1/6
暴力的な出会い
殴られた。
言葉で例えるならそうとしか言えない衝撃だった。
激しく明滅するスポットライト。地震と勘違いする程揺れる床。そして鼓膜どころか体中を震わせる音、音、音―。
スピーカーから爆音で流れる一瞬の隙さえ与えない程緻密に積み重なった旋律と、がなるようなのに言葉ひとつひとつに重みのある歌声。がさつなようで繊細で、暴力的なようで狂おしい程に優しい。一方的なのに私の心の奥底に寄り添うような演奏は、心臓を直接握り潰されたと錯覚させる程に圧倒的だった。
矛盾と調和が複雑に絡み合った彼女の音楽に私は一瞬で虜になった。
これから先、これ以上の感動を覚えることはあるのだろうか。いいや、決してありえないだろう。
大して長く生きていないが、それでも確信した。今以上に心を揺さぶられることはない。
だから絶対に逃したくない。たとえどんなに卑怯だと言われても、彼女を手に入れたい。
生まれて初めて抱く仄暗い感情。それをなんと呼ぶか今の私には検討がつかない。けれど今動かないと一生後悔する。これだけは確かだった。




