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パンツマン~境心一は今日も、パンツを信仰しています~  作者: 友城にい
第一話 責め立てた意味♪ 重ねたパンツ♪ 見せる意義を探してた~♪
10/22

 護流、心一、心愛の順番で目をやる。

 清純でなだらかなショートカットの黒髪はそのままに、双方の膨らみが目立つ白衣。チャームポイントとも言える緋色の袴。足元も礼儀正しく、足袋を履いていた。

 頭からつま先まで、あまりに似合っていて神聖で、着ている人が人なだけに、三人とも見とれていた。


「お世辞抜きで、大和さん素敵ですよ」

「光栄ですわ。護流さんにお褒めいただけて」


 まごうことなき、『巫女』の格好をした大和緩がいた。


「き、きれいです……」

「ココさんもありがとうございます」


 普段、近寄りがたさがあり、自分からは絶対に声をかけない心愛でさえ、俯いてはいたがきちんと感想を口にするほどだ。


「心一さん、どうですか?」


 緩は求めた。

 足袋のため、フローリングの床じゃ慎重に歩かないと滑ってしまう。なので、緩は心一のほうをただ見た。

 心一が称す「天使」のように微笑む。


「はっ……。えっと、ほ、本物に邂逅したのかと思っちゃったよ。はは……」

「わたくしが女神にでも見えましたか? ふふ、嬉しいですよ、心一さん」


 緩に話しかけられて、心一はどうやら我に返った様子だ。

 それほどまでに巫女服をまとった緩は、神秘的で神々しいオーラを感じたのだろう。ここまで心一が見とれてしまったのは、珍しい外ならず、護流も驚いていた。


「レアだな。パンツ以外に心を奪われている、あなたを見るのは」 

「心外だね、護流ちゃん。ぼくだって、巫女服みたいなけがれのない清潔で純潔なものには惹かれるさ」

「そうなのか。ならば今後はパンツではなく、こういう健全なものに興味を持ったらどうだ? 巫女服とかなら、私もまだ許容範囲だしな」

「ちっちっちっ、だからこそ――」

「心一さん?」


 自信に満ちあふれた顔で人差し指を振って、護流に背中を見せる。

 緩も不思議な面持ちで二本のアホ毛を揺らした。


「ぼくの辛抱たまらん!」


 それを皮切りに心一はダッシュで、緩の巫女服に食いついた。


「きゃっ! き、今日はかなり欲張りなんですね」

「んな!? あなたって人は、どこまで欲望に忠実なんだ!」


 心一は緩の大きな双丘を横から寄せるように手を当てた。

 ぷるん、ぷるん、ぷるるん、


「おお……、この色気をかもさないよう、抑えている分厚い服の感触。推測するに三枚構造になっているんだね。う~ん、でもなんだろう。この背徳感。ぞくぞくする」

「わたくしもいつもと感覚が違って、イケないことをしてる気がしますわ」

「大和さん、それ正解ですから。あとなぜ胸を触る必要がある。私が言うのもなんだけど、重ね穿きの試しじゃなかったのか!」


 吠えて、心一の手を緩の胸からどかし、そう尋ねる。


「わかってないね、護流ちゃんは。重ね穿き=『ブルマ』『スパッツ』を当てはめている時点で、固定概念に囚われている」

「囚われている? あなたがなにを言いたいのかわからない。なんだ、私の考え方が固いと?」

「違いますわ。重ね穿きの定義としては、十二分に心得ているでしょう。しかし、この『巫女服』のような袴やズボン。レオタードや水着のような肌に直接密着させるときにも、重ね穿きをするのですわ」

「でもそれはいわゆる、『防御』のためだろ? なにかを見せないように隠すためで」


 そこまで言ったところで、緩が護流のスカートの裾を握った。


「護流さん、このスカートから見えるパンツを隠すための重ね穿き。そして――わたくしが、巫女の格好をするときに穿く理由には、明確な違いがありますわ」

「そう。緩ちゃんの言うとおり。大事なのは、『シチュエーション』だ」


 心一が呟くように言って、護流の正面に緩と並ぶ。

 そして、緩の握る裾と離れた場所を握ったのだ。


「しちゅえーしょん……」

「そうだよ。巫女服、レオタードや水着は、見せないためじゃない! 見えないようにするためなのだ! そりゃあああ!」

「それぇ~」

「なるほど。羞恥心を守るためじゃなく、不快にさせないようにするために――ってなにいきなり、めくってるんだ!」


 心一の説きに納得していた護流のスカートを二人で思いっきり、はだけさせた。

 無防備になる黒いパンストに包まれた下半身。そのパンスト越しに微かに透けるボーダー柄の股下が小さい下着……


「護流ちゃんが黒レースを穿いてくれない理由はこれだね。えっと、これは――ヒップハング……かな? ずいぶんと見慣れない下着を選んだんだね。これはこれで、新鮮」

「私の下着の感想はいい! めくったことを謝れ! 肌を晒された罪を償え!」

「褒めてるのになー。あと謝るのは緩ちゃんも、かな?」

「ぐぬぬ……一応、共犯としよう」


 頬を赤くして、怒り心頭する護流。

 緩を一瞬見やるが、風貌などから怒るのにためらわれるのか。呻り声を出しつつ、心一をずっと睨めつける。


「しょうがない。護流ちゃんの怒りの裁定をこの方に決めていただこう」

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