第七話 ライバル
ある日の部活。
先生が私達を集めて言った。
「今から名前を呼ぶ二人は、選抜の強化練習に参加してもらいます」
体育館の空気が少し変わる。
誰が呼ばれるんだろう。
そう思いながら先生を見る。
そして先生は、私の名前を呼んだ。
もう一人呼ばれたのは後輩だった。
驚いた。
だけど、それ以上に嬉しかった。
まさか自分が、選抜の練習に混ぜてもらえるなんて思っていなかった。
選抜メンバーは、他の中学校の子達も合わせて四十二人いた。
そして最終的に選ばれるのは十二人。
緊張しながら、私は練習へ向かった。
体育館に響く声も、スパイクの音も、いつもの部活とは違った。
誰もが絶対に選ばれたいと思っている。
そんな気迫が伝わってくる。
私も負けていられない。
自然と声にも力が入った。
「お願いします!」
「ナイス!」
体育館に、自分の声が響く。
指導者も何人もいた。
一人一人のプレーを見ながら、何かを書き留めている。
やばい。
もっとアピールしなきゃ。
気持ちが焦った。
ボールを追いかけて、ライバルの子と肩がぶつかった。
「もっと声を出しなさい!」
指導者の声が響いた。
すると相手の子が、すぐに大きな声で言った。
「私は声を出しています!」
その気迫に、私は何も言い返せなかった。
練習が終わる頃には、毎回どっと疲れていた。
選ばれるために競い合う。
ここにいるのは仲間じゃない。
ライバルだった。
そして数日後。
四十二人の中から、十二人の選抜メンバーが発表された。
名前が呼ばれていく。
緊張で胸が苦しかった。
もしかしたら呼ばれるかもしれない。
そんな期待もしてしまっていた。
だけど――。
その中に、私の名前は呼ばれなかった。
ここまで読んでくださりありがとうございます。
選抜練習は、普段の部活とは全く違う空気でした。
みんな本気で、必死で、絶対に選ばれたいと思っている。
その気迫に圧倒されたのを今でも覚えています。
中学生だった私は、「上手い人は気持ちも強いんだ」と感じました。
悔しかったけれど、自分に足りないものを沢山気付かされた経験だったと思います。
続きも読んでいただけたら嬉しいです。




