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フルー王国。
小さな国だが、気候が穏やかで緑に溢れた良い国である。
この国の王様と王妃様は政治下手で一時は国が傾きかけたが、第一王子のラグ王子が12歳の頃に王様と王妃様から政治の実権を奪い、国を立て直した。
12歳の幼き王子を奮い立たせたのは、12歳年の離れた妹姫、フランだった。
王子はフラン姫をそれはもう溺愛し、妹が何も不自由せず幸せに暮らせる安全な国をと、その一心で12歳にして政治を学び短期間で国を立て直したのだった。
「やー!お勉強やっ!!」
「お~、妹よ!!嫌なら無理に勉強なんかする必要ないぞ?兄ちゃんと遊ぼうな。」
「王子!そんなんじゃ姫様はいつまで経っても字もろくに書けませんわよ!」
「良いんだ。妹は今のままで十分に可愛いんだからな~♪」
そうしてラグ王子に蝶よ花よと真綿に包まれ大事に大事に宝箱に入れて育てられた姫は、世間知らずのあっぽんたんのまま、17歳にまで成長したのだった。