~焔~ 2
デガント高原から俺達の住む街からはなかなかの距離があって、ダッシュで走っても30分はかかる
高原から街を見ることができた、
その光景は遠くからでは確認し難いが、真っ黒な煙りが上がっていて空には人らしきものが数多く飛んでいた
「くそぉ!どうなってやがんだ!?」
俺は若干戸惑いながら目の前の光景を受け入れることができず確認をとるように聞いた
「わからん…だが、攻撃を受けているように見える」
「どうなってんだぁぁぁぁ!!!」
飛んでいる人らしきものは確かに黒いエネルギー体のようなものを街に落としていた
全力で走った俺達は20分程度で街へとたどり着いた…が
「な…なんだこれ?」
俺達の街が…街だったものがそこにはあった。
いや、『無かった』と言うべきか。
「こ、これは…」
「そんな!!!」
まさしく地獄絵図だった
ビルや家は崩れて原型を留めておらず、道には瓦礫、車…血だらけで横たわっている人らしきものが数多くあった
「うっ…」
俺は吐きそうな気分を必死に抑え、辺りを見渡す
「もう、なにもないな」
ファイが静かにそう呟いた
その冷静さになぜかカチンときてしまったおれは取り乱しながらファイの胸ぐらを掴んだ
「お前っ!なんでそんなに冷静でいられるんだ!?目の前の光景が見えないのか!?」
「見えているに決まってるだろ!!!平気なわけない!だが、ここで慌てても余計に混乱するだけだ!…できるだけ落ち着け」
胸ぐらを掴みかえしてファイが必死に叫んだ。
よく見れば下唇を噛んで血が出ていたり、拳からは握りしめた跡から血がながれていた
「…くっ」
そうだ、辛いのは俺だけじゃない。
“おい、生き残りか貴様ら”
「「!!?」」
突然の空からの声に驚く
“ちっ、まだ生き残りがいたのか”
真っ黒なコウモリのような翼で飛ぶ人が俺達をゴミを見るような目で見ていた
「なんだ、お前」
ファイが震えた声で聞く、やはりファイも怖いのだな
“ん、俺達か?…まぁ、貴様らなんかと口もききたくなどないのだが、冥土の土産ってやつだな。1度しか言わんぞ”
そう言って俺達を更に見下す
“俺達は魔族だ、|古≪いにしえ≫の予言により多次元の星を全て1つにし、我々の支配下に置く計画が実行された。ここは焔の星だな?お前らに罪はないんだが…消えてくれ”
そう言った魔族は掌をこちらに向けてくる。すると、掌の真ん中に黒いエネルギーが集まっていった
“死ね、暗黒魔球”
バスケットボールサイズのエネルギー体をこっちに放ってきた
「後ろにこい!」
ファイは俺の腕を掴んで自身の後ろへ俺をひっぱる
そして、両手を前にだした
「焔の盾!!!」
目の前に焔の丸い壁ができる、その瞬間
バァァン!
“なっ…!!?”
黒いエネルギー体はファイの盾によって打ち消されていた
「ふぅ…んな簡単に殺られるかよ、クソが」
ファイは…やっぱり凄いやつだった