表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/36

プロローグ

 高い、高い空の上。


『当施設にて深刻な災害が発生しました。お客様及びスタッフは速やかに退避してください』


 雲より高い塔の上。


『繰り返します。当施設にて深刻な災害が発生しました。お客様及びスタッフは速やかに退避してください』


 海と大地を包み込む天輪の中で。


「来たか、最後の剣士よ」

「語る気はない」


 片や世界に厄災を振り撒く魔神の王。


 対峙するのは、一人の剣士。神と相対するには余りにもちっぽけで、しかし数多の戦いを経てここまで辿り着いた人間の剣士。


「最早我らの間に言葉は不要か。幾度も繰り返したこの戦い、今こそ決着をつけようぞ」

「魔神の王……」


 世界の存亡をかけた最後の戦いが、今ここに始まる。


「あなたを……殺す」


 鋭く美しい剣の切っ先は、殺意のこもった視線の先は。真っ直ぐと、ただ真っ直ぐと、一切の迷いもなく魔神の王へと向けられていた。


 




 

 エルマディーラ神聖王国、王都大神殿。


「これは、おお……っ!」

「おお、ついに視えましたか」

「これより、神より授かった預言を伝える……!」


 巨大な神殿の儀式の間で、神官たちに囲まれながら預言者は神から授かった預言の内容を告げる。


「空高く、雲を突き抜けそびえ立つ天の柱。その頂の天輪にて、魔神の王は打ち倒されるであろう。その勇者、神の加護を受けし剣士なり!」

「なんと……!」

「魔神王がついに!」


 魔神王。

 それは人類を、世界を脅かす最悪の厄災。人と魔物との千年に渡る戦いの元凶にして、魔の絶対者。


 今まで人間の手などとても及ばなかったそれを討ち果たす道標が今、天より示されたのだ。


「預言の内容を直ちに王宮と大神殿へ伝えろ!」


 これより多くの若者たちが神の加護を受けた剣士、加護の剣士として旅立ち、戦い、そして死んでゆく事となる。魔神王を討ち果たす為。予言の場所、天の柱を目指して。






 そして王国の王都近くに位置する小さな農村、ミクル村。

 

 ここから、一人の少女の長い、果てしなく長い物語が始まろうとしていた。


挿絵(By みてみん)


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ