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パンツマン~境心一は今日も、パンツを信仰しています~  作者: 友城にい
第一話 責め立てた意味♪ 重ねたパンツ♪ 見せる意義を探してた~♪
8/22

 …………。


「なにこれ……」


 口を挟まず一連の流れを、ひたすら静観を守っていた護流の感想だった。


「あ、護流ちゃんだ! いいところに来たね。ちょうど、いまからいろんな重ね穿きの定番を試着してみようか、みたいな話題になってたんだよ。護流ちゃんもいいでしょ?」

「だから、護流ちゃんて――」

「いいじゃん、いいじゃん。一回だけでいいからさ。ね。お願い! このとおり!」


 パン、といい音を鳴らして手を合わせる心一。

 そんな心一の後ろでは、たしかにイヴと緩が特異そうな衣装をダンボール箱から出していた。


「わ、わかったから。一回だけ。一回だけだからな」

「ありがとう! さすが護流ちゃん、懐が深い! 恩に着るよ」

「お礼とかもいいから、早くしろ。私はあまり時間がないんだ」


 あ、そうだったね、なんて上辺の返事をする心一は、とやかく急かす護流の背中を押す。


「じゃじゃん。どう。いっぱいあるでしょ」

「そ、そうだな。じゃあ、私はこれで……」


 木目調のテーブルにずらりと並べられた、数々のパンツを守る壁になってくれる衣類たち。

 護流は、その中から無難な「短パン」を手に取ろうとすると、心一は短パンを横から奪い去った。


「な、なんだよ……」


 なにか嫌な予感をよぎらせつつ、眉をひそめる。


「護流ちゃんには、ぼくが昨日作った自信作の『コレ』を穿いてもらいたい。ぜひ」


 ポケットをごそごそ漁って、一枚の布地を護流に手渡した。


「境心一……。あなたはまたこんなものを……」


 開かずともわかる。護流の手のひらに置かれた過激なレース調の黒い――パンツ。


「手芸部の誇りを胸に。護流ちゃんが最近好む、大人パンツを徹夜で作成してみた所存であります! どうでしょう、お気に召しましたでしょうか」

「わ、私はそもそも好きであんな派手な下着をつけているわけじゃ……」

「まあまあ、そう隠さなくてもいいじゃないか。わりと好きだよ、ぼくは。大人パンツ」

「なんだそれ……。また守り方を変えないといけないのかぁ……」

「どうしたの? よくわからないけど、大丈夫だよ、そんなに虚勢を張らなくても。好きなんでしょ。ぼくのこと」

「んな!? ど、どうしてそうなるんだぁ!?」


 心一の突拍子のない発言に、慌てふためく。


「だって、すぐに突っかかってくるし。ぼくの目が肥えないために、パンツに目を配ってくれてるし。一種の愛情表現じゃないの?」

「違うから! 突っかかるのは、あなたが問題児で。下着だって、大衆であろうと恥ずかしげもなくデザインを言うから、穿けなくなるだけで」


 勘違いされている誤解を、必死に解こうする護流。

 それをニマニマ眺めている心一だった。


「もう素直じゃないんだから、護流ちゃんもイヴも」

「なんでそこでわたしの名前が出てくるのよ!! べ、べ、べべ、べつにわたしは、心一のことなんか、好きなんかじゃないんだからね!」


 部室の奥隅に設置されている簡易の更衣室から、イヴが顔を出して叫んだ。

 心一が護流と話をしているあいだに、イヴと緩はどうやらなにかに着替えているらしい。


「同意だ。あなたの思考回路は、一本道でできているんじゃないか。きっとそうに違いない!」

「え~。じゃあ、ぼくの勘違いなのかな。そりゃそっか。あんなわかりやすいツンデレが現実にいるわけないし、頑なに弁解するわけないかぁ」

「そ、そうよ! いつわたしが心一に惚れる用途があったのよ! ないでしょ! 心一は、恋よりゲームセンター専用のコインのほうがお似合いよ! …………なに言ってんのよ、わたしは……。もうわたしのバカバカバカ……」


 罵声を浴びせるなり、イヴはカーテンから出していた顔を引っこめた。


「まあ、ゲーセンのコインゲームは好きだけどねぇ~。あと、イヴ最後なんて言ったんだろ。ま、いっか」


 呑気にかまえる心一の制服の袖を引っ張って、もじもじする少女が現れた。


「お、おにいさま。あの、そろそろこのすぱっつをぬいでもいいですか。やっぱりなれなくて……」

「うん? あ、いいよ。脱いだスパッツは、ぼくのカバンを入れておいて」

「はい! わかりました。おにいさま」


 なんだか嬉しそうに返事をして、その場でスカートの中に手を入れてスパッツをスルリと抜き取った。

 それをくしゃくしゃのまま、心一の通学カバンに無造作に放りこむと、


「いままでしめつけられていただけありまして、スカートのなかがスゥスゥしてきました。それと、いまさらいうのもなんですが、ぱんつの部分がいちばん、張りつくといいますか、ゴムが食いこんでいたかったですよ」

「そうだったのか。ごめんな、あとがついてないか? 帰ったら薬を塗ってあげるよ」

「ありがとうです、おにいさま。えっと、ココ、ちょっとお手洗いに」

「いいよ。行っといれ。なーんて」

「寒っ……」

「?」


 心一のウケもしないシャレを、冷えた目で見る護流を疑問に思いつつ、心愛はトイレに向かった。


「ではさっそくご堪能しようか。現役女子小学生の脱ぎたてほやほやのスパッツを」

「変態……」


 蔑んだ目で、罵る護流。

 しかし、心一は意に介さず、思うがまま自分のカバンに丸めて入れてあったスパッツを、秘宝でも発見したように慎重に手に取った。


「うおぉぉぉ…………ん?」


 温もりの残ったスパッツを左右に開いたところで、スパッツの中に白い布らしくものが心一の視界に入った。


「こ、これは!」


 おもむろに手を差し入れ、確認するとなぜか、心愛が穿いていたはずの花柄のパンツがあった。

 どうやら蒸れて、スパッツと一緒にパンツまで脱いでいたらしい。

 これにはスパッツ以上に心一の胸は躍った。


「あなた、それどうする気なんだ。もちろん、伝えるよな――ってなにをやって」

「え? なにを、って、脱ぎたてのパンツを見つけたら有無を言わさず、頭に被るものだろ? 違ったっけ?」

「…………。はぁ……」


 妹のパンツを躊躇なく、平気な顔で帽子にする境心一という境心愛の兄の姿を見て、淡瀬護流は怒りや訂正する気も起きなかった。

やけに心愛の出番が多いですね……。バランス調整をせねば。


友城にい

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