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朝8時ヨシキはゼロの家にいた。
「支度は済んでるわ。さあいきましょ」ゼロはでかいバッグを持っていた。
「何入ってるんだそれ」
「お化粧道具に替えの洋服、あとその他諸々よ」
「そんなのいらないだろ。荷物になる、置いてけ」ヨシキはバッグの中から化粧道具や洋服など10品くらいを床へ投げ捨てた。
「いやよ!旅先でいい男いるかもしれないじゃない」ゼロはもう一度床に捨てられた洋服などをバッグに詰める。
「まったく、何しに行くと思ってるんだ」ヨシキはフウっとため息をつき、あきれた顔をしている。
「じゃあ行くぞ」ヨシキとゼロはバイクに跨った。
バイクは北へ向けて走り出した。今日もアンドロイドは姿を現さない。途中山道があったが、雪もそんなになく、スムーズに北の街スベンソンに到着した。
街の入り口には「ようこそ、氷の街スベンソンへ」と書かれた看板がある。
中に入るとなにやら人だかりができていた。その中に入っていくと氷のリンクでスケートを滑ってる人たちが大勢いた。
「いいわね、私も滑りたい!」ゼロはスケート靴を借りに事務所へ入っていった。
スケート場ではくるくると回ったり、すごいスピードで周回したりしている人達がいる。ゼロはその中よろよろとしていて、立つだけでも難しそうだ。そして転んだ。
「いたっ。太ったからなのかなー。子供のころはすいすい滑れたのに。ここにも何度か来たことあるのよ」隣にいるおじさんに言った。
「しばらくやってないんなら滑れなくもなるもんだよ」おじさんはすいっと真ん中の方まで滑って行った。
「俺なんかほとんど毎日だからこんなもんよ」くるくるっとジャンプして片足を広げ着地。
「さすが地元の人はすごいわね、負けてらんない」ゼロは立ち上がり何とかリンクを一周周る。
「ゼロ、俺は町長に会いに行く。お前はそこで遊んでろ」ヨシキは人込みから抜け出し町長の家へと向かった。




