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「この妙にいやらしい手つきで、それでいて確実に急所をついているようなテクニックを持った人物は……」
ぷにゅぷにゅ、
心一は、緩の背後に座りこみ、ソフトタッチで押し上げるように持っては、寄せ集めて包みこむように、傷つけないよう優しくお尻の片方を揉む。
「ど、どうですか。わたくしのお尻のご感触は」
さすがに恥じらった表情をする緩。
「ふむふむ、大人へのステップを着々とこなしているとわかる触り心地。ぼくの手のひらでも、十分収まる小さなヒップなのに、きっちり備わっている弾力性。緩ちゃんの美尻は一言でたとえるのならば、いわば――『桃源郷』だろう。桃尻だけに!」
好奇心と興奮に満ちた瞳をキランと光らせる心一。その姿は、もごうことなき『グルメリポーター』の履き違えだった。
「心一……あんたってやつは……」
「あの……部について、話が……」
なでなで、
左手に移行し、緩とは違った方法で心愛のまだ愛でるべきでない、幼い禁断の青い果実にかじりつく。
もちろん手荒なまねは、心一はしない。
掴まず、スカートの上からお尻の膨らみの頂点に手のひらをくっつけて、小刻みに動かす。それだけで、心一は成長の具合がわかる。
「心愛もだいぶ肉がついてきたね。こりゃ、将来は安産型になりそうだ」
「あんざんがた?」
「元気いっぱいの赤ちゃんを育てられるってことだ」
「そうなんだ。ココ、おにいさまのあかちゃんがほしいな」
発言の直後、二人ほど吹きだしていた。
「はは、心愛はやっぱりぼくの最高の妹だね。そうだな、心愛のお尻は、『小悪魔』ってところかな。理由は――」
そこまで言ったところで、心一の肩をつつく者が現れた。
心一は、何食わぬ顔で振り返ると、にっこり笑っているイヴがいる。
「ちょっと、心一」
「な、なにイヴさん。あ、わかった! ぼくの特別授業を受けたいんだね。もう、そう照れずに言ってくれれば、手取り足取りきちんとみっちりイヴのご希望どおりにしてあげ」
るよ、が出る前に心一の意識は、再び強制シャットダウンした。イヴの渾身のエルボーを腹でまともに受けて。
身長の低いイヴだからこそ成せた技だとは、誰も言うまい。
「さて、けいさつに行こうか。し・ん・い・ち」
その後、どうなったかは、イヴと心一しか知らない。
わかっていることは、心一が警察にご厄介になっていなかったことと、残された三人のうち二人が恐怖していたことぐらいだろうか……。
――永遠などないから、バカをしたくなる。
教室の半分くらいの広さしかない部で、なにげない青春の一ページを刻む。
それがたとえ、第二手芸部。別名――
『パンツ部』だとしても、同等だろう――。