3/8
2
「姫様、フラン様!」
その声に、私は顔を上げる。
侍女のアーナが呼んでいる。
また難しいお勉強をさせる気なんだ。
私は、お庭の隅にあるネコさんが良く通る生け垣の隙間に頭を突っ込んだ。
「ん~~~~っ!!」
手足をばたつかせ、何とか潜り抜ける。
「ぷはっ!」
年々、この隙間を潜るのが大変になってきた。
「もうちょっと痩せた方が良いかな……。」
特に、この胸は邪魔だとモミモミする。
年々大きくなっていって困る。
「ひ~め~さ~ま~。」
アーナの恐ろしい声が近付いてくるのに、私は胸を揉む手を止め、街へと一気に駆けだした。
「逃げなきゃ、逃げなきゃ。」
呟いてトテトテと坂を下る。
「えへへ、お散歩、お散歩~♪」
空を見上げると、青くて綺麗な空が何処までも続いていて何だか幸せな気分になった。
……と思ったら、上ばっかり見て足元を疎かにしていたから転んでしまう。
ドテッ。
「痛い…。」