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虎の子・ショートミステリー「無くしたモノ」

作者: 虎の子

女教師が言う、

「は〜い みんな先生の話を聞いて〜

 今日A君のリコーダーの先っぽが、

 無くなりました

 心当たりのある人はいませんか〜?」


いちおう偶然にもどこかへ行ってしまったという

ニュアンスで話しているが、

「誰が盗ったんだ?」と言っているようにしか思えなかった。


しかしたかがそんな事件、

1週間もすれば皆忘れてしまう。

犯人のB君でさえも忘れかけていた。


それはA君も同じなのだろうか?

もしかしたら本当に大事なものなのかもしれない。

いまだに探し続けているかもしれない。


人が大事な自分の所有物を想う心の力は強い。

しかしその所有物に心は無い。


だが、もしもモノにも心があったのならば、

自分をご主人さまと引き離した人物を恨むのだろうか。


リコーダーの先っぽは、B君を恨むのだろうか。



20年の時が過ぎた。

その時大人になったB君は重傷を負った。

自転車に乗っているとき、何かを踏んで横転したのだ。

その「何か」をBは探し当てた。

その手の中にあったのはリコーダーの先っぽであった。



Bは老人になった。

そして死んだ。

死因は風呂場で転び、頭をうったことによる脳内出血。

しかし事件当時、まだその風呂を使った者はおらず、

ふろの床は乾燥していた。

何かを踏むでもしなければ転びようもない。

風呂の排水溝に転がっていたのは、

リコーダーの先っぽだった。



人が大事なモノを想う心の力は強い。

無くしたモノ、何故か何処かへいってしまったモノ、

ありませんか?


もしあるならば、今でも探し続けていますか?


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― 新着の感想 ―
[一言] ミステリーっぽくて、ぞくぞくしちゃいました。ミステリーがんばって下さいね。 よろしければ、検索キーワード『ときまる』の連載小説などを見て下さい。
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