったのは、三年生になったとき。
「なんで信司と一緒じゃないのよ!他の子と仲良くしちゃだめだよ!絶対だからね!休み時間、全部会いに行くから!」
ホラーじゃん。どっから見ても、ヤンデレじゃん。まあ、そのときは、ヤンデレなんて言葉は知らなかったから、友達に、桃菜がちょっとダメなほうに行ってるかもしれないんだけど、どうしようって相談した。そしたら、次の日、その人は憔悴しきった顔をして、三加瀬さんが怖いから、お願いだから、話しかけないでって言われた。それ以降、僕は友達を作ってない。まぁ、一、二年生のときも作れなかったけど。
そして、五年生に上がって、桃菜は、男子なら、一人だけ友達を作ってもいいって言ってくれた。だから、充と友達になれたんだ。そこから、充と急速に仲良くなっていった。桃菜も充と仲良くなっていったんだけど、まさか、充に惹かれてくれるなんて。一ヶ月くらい前から、つきまとう回数が少なくなってきていたけれど、充がやってくれたなんてね。
「おい、なんでそうなるんだよ!俺は!信司の彼女の!桃菜を!寝取ったってことになるんだぞ!」
「そんなこと言われても、ヤンデレの桃菜は、はっきり言って、僕にとっては、邪魔な存在だったんだ。」
そう言うと、桃菜は膝から崩れ落ちた。・・・・・・なぜ?
「いやいや、邪魔とか言っても、幼なじみで彼女なんだぞ?大切だろ?」
「全然?一応質問するけど、僕に友達って何人くらいいると思う?」
「・・・・・・そういえば、俺と桃菜以外で休み時間に話したこと、ないな。」
「それから、僕が教科書忘れたとき、誰が僕に教科書貸すと思う?」
「そりゃあ、隣の・・・・・・桃菜だな。」
「そういうことだよ。」
「いや、意味わかんないから。」
嘘でしょ?これだけ状況証拠があるのに、分かってくれないの?
「桃菜は、俗に言う、ヤンデレって言うやつで、僕の動きを制限していたんだよ。友達は充以外にいないし、休日はずっと一緒だし。はっきり言って、迷惑だったんだ。でも、充のことが本気で好きになったんでしょ?多分、本気じゃない僕だからヤンデレ発揮させてたんだよ。」
「ヤンデレってなに・・・・・・?」
おおう。急に桃菜が入ってきた。
「ヤンデレって言うのは、相手のことが好きすぎて、あるいは、疑い深すぎて相手のことを束縛しちゃう性癖?みたいなものだよ。」
「それが、私だったの?」
「うん、そう。」
「そん、な・・・・・・!」
「おい、ちょっと桃菜。こっち来い。」
充がそう言って、桃菜を連れていった。
「悪いが信司、ここで待っててくれ。すぐ戻る。」
いや、忘れてるかもしんないけど、今、真冬の屋上だよ?中学受験組が必死に勉強してる時期だよ?すごく寒いんだけど?・・・・・・すぐって十秒か。ならいっか。
「信司!ごめんなさい!」
「え?」
「信司のことをそんなに束縛してるなんて感じてなかったの!もう、束縛しないから、私のことを捨てないで!」
「は?」
「悪い、信司。桃菜に協力して欲しいって言われたんだ。」
「え?意味が分からないんだけど。」
「なにも察してないみたいだから、一から説明するな。」
そして、充はすべてを教えてくれた。一ヶ月くらい前、僕が桃菜のことをどう思ってるか、知りたくなったこと。そして、自分が充に惚れて、そっちに行ったらどう反応するかで、判断しようとしたこと。充は、僕はベタ惚れだと思ってそれを受けたこと。ヤンデレに嫌気がさしてたとか、まず、ヤンデレだったとは知らなかったこと。本人も自覚がなかったこと。
「嘘でしょ?」
「マジだ、マジ。」
「本当にごめんなさい!なんでもするから!なんでもするから、私を捨てないで!!」
「何でも?」
「うん!何でも!どんな欲求でも聞くから!私と付き合ったままでいて!私と結婚して!」
「結婚は一八歳以上からしかできないと思うけど。」
「一八歳になったら結婚ってこと!私のこと、束縛してもいいから!私を捨てないで!」
ヤバい。ヤンデレ怖いって思ってたのに、僕に涙目・・・・・・っていうか、泣いてるんだけど、そんな目で上目遣いって、ちょっと、いや、めちゃくちゃ心が揺さぶられるんですけど!?
「私に何してもいいんだよ?そ、その、エッチなことでも、していいんだよ?」
「うっ。」
そりゃ、僕だって、思春期の小学生・・・・・・こんな言葉、あまり聞かないなぁ。性的なことに興味を持ち始める年ごろ。そんな誘惑に勝てるわけが・・・・・・いや、勝って見せる!
「そんなことには興味ない!」
「ほんと?」
むにっ。rfwhsfdjkvlmzrhfwhshdjslk!?桃菜さん!?
「顔真っ赤にして、それに、その、下の方、張ってるよ?」
「うわぁぁぁぁぁ!?」
ズルい!卑怯!!ヤンデレだけど、見た目はめちゃくちゃ好みなんだよ!!それなのに、性格が変わっちゃったら、僕、惚れるよ!?惚れちゃうよ!?・・・・・・容姿には惚れてるんだった。
「ね?お願い!!何でも言うこと聞くから!ね!?」
それに対して、僕は、
「仕方ないなぁ。僕も、思ったことは直で言うようにするね?」
「うん!」
「なんだ、これ。結局ハッピーエンドじゃん。リア充爆発しろ。」
屋上の入り口の方から充のそんな声がした。安心しろ。充に惚れてるやつなんて、クラスにめちゃくちゃいるぞ。
「俺も日下さんと付き合いたいなぁ。」
あの"図書室の住人"って呼ばれてる日下さんが好きなのか。以外だなぁ。でも、日下さん、確か、充にベタ惚れだったと思うけど。まぁ、言わないけどね。
「信司、今日、信司の家、行っていい?」
「もちろん。」
「やった!」
この後、桃菜はすっかり別人のようになった。・・・・・・だけど、僕に尽くしたり、撫でられたり、ボディータッチしたりすることにハマってしまい、可愛すぎて僕の心臓が持ちそうにない。どうしよう!
いかがだったでしょうか?面白いなぁって思ったら、是非、下の評価の☆を、5つ塗ってください!皆様の評価、ご感想、お待ちしております!
この作品は、別作品でちょこっとだけ出した信司が主人公です。そのため、充に関しては、そっちでちょこっとだけ登場させた後、短編として、あるいは、そっちの作品で、成就させてあげたいと思います。