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テレビにはアンドロイド達が体を張ってサーカスをやるというバラエティ番組が流されていた。
「くだらない」ヨシキはしかめっ面でその番組を見ていた。
明日はまた隆と話すか、そう考えながら寝床に着いた。
次の日またこの前に行った公園へと向かった。
公園のような自然が残っているところの方がテレパシーはよく通じる。
ベンチに腰掛けテレパシーに集中する。
「おい、俺だヨシキだ」高宮隆に話しかける。
「えっ何?また聞こえてきた」隆は学校で友達と昼食を取っているところだった。
友達の一人が「どうした?隆。なんも言ってないけど」と怪訝そうな顔で聞いてきた。
「あっなんでもない。ちょっとトイレ行ってくる」そう言って走ってトイレへと駆け込んだ。
個室に入る。「またあなたですか?幻聴が聞こえるようになっちゃったのかな俺」
「幻聴ではない。未来からテレパシーを送っている。心配するな」ヨシキが言った。
「テレパシー?マジかよ」と言って便座に腰掛けた。「それで、なんか俺に用事でもあるんですか?」
「ああ、お前に助けて欲しくて話しかけている。近い将来お前は優秀な科学者となってアンドロイド開発をする事になる。そのアンドロイドが未来暴れ出し戦争が起きる。だからお前に頼みたいことがある」
「確かにロボットの研究は今学校でしてますけど、アンドロイドなんて遠い未来の話でまだまだ科学はそこまで言ってませんよ。ホントなんですか?その話」
「本当だ。20××年のこっちでは政府もアンドロイドに乗っ取られて人間は貧しい生活をしている。俺は王として人民を助けなければならない」
「王…」隆は王という言葉がピンとこなかったが、真剣に聞く事にした。「それで頼みって何ですか?」
「世界中のアンドロイドの開発を止めて欲しい」
「えっ?アンドロイドの開発をですか?今ロボット開発は未来を変える最先端の研究ですよ?それをただの学生の俺が止められるわけ無いじゃないですか。だいたい僕は小さい頃からの夢でもあったんです。それを止めろだなんて」
「お前が将来アンドロイドの頭脳を世界で初めて開発するのだ。その研究をお前が辞めればいいだけだ」
「そんな。俺は辞めないですよ。未来の為に働きたい、その気持ちだけで今まで生きてきたんだから!」隆は立ち上がって声を荒げた。
「そう言うと思った。それでは仕方ないな。命は無いと思え」そう言い放ってヨシキはテレパシーを終えた。
「ん!?最後の言葉は脅迫か?まあいいや、どうせただのテレパシーだし。王とか言ってるけど胡散臭いし」そう独り言を言って隆はトイレを出た。変な汗かいちゃったなあ、友達にバレないようにしないと。そう思いながら汗を拭い席へ戻った。




