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パンツマン~境心一は今日も、パンツを信仰しています~  作者: 友城にい
第二話 イヴのパンツは、いいパンツ~♪ すごいぞぉ~♪
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「……はぁ?」


 前にかかった金髪のあいだから目をだし、心の底からの「はぁ?」を聞いた。


「一旦オ○ニーは保留にしようか」

「一生、お蔵にでも封印していいわよ」


 髪をかきあげて笑みを見せる。しかし、とても笑っているように思えないんだけどなんでだろ。


「イヴのおっしゃるとおり、ぼくは生粋のパンツ好きで信仰者なわけである。それを踏まえて理解を求めたい。というのも、こんなパンツなしで生きることが難しいぼくでさえ、好き嫌いはある」


 途端、イヴのほうから「……え!?」と声があがる。


「どした? 意外?」

「意外もなにも、心一に選ばれないパンツがあるなんて」

「あるよ。護流ちゃんが愛用している派手で過激な大人なパンツはまだ許容範囲だけど、もっと悩殺で濃厚で誘惑が得意なパンツがあるんだ。けどぼくは好みじゃないんだよね」

「それってどんなのよ! 同じパンツならぜひともそっちをえらびたいわ!」


 イヴは水を得た魚のようにぼくの言葉に反応した。


「すけすけと、肝心なところが穴空いてるよ。いいの?」

「……やめておきます」


 それを聞いてイヴは、身を引く。イヴが穿いたら穿いたで、めくるのが楽しみだけどね。


「性に直接的な目的で作られたパンツは、ぼくの真意に反しそうで怖いんだ。まあ一応、持ってはいるんだけどね。コレクターとして。でも、当分は愛せそうにないなぁ」

「すべてのパンツが好きじゃないのだけはわかったわ。でもだからこそ、なんでそこまでパンツにこだわりがあるのよ」

「それはオ○ニーが好きな人に、なんでオ○ニーするの? と同じ意味?」

「いい加減、オ○ニーから離れないかしら?」


 ゲシュタルト崩壊かな。イヴの口からオ○ニーが聞けた。


「ぼくのパンツのこだわりはたいした理由はないよ。逆に、イヴのこと知りたいな。イヴ自分からはなにも話してくれないし」

「わたしの家庭とか幼少期とか平凡よ。きたいするだけ、むだ」

「違う違う。BWHとかだって」

「誰がおしえるか! とくに心一にだけはぜったいおしえないわよ!」

「勘違いしないでよぉ~。 bodyとwashとHow muchの頭文字だからぁ~」

「どちらにしろ、おしえないわよ!」

「ちなみにイヴのスリーサイズは、手と目測で測定済みだよ。たしか上から七十――」

「うぎゃああああぁぁぁぁぁぁあああぁぁぁああああああああぁぁぁぁぁ!!!」


 イヴは酷く狼狽した。青い瞳を上へと押しこんで、頭をかかえると、ぼくの前にやってきて、


「それ以上先を言うとただじゃすまさないわよ、いいわね?」


 よくわからないけど、ぼくがうなずくとイヴは座り直した。


「イヴって緩ちゃんや心愛がいないときはやさしいよね。なんで?」

「なんでって、そりゃ単純に身をわきまえているだけよ。むやみやたらとあんたに手をあげたくないしね。それに――暴力女とおもわれたくないし……」

「暴力女? ぼくがイヴのことを? まさかぁ。あれは愛のムチでしょ。重々、承知のうちだよ。いまに慣れればいいだけだって」

「わたしがなにに慣れるのよ」

「求愛の表現方法でしょ?」

「はぁ……。妄言もここまできたら甚だしいわね」


 イヴはぷいっと外のほうを向いた。


「妄想じゃないんだけどなぁ。ぼくはいたって真面目のつもりなのにぃ~」


 ぼくがそうぽつりと呟くと、外を見ていたイヴが、


「今日、風強いわね。天気じゃ夜は雪の予報もでていたわね」


 たしかに立てつけが悪い窓が、風の煽りを受けてガタガタ悪寒を感じているみたいに震えていた。


「これだけ風があると帰りはイヴが気になって仕方ないなぁ」

「――え。そ、それって……つまり」


「いつスカートがめくりあがるのかドキドキしそうだ――あた、あれ?」


 下された愛の体裁はスネへのキックだった。

 ぼくがバカを働くと決まって、飛んでくる愛ある一撃必殺が珍しく炸裂しないことに疑問を持っていると、


「心一、あんたさ。嫌われるの、こわく、ないの……?」


 しょんぼり拗ねた子どものように俯かせたイヴ。


「出る杭は打たれる、って言うでしょ。ぼくはみんなよりワンステージ上をつねに見据える努力をしているよ」

「なによ、それ。あんた出る杭は打たれる、を一度辞書で調べることをおすすめするわ」


 そう言ってイヴは、ころっと表情を変えて笑った。イヴには、笑顔が似合っているね。


「イヴはやっぱりぼくのよき理解者だね」

「心一の理解者になれても素直によろこべないわね。むしろ敗北感かしら」


 苦笑いを浮かべたイヴを傍目にぼくは、そういえばまだ心愛が来ないことに若干の心配をする。

 外は寒いし、パンツが飛んでいってなければいいんだけど。

 そんなことを考えていると、一通のメールがぼくに届いた。携帯は連絡用にだけ持たされている。本当は、ネットショップとか利用したいんだけどね。

 ともかく、メールを読んでいるとイヴが横から、


「お母さんからのメール?」

「あまりに寒いから心愛だけ先に車で帰ったって。ぼくもついでに連れて帰ってくれればいいのに。まあ、おかげでイヴのとなりで観察できるけどねぇ~」

「ケンカ売ってんの? いつでも買うわよ?」

「どうどう落ち着いて、イヴさん。さぁ、ぼくたちも雪が降る前に解散しようか」


 頬を引きつらせるイヴを馬のようになだめて、バッグを持ってイヴと一緒に部室をあとにした。



     ▽


次回も3日後。5月10日の昼頃になります。次話は短め。


友城にい

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