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ヨシキとゼロ  作者: ミミヨシ
南の国へ
24/42

6

車を走らせて数十分。

「まだ見えてこないなぁ、そのボッテ村っての」ジャックが後部座席でスルメを齧りながら言った。

車はひたすら森を走る。

ヨシキはさっき村人からもらったリップクリーム型のタバコを唇に塗りながら運転していた。

車内はスルメ臭い。

「ジャック、そのスルメの匂い何とかならないの?」ゼロが助手席から後ろを向いて鼻をつまんで言った。

ジャックは不機嫌そうにスルメを袋にしまう。「だって暇だろ?なんか口さみしくてな」

ゼロがポケットからガムを一つだしてジャックに渡した。「これで我慢してよ」

「おう、ありがとな」ジャックはガムを口に放り込む。

今度は車内にクチャクチャ音が鳴り響いた。

「あのさ、ジャック。口閉じて噛めないの?」再び後ろを向いて少し怒り気味に言った。

「だってガムってクチャクチャ噛むものだろ?」なんの気も使わず噛み続けた。

二人の間に険悪なムードが漂った。

しばらく無言の後「まあたまのドライブだ。楽しく行こう」ヨシキは二人をなだめた。

カーラジオからボンゴ族の音楽が流れてきた。

このラジオ番組は地元の音楽を紹介していた。

ボンゴ族のほかにも南の国にはアーティストがたくさんいて音楽が盛んだ。

使われている楽器も様々で、ギターにウクレレ、民族楽器の音も楽しめる。

「南の国の音楽は心を刺激するなぁ。俺は好きなんだ」ヨシキはラジオに耳を傾けながらアクセルを踏んだ。

うねった道を過ぎ、直線道路に出た。

先には村が見えてきた。

ボッテ村だ。

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