始まり
"それ"は世界を創った。
その世界では"星"が産まれた。
ある時"それ"を中心として、星や概念を司る"なにか"が産まれ初めた。
"それ"は退屈だった、何千億年もの間一人だったからだ。
"それ"は産まれた"なにか"に会いに行こうと旅を初めた。
ある時"それ"はある一つの<恒星>を中心に回る<系>を見つけた。
"それ"はその<系>の中のひとつの星に注目した、その星には空気と、水がとても多く存在していた。
"それ"は今まで見てきた星の中でこれほどまでに良い星はないと思い『この星がこれからどうなるのか見てみたい』と思った。
"それ"がきてから百年くらいたった時、その星で"生命"が産まれた、"それ"はとても喜んだ。
旅を初めてから数百年たったある時、その星を旅していたら、"なにか"がいた。その"なにか"は、まだこの星にしかない<風>を司る"なにか"だった、"それ"はまたとても喜び、『一緒に旅をしよう』と伝えた。この世界はまだ言葉はなかったが、"それ"の力は凄まじく、言葉というものを創ってしまったのだ。それでもまだ、音に出すことはできなかったため〈念話〉のようなもので伝えたのだ。
その"なにか"も産まれてずっと一人だったため"それ"と旅をすることにしたのだった。
それから数十億年たったある時その星の〔猿〕という生命体が、〔人〕という生命体へ進化したのだ、"それ"と"なにか"は驚いたがとても喜んだ。
〔人〕は数百年間でどんどん進化していき、概念から産まれた"なにか"という存在を"神"と名付けて崇めたのだった。そして〔人〕は神が司っている概念ごとに名前をつけた。文明により名前は違うが司る概念が同じものは同じ神だった。〈風〉の神には風神という名前が付いた。
しかし、そこで異変が起きた、〔人〕がいないはずの神を信仰し初めたのだ。
最初は誰かが存在しない神を新しい神として流したのだろう、だが人は信じ信仰したのだ。すると、いないはずの神が生まれてしまったのだ。その神は概念によって産まれたのではなく、人の信仰によって産まれた新たな神だった。概念によって産まれた神は、概念を産み出したのが"それ"ということを理解しているため、この世界の一番上は"それ"だということをわかっているが、信仰によって産まれた神はその事を理解していないため、概念から産まれた神は
『この世界にいるどんなものよりも上の存在に会った時は敬意を払い余計なことはするな』と忠告したのだった。
それから三百年ほどたった時、"それ"と風神はその星にある島国に来ていた。その島国で旅の途中に誰も近づかない森の中の奥深くにある湖に訪れた時、
"それ"と風神は見つけた。その湖の中心にトカゲとワニを合体させ胴体を長く伸ばしたような生き物と蛇のような〈水〉の神が遊んでいた。
その二匹は、こっちに気づくと興味津々とばかりによってきた。そして"それ"と風神に何をしているのか聞いてきた、"それ"は
『今は世界を旅しているんだ』と伝えると、その二匹は
『僕たちも世界を旅してみたい!』と言ってきた。"それ"は少し考えると『うん、いいよ』と答え旅の仲間が二匹増えた。
その後トカゲとワニを合体させたような生き物を〈龍〉と名付け、〈水〉の神を〈大蛇〉と名付けた。
それから千年くらいたったある時、その二匹に変化が起こった。
龍はそのトカゲとワニを合体させたような姿から、人の姿と体長五百メートルは越える龍となり、龍の祖として〈龍神〉へとなった。大蛇は人の姿と八つの頭と八本の首を持つ〈八岐大蛇〉という水神へとなりその大きさも龍神に引けを取らないくらい大きくなった。
それから一年くらいその島国を旅し、高志という土地についた、"それ"は山の頂上辺りで休憩していたが、そこに風神が走ってきた。
どうやら麓の村で、大蛇とこの島国の神が戦っているらしい、どうもその神が他の神と意中の比売に力を見せるためそこにいた一番強そうな大蛇に勝負をしろと言い攻撃してきたらしい。
勝負をしろといわれいきなり攻撃された大蛇は〈八岐大蛇〉になった。
勝負をとめるため急いで麓に降りるとそこには八つの頭と八本の首を持つ巨大な神獣〈八岐大蛇〉と全身から血を流し半殺しにされた島国の神が横たわっていた。"それ"はすぐに島国の神を治すと、人の姿に戻った大蛇に『やりすぎだよ』と言った。
島国の神は頭が冷えたらしく土下座で謝ってきた、"それ"達は神を倒したことになればいずれ自分達の存在がばれ旅に支障がでると思い、その神に『今のことは許すから大蛇が負けたことにしてくれ』と言った。その神は長く考えたが『わかりました』と言った。その事は後の伝説となった。
それから旅を再開した"それ"達は北へと向かった。
向かう途中に小さな村に寄った"それ"達は、二人の男女の孤児を見つけた。
その子達は両方とも親がとても早くに死んでしまったらしい。
村の人は皆、自分や家族のことなどで精一杯なので見て見ぬふりをし、たまに山の草等を食べて今まで生き延びていたらしい。
この世界の惨状を見て"それ"達はとても哀れに思い、せめて目の前の子だけでも助けれないだろうかと考え、
『私達と一緒に旅をしないか?』とその子達に聞いた。
その子達は、今のこの環境が変わるならばと思い、一緒に旅をすることになった。そしてその子達は
『あなたに私たちの新しい名前を付けてほしいと言い』
男の子が〈伊邪那岐〉、女の子が〈伊邪那美〉という名前がついた。
そしてまた北に向かおうとしたとき空に雷雲が広がり初めた。
そして遠くでピカッと稲妻が走ったと思ったらその光が風神に直撃した。煙が上がり龍たちが助けに行こうとすると、般若のような顔をした風神とまるで久しぶりに兄弟を見つけたと言うような顔をした〈雷〉の神、雷神がいた。
"それ"はいつも冷静な風神だがこんな顔もするのだなと思う気持ちをどけて
今にも喧嘩を始めそうな風神を抑えた。
どうやら風神は"それ"と出会う前に雷神と一緒に産まれたらしい。でも、産まれた時にずっとビリビリされて怒った風神は産まれて二日後に雷神をどこの星へ吹き飛ばしたらしい。
雷神は謝ろうといろいろな世界を探しまわっていてようやく見つけたと言う。
"それ"はいいことを思い付いたと思い、雷神に『君も一緒に旅をしないかと聞いた』風神はとても驚き絶対ダメですと言うような顔をしたが、それを無視し雷神に聞いた。雷神は即答で『行きます!』と答え旅の仲間が三人増え
た。
その後世界を全て見て回った"それ"は人の暮らしをしてみたいと言い二年後に死に、人に転生した。
それから約五千年がたちその星は地球と言う名が付いた。