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1 俺の好きな人

 俺の家は特に家柄もないし、とても裕福と言うほどでもない。

 いわゆる普通と言うやつだ。

 しかし、オレには許嫁というものがいるらしい。

 何故だ?

 フツーあれなんじゃないのか?

 すごい裕福で家柄のある所でしかそんなことは起こらないんじゃないのか?

 

 本当にひどい話だ。


 何故顔も見たこともない人と結婚しなければならないのだろうか?

 しかもこの話を聞かされたのは昨日だ。昨日。

 ひどいとは思わないか?

 俺は昨日からそんな独り言を息を吐くように呟いていたが、一旦忘れることにした。

 そんなことを言っている間に学校へ行く時間が迫ってくる。

 俺は慌てて家を出た。

 家を出て学校に向かっている途中、後ろから段々と近づいてくる足音と共に声が聞こえた。


「まさむねっ」


 誰だ?と思う隙もなく、俺はすぐに声の主を確信し、後ろを振り返る。

 

「何?正宗、私の顔に何かついてる?」


 やはりだ。

 こいつは早川千歳。

 家が近いこともあって小さい頃からよく一緒に遊んでいた。

 いわゆる、幼馴染と言うやつだ。

 いつも俺を絡むようにしてやってくる。


 そのまま話しながら歩いていると、俺はハッと思い出したかのように携帯を取り出し、時間を確認する。

 

「おい千歳、走らないと間に合わないぞ」


「え〜〜、もうそんな時間?!」


「もうちょっと、2人でいたかったのにな。」


 千歳の声が小さくてよく聞こえなかった。


「ん?何だ?最後何か言ったか?」


「ううん、なんでもないよ」


「ならいいが。」


「まさむねのばか」


 千歳はあまり納得のいってなさそうな顔をしていたが、俺たちは急いで学校まで走った。


 学校に着き、教室の前まで来るとクラスの違う俺たちは互いのクラスに向かう。


「ばいばーい 正宗っ」


「ああ、またな」


 たかが互いのクラスに行くだけのことだが、あいつにつられて思わず返事をしてしまった。


 そのままクラスに入り、自分の席へに荷物をおく。

 すると後ろから声がした。


「おはよう、遠山くん。」


「お、おはよう」


 俺は突然の声に驚きながらも返事をする。

 自分で言うのもなんだが、驚くのも無理はない。

 なぜなら俺はこの、志間那月のことが好きだからだ。

 キッカケは分からないが、俺は中1の頃から志間を好きと思うようになっていた。

 高校になって、再び同じクラスになることができた。

 そうだからか、俺は毎日の何気ない『おはよう』をとても楽しみにしているのだ。

 


 

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