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「心一、なににやにやしてんのよ。またパンツ?」
「違うよ、イヴ。時代がぼくについてこないという葛藤をしてたのさ」
「やっぱりパンツじゃないの。くだらないわね。心一の頭の中は、いつも」
対面に腰かけるツンデレっ娘――金色イヴは嘆息を交えて、ぼくを小バカにする。
「いつの日かイヴも、ぼくサイドに来るさ。ぼくはいつでもイヴを歓迎するよ」
「気がむいたらね」
「釣れないなぁ、もう素直じゃないんだから。このこの~」
「うっさいわね。マフラー編んでんだから、ちょっとじゃましないでよ!」
怒られちゃった。
さぁて。いま、部室にはぼくとイヴだけの二人きり。
緩ちゃんは生理痛が酷いらしく、お昼前に早退した。お腹を冷やしすぎたのかな?
なぜ、ぼくがその内情を知っているのか。
たまたま、偶然、奇跡的に保健の先生と緩ちゃんの会話を盗み聞きしたからです。知ったからには、放っておけないのが男というものだよね。
心愛はもうじき時間通りに来るかな。
本日、護流ちゃんは生徒会の会議があるらしいから来訪はない。さびしいね。
そして、ぼくもイヴ同様、縫い物をしている。
「よし、できた。あとは、ゴムと裏地を縫いつけたら完成だ」
下半身を温めてほしくて、緩ちゃんにプレゼントするための、ナイロン素材だけでパンツを作っていた。これで痛みを緩和できたらいいな。
うんうん。純白パンツを眺めつつ、ぼくはうなずいた。我ながらいい出来栄えである。
後日談だけど。緩ちゃんに手渡したら、イヴに半殺しにされました。焼きもちかな?
さておき。
「ぬかった。完全に忘れてたよ」
ぼくとしたことが、ゴムも裏地も切らしていた。
一気にひまになった。このままでは、エネルギーが底をつくのも時間の問題。ぼくはひまが大嫌いだ。つねに考案したり、行動していたい。とくに、こういうときは……。
「そー、だ」
一秒ほど悩んだ末。黙々とマフラーを編んでいる、イヴのロリな体型に目が止まった。
肩をすくませて、前かがみで手元だけをじっと見て、編み棒を丁寧に繊細に動かしている。手芸部の鑑だね。
でも――ぼくが言いたい、見てもらいたいところはべつにある。諸君どうだろう――。
今日のイヴは、非常にターゲットにしやすい格好、無防備さを晒していた。
なぜ?
まず部室内も二人だけなのもあり、よくあったまっている。むしろ暑いくらい。なのでイヴは、薄紫のカーディガンをイスの背もたれにかけていた。
こちらもめずらしい。
いつもの純正の金髪を、今日は前に流している。
そこも踏まえて、ぼくは観察を続けた。
「イヴは、いわゆる第二性徴期の真っ只中なわけである。しかし、著しいほどに成長はかんばしくない。逆に衰退したようにも思える」
『衰退』とは言いすぎな感もあるが、ぼくとイヴのつきあいはそれなりに長い。
いろいろ細かい部分は割愛させてもらうけどね。といっても、ほとんど丸三年ぼくとイヴは、毎日学校で共に暮らす間柄である。
ということはだよ。互いの変化には、それなりに敏感な関係には築けているはず。
「なのになんだ。ない。なんの変哲もない。見る影もないじゃないか!」
ぼくは戦々恐々とした。
説明するまでもなく、『おっぱい』のことである。
あんなに寄せていても、おっぱいのシワらしきものが一個もできないのだ。
「いや。ぼくはべつに、ナイチチを否定しているわけではない。どちらかというとイケる口だ。だけれど、問題点はそこじゃない」
大事なことなので、もう一度言う。ぼくとイヴは丸三年、顔を合わせば会話混じりに、双方のいろんなところを確認する仲なのさ。
「さっきからなにぶつぶつ言ってんのよ。かえって集中できないじゃない」
ぼくは頭の先から、机にでているイヴの身体のラインを目でなぞった。
「な、なによ。いきなりじろじろ見だして……は、はずかしいじゃないのよ」
はじめてイヴと出会ったときから、とくに変わった点が見当たらない。身長だって、身体つきだって、声質だって、顔の幼さだって、パンツの好みだって。
まるで三年間、イヴが誰かから成長を止める魔法でもかけられたみたいに――。
もしぼくがロリコンならば、お嫁さんロードを爆走するレベル。
しっかし、ぼくは残念ながらロリパンツを愛しても、ロリっ子を性的な目で洞察できない。かわいいけどね。
ぼくは、眉を内に寄せた。
永遠の体躯を表す言葉――。うん、そうだね。イヴのおっぱいは、言うなれば――
「――ロリパイだ。幼くあどけない。ちっぱいとはまた違う。そうさ。あれがまごうことなき、イヴパイだと――。認めよう。イヴパイを、ぼくは」
「ロリ言うな! ちっぱいでもないし! それとなによ、イヴパイって! あと拝むな!」
先の展開を何度も書き直して、ようやくボーダーを超えるものができました。
安易な下ネタなどは、今後どうするか考えていきます。
2015年11月20日改稿。
友城にい




