プロローグ
処女作です。意見やアドバイスなんかは是非ともお気軽によろしくお願いいたします。
「こんな身近に都合よく"オーナー"が現れるなんて、ね」
氷塊の剣をこちらに向けながら少女は言う。
「わざわざこんな深夜までご苦労なこって、夜更かしはしていいのか?生徒会長様よ」
そういい返す俺は、後ずさりながら彼女から逃げる術を探していた。"オーナー"・・・大雑把に言うと何かしらの能力を発言させた者のことをそう呼ぶらしい。そしてこの俺こと井原ユージはつい先日、発火能力を発現させていた。変な力を手に入れられたことは面白いとは思ったのが、どうもこのオーナーと化した連中の中でも過激な連中は、力をぶつける先を求めて夜な夜な他のオーナーを探していたりするらしい。
目の前にいる女ーー神崎セツナは見たところ水や氷を扱う能力らしく、発現したての慣れてもいない発火能力じゃ当然太刀打ちできないのは考えずとも分かりきっていた。
「私・・・実は漫画やアニメでたまに見た異能力バトルっていうのに憧れていたの。でも中々他のオーナーに会えなくって。やっと見つけたから興奮しちゃった」
「だからってコンビニ帰りに突然襲ってくるとはいい度胸じゃねえか・・・!」
「ふふふ・・・勝てそうな相手にケンカを売るのに、度胸はいるのかしら?不良のアナタの方がわかるんじゃないの」
それもそうだ。だからと言って抵抗もせずにやられてやる気は毛頭ない。
「チッ・・・なんかねえのか!そうだ・・・あそこまで逃げれば・・・」
俺は走る。せめて一矢報いる覚悟でガスタンクがある方向へ走る。彼女がなぜここに居たかは知らないが、この近所は俺の庭と言っても過言ではない。多少暗くても道は分かる。
「待ちなさいよ、どこに行くつもりなの?」
俺を追いかけるのに夢中になった彼女は、大きなガスタンクのある工場まで入り込み、その付近まで来ていることに彼女は気づいていない。
「どうせ痛い目にあうんなら、お前も道連れにしてやるぜ!」
「え?」
その瞬間、あたり一面が真紅の炎に包まれた。俺の視界から、眩い光が全てを奪い去っていった。