全日本新元号協議会
ああぁ〜…エイプリルフールやのに、嘘みたいに暇や…!こんな日に限って訳わからん相談くるんやろな…?嘘みたいな…!
トゥルルル〜 トゥルルル〜 トゥルルル〜
「お電話ありがとうございます。こちらは全日本新元号協議会!お客様相談センターの吉川恋太郎です!」
「私…!インドネシアから来て鳶職人してます!」
「えぇ〜?インドネシアからこちらに?」
「そです!ロンボク島出身だよ私!」
「一体…?どんな相談なんですか?」
「聞いて!驚くよ…絶対に!あ〜た!」
「落ち着いて!深呼吸して…深呼吸…」
「私ね…名前がね…なんとね…!ハァハァ」
「はい…!一体名前がどうされましたか?」
「なんとね…!レイワ・アンギー・チャングゥーなんだよ…」
「えぇ〜………!ままままじですか?」
「そだょ…!あ〜た…!インドネシアのロンボク島出身レイワ・アンギー・チャングゥーだょ…」
「すすすす素晴らしいじぁ!ありませんか!」
「とても嬉しい…⤴でもちょと悲し…⤵」
「どういうことですか…?レイワ様?」
「今日仕事終わって私…新橋駅前歩いていたね!」
「えぇ…それがなにか?」
「いっぱい…いっぱい人が集まっていたね!」
「それは新元号の発表だからですよ!」
「それ…知らなかったね!そしたら急にね…?たくさんの知らない人が、レイワ!レイワ!レイワ!レイワ!と、私の名前呼ぶね…とても困ったょ…」
「ほほぉ〜!どんなリアクションしたのですか?レイワ様…!」
「私ね…返事したょ!何回も…何回も…返事し過ぎて…喉おかしくなったょ⤵そんないっぱいの人から名前呼ばれたことないょ…私」
「それはそれは、大変だったのでしょう?」
「そだょ…!なんで私の名前呼ばれたのか…?私ね不思議だったょ…」
「そうだったんですか…日本の元号が平成から令和に変わりましたからね!」
「そんな…?勝手に私の名前使われたら、とても困るょ…」
「いいじぁ〜ありませんか!レイワ様!喜ばしいことですから!」
「日本の人…嬉しいかもしれませんが!?私…!とても…とても…迷惑してます!名前呼ばれて返事したら、いきなり胴上げされたょ…!?その後、拉致されて居酒屋連れて行かれてしまったね…!」
「いいじぁ〜ないですか!異文化交流!」
「いろんなお酒を…たくさん!たくさん…!呑まされたね!私、記憶無くなったから…」
「特別な日になったじゃないですか!レイワ様にとって!」
「呑んでヘベレケになったら、面白い人に逢ったね…!」
「誰と逢ったのですか?」
「はい…!明治さんと、大正さんと、昭和さんと、平成さんです!」
「それは凄いことですよ!レイワ様!この吉川…感動しております⤴」
「この人達も…ヘベレケだったょ!そして、最後には、みんなで肩組んでたょ…!」
「とっても良い光景が浮かびます!本当に素晴らしいですよ!」
「こんなに良くして貰ったの…日本に来て初めてだったょ!祖国の親に感謝だょ⤴」
「ところで、レイワ様!今日なんの日か知っていますか…?」
「あ〜た!教えてくれたね!新元号が決まった日だょ!」
「そうなんですけど…!エイプリルフールでもありますよね!」
「そだったね…」
「ふふふふ⤴見事に騙されましたね!」
「あ〜たの言っている意味分からないょ…」
「この全日本新元号協議会が来日されている外国人登録者から無作為に選んだ人が、偶然にもレイワ様だったのです!大掛かりな仕掛けで大変でしたけど…!」
「どゆことですか…?」
「誰でも良かったのですが!この吉川も驚きましたよ…!まさか新元号と同じ名前の人になるなんて?その幸運は、きっと未来永劫語り継がれますでしょう!騙されたレイワ様が電話してくることも分かっていましたから!」
「ふふふふふふ⤴お前こそ騙されたな!吉川恋太郎!」
「ん…?」
「私は…!全日本エイプリルフール振興会の改田令和だ!貴様を騙すために、平成元年から計画いていたぞ!」
「へ…?」
「見事に騙されおって!」
「は…?」
「ピンと来ていないようだな!」
「あ…?」
「次の元号が決まるまで、貴様をリクルートしてやろうか?全日本エイプリルフール振興会に!」
「お…?」
「決まりだ!明日から出社して、万葉集の全集を丸暗記して完璧に覚えるのだ!」
「りょ…!」
数年後…!
吉川恋太郎はミスター万葉集と呼ばれる様になったのである。
凄…!⤴