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#1 行方不明の友人
「完全に行き詰まってしまった」
カフェでそんなつぶやきをして悲壮感を出している男がいた。
彼は小日向連花、大手ゲーム会社LSC社のエンジニアだ。
「本当に鬱とかそういうので失踪した、とかじゃないのか?」
「それだったら家にいるでしょ。実家にも帰ってないって話でしたし」
連花の前に座っている彼の上司にあたる神成という男は険しい顔で会話をしていた。やれやれ疲れるわと心で思いながらも話を続ける。
「なんだかんだうちは大手でクリーンを売りにしているホワイト企業。社員は基本定時帰り、パワハラは言語道断。だから鬱で逃げましたなんてありえないでしょ、って考えはわからないでもない。実際俺もありえないと思ってるから付き合ってるわけですしね」
「……とりあえず今日の報告はわかった。引き続き調べてくれると助かる」
「まぁ言っちゃアレですが仕事しないでこうしてるだけでも給料ちゃんと出してくれてるんでしっかりやらなきゃね。とりあえず何かわかったら連絡します」
上司と解散してからは再び友人のマンションまで向かうことにした。