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タクシーが走り出して30分くらい経って、峠に入った。
S字カーブを曲がり切ったところ、停車している車を発見した。
「故障かしら?」ゼロが後部座席から前のめりに覗き込んで言った。
「ちょっと見てきます」タクシーの運転手がドアを開けて停車中の車に近づいた。
その時!
車の中から銃を発砲してきた。
タクシーの運転手はその場に倒れこんだ。
すぐさま状況を把握した3人は車から飛び降りてドアを盾にし、狙撃した。
バンバン!
ヨシキの2発の銃弾は、車のリアガラスを割って犯人に当たった。ドアが開き、運転席から人が道路に倒れた。よく見ると頭脳が透けて見える。アンドロイドだ。
アンドロイドの中には頭部が特殊なガラスで中に電子脳が組み込まれたタイプがいる。古い型だ。
ゼロが走って運転手のところに駆け寄った。運転手の白いシャツは出血で赤く染まっている。
「すぐに病院へ連れて行かないと!」
ゼロはとりあえず着ている上着を運転手の腕に巻いて止血した。
ジャックが担ぎタクシーへ乗せた。
ヨシキがハンドルを握り、「一番近くの病院はどこにある!?」とゼロにカーナビを操作させた。
「ここから2キロほど行った先にあるわ」
「運転手さん。死ぬなよ」
ヨシキはアクセルを強く踏み、前方にいた車とアンドロイドを急加速で避け病院へ急いだ。




