意思をつぐ少女
僕の今日の運勢は最悪としか言いようが無いだろう。
なぜ、今日に限って頭悪そうな兄ちゃんたちと肩をぶつけることになったのか。
・・・いつぶつけてもいやなのだが。
僕は定番の裏路地に放り込まれたのであった。
「有り金全部おいてったら許したるわ」
だそうだ。
・・・僕は弱いんだ。
黙って従おうとした、そのとき。
「まっちなさ〜い!!!」
どこからとも無く、少女の声がした。
救いの神は・・・女神だった。
「お譲ちゃん、邪魔スンナや」
もちろんのごとくゴロツキどもは少女も毒牙にかけようとする。
「痛い目見せてやろか!」
「逃げて!!」
僕は怖さも忘れ叫んだ。
制服姿のイタイケな少女をやつらの毒牙にかけるわけにはいかない!!
「ケンカなら買うわよ!」
ビッ、と少女は何かを投げた。それが不良の額にあたり跳ね返り地面に落ち、地面の上で回 る。
それが表向きでとまったときに少女はかっこよく言った。
「その500円玉でね!!」
ソレはみごとに旧500円玉だった。
「・・・ふざけてんのか!?」
最近の若者は切れやすいというが、これで切れないやつのほうが異常だろう。
だが少女はニヤリと笑いながらいい放つ。
「ふざけてるんだと思うなら、かかってきなさいな。それともヤル前から負けておく?」
この挑発がとてもよく効いたらしい。
「てんめー!」
不良どもは少女に殴りかかる。
「危ない!」
不良Aの右ストレートが少女に襲い掛かる。
しかしそれは空振りに終わる。少女は難なくそれを右にかわしている。
がそこには不良Bのキックが!!その右は壁なため右にはよけられない!
少女はそれを後ろに引いてかわす。
不良Bのキックは最初に狙っていた獲物を逃し・・勢いあまって不良Aの腹に入った。
「ぐぼっ!!」
見事に決まった!!
不良Aはよろめきその場にうずくまった。
「いいキックしてるわね」
少女が楽しそうに言う。
そうだろ、いいキックだろ。って言え!!
その僕の願いはかなわず不良Bは逆上する。
「友の仇!」
などといいつつ少女に殴りかかる。
少女は不良の繰り出す腕をつかみそれを支点にくるりと飛ぶ。
質量を感じさせない動きだった。
ありえない動きをされた不良Bはその場で思考を停止しかかっていたようだ。
そこを少女が背中側から鋭い突きを入れる。
「残念ながら――」
どう、と突きがきれいに入った。
「もう一人『友』を倒したのはアタシじゃなっくってよ。」
オレの言いたかったことも代弁してくれた。
そして不良Bは崩れ去った。
「確かに」
と最後の言葉を残し。