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17. 女性の限界



 何でもするなんて何の根拠もないのに言ってはいけない。

 そしてウィリスは優しくない。

 リヴィアの今日の反省点である。


 それに馬車に押し込まれてはもう諦めるしかない。


 とはいえ、流石に皇族の家庭教師なんて考えた事もなかったので、正直心の準備が欲しかった。

 いや、心の準備が欲しかったのはこれから行く皇城での陛下への謁見だ。


「だぁって、リヴィアちゃんずっとウチに来ないしぃ」


 自分だけすっかり正装しているウィリスを恨めしく思う。


 ウィリスは急に城に呼び出される事があるので、研究室に何着か衣装を用意しているらしい。


 比べて自分は翡翠の塔の研究着である深緑色のローブ。このローブ自体は気に入っているがそういう問題ではない。

 確か先週シェリルがクリーニングに出してくれていたはずだから、それ程汚れてはいないが……


 いいのだろうか、これで。

 

 またしても顔色を無くす父の顔が目に浮かぶが。不可抗力だ。

 この件についての父への説明は、絶対ウィリスかアスランにしてもらおうと、固く決意していると、ウィリスがそれにねと続けてきた。


「リヴィアちゃんはしっかりしているように見えてまだ17歳でしょう。後ろ盾って強ければ強いほどいいものよん」


「……」


 ミククラーネ王立魔術院は18歳未満の未成年者の雇用には後見人が必要だ。

 シェリルの後見人は父のエルトナ伯爵になって貰っている。実はリヴィアは魔術院勤めではなく、通いの学生────学士だ。

 

 当たり前だが貴族として生きる事を至宝と考える父は、リヴィアの後見人など受け入れる筈は無く、また家長である父の意に反しリヴィアの後見人など、流石に叔父でも了承してもらえなかっただろう。

 絶対に勤めたい理由は聞かれるし、叔父に嘘をつける自信も無かった。

 

 魔術院に貴族や女性は沢山いる。ただ貴族の女性というとほぼ皆無なのだ。貴族女性の多くは淑女たるべく学校に通うか、家庭教師に習うかだが、いずれにしても学術を修める者はいない。


 基本勉強が好きという貴族女性は見当たらない。


 だがそれは淑女教育の一環として、婚姻前はもの知らぬ無垢な存在が好まれるとされているからでもある。

 しかし婚姻後夫人となれば、家を切り盛りしなければならないので、その限りではいられない。


 ……つまり男性に都合よく慎ましくあれと言うことなのだ。




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